めざせ賞品ゲット！｜リアクション

めざせ賞品ゲット！

☆街角ハロウィン写真コンテスト

「あおいに協力してほしいんだ」
　寝子高３年の八神修は、七夜あおいに一枚のチラシを見せていた。
　ステッラ・デッラ・コリーナ主催の『街角ハロウィン写真コンテスト』の説明が書かれている。
「私なんかでいいのかな？　星ヶ丘の高級ホテルのコンテストだし、もっとふさわしいモデルさんがいるんじゃ……」
　ためらうあおいに、修は微笑みかける。
「そんな大げさなコンテストじゃないよ。普段の制服姿で撮りたい。参加賞もあるし、悪くないと思うよ？」
　チラシには、
　最優秀賞：施設のお食事券一万円
　優秀賞：同三千円
　参加賞：同五百円引券
　と書かれていた。
「うん……それなら」　
　あおいの了解に、修は満足そうにうなずいた。
「ありがとう。それじゃさっそくだけど明日でいいかな？」
　

　ハロウィン飾りに彩られた街。
　あおいはハロウィンデザイン小型トートを持ち、毛糸と編み棒が見える。
　ウインドウのコーデと飾りを見つめ覗く。
「そう、参考にして誰かに何かを作りたいと思っている」
　修は愛用のデジカメを覗きながら、あおいにコンセプトを伝えた。
　ちょっと頷いたあおいの表情は、まさに修の狙い通り。
「それだ」
　修の言葉は静かだったが、連射する手に熱がこもっている。
「こんなので大丈夫？」　
「ああ、すごく良かったよ。次は駅だ」
　もとより写真は得意だ。
　構図や光の効果のセンスも自信がある。
　だが、大切な人の姿を映すのは、こんなにも楽しいことなのか。
　修は被写体に愛を向ける写真家や映画監督の気持ちがわかったような気がした。

　南瓜色のマフラーを巻き、単語帳を開いて列車を待つあおい。
　この日は寒く、吐く息が白く見えた。
「季節感と受験を頑張る様子がよく出てる」
　これもまた満足がいく写真となった。

「日常の中でありつつドラマ性を持たせた、色々伝わる応援したくなる作品にしたいんだ。あおいのおかげでいい写真が撮れたよ」
　撮影後はお礼にケーキの美味しいカフェでお茶をした。
　嬉しそうにケーキを食べるあおいを見ながら思う。
（この表情もいいが……これは送らないでおこう。これを見られるのは俺だけの特権だ）
　そんな喜びをかみしめるのだった。　

　修の仕事はそれだけでは終わらない。
　帰宅後に、連写した写真の中から迷いに迷って応募写真を厳選する。
　善は急げと翌日応募した。

　数週間後。
「よし！」
　受賞のメールを受け取り小さくガッツポーズした修は、さっそくあおいに電話した。
　パソコンでは受賞作画像をメール添付して送ってある。
「もしもし、修君？　おめでとう！」
　あおいの嬉しそうな声が響いた。
「モデルが良かったんだよ。有難う」
「ううん、修君の腕がいいからだよ。とっても素敵に撮れてて、嬉しいな」
　受賞以上に、一緒に喜び合えることが幸せだった。

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