めざせ賞品ゲット！｜リアクション

めざせ賞品ゲット！

☆カプギアイベント

　寝子小６年の古尾桐子は、商店街のおもちゃ屋に貼られたポスターに目を奪われていた。
「うおおおお！　おもちゃ屋主催のカプギアイベント、入賞者にはイベント限定カプギアレアパーツをプレゼントッスか！？」
　桐子はカプギアことカプセルギアが大好きだ。
　カプセルギアは小中学生の間で流行っている、頭と胴体と右手左手、両脚のパーツを組み立てて作る１０ｃｍほどのロボットだ。
　スマホをコントローラー代わりにして操縦し、戦わせて楽しむことができる。
　様々なパーツを使って自分好みのカプギアを組み立てることができ、レアなパーツは垂涎の的なのだ。
「こりゃ参加するっきゃねーッス！　優勝してトルーパーを強化するッス！」
　トルーパーは桐子のカプギアで、攻撃力は高いが、装甲はもろい。
　量産型戦闘ロボットを意識して作ったロボだ。
　
　そんなわけで当日、桐子は父と共に準備を整えてイベントにやってきた。
「とーちゃんにも応援してほしいッス！　なんせレアパーツがかかってるし、知恵を借りることもあるかもしれないッス」
　いろんな戦術を考えてきているが、勝負は蓋を開けてみるまでわからない。
「ウチ以外にもレアパーツ狙いのカプギアユーザーがいっぱいいるッスね、こりゃ一筋縄ではいかなさそうッス！」
「時間になったら勝負のテーマが発表されますので、それまでお待ちください」
「テーマ？　制限時間とか、禁止事項とかッスかね？」
　店の人の説明にちょっと疑問を抱きつつ待っていると、やがて店員さんが丸めた紙を持ってやってきた。
「いよいよ勝負のテーマ発表ッスか」
　食い入るように紙を道めていると、やがて紙が広げられ文字が見えた。
「むむむ！？　カプギアで一発芸ッスか？！」
　まったく想定外だったテーマに、桐子はは衝撃を受ける。
「バトルする気マンマンだったッス！　一発芸……ネタがうかばねーッス！」
　可愛い系のカプギアなら愛嬌ある動きで可愛らしさをアピールすることもできるだろうが、トルーパーの外見は量産機なのだ。
「困ったッス……とーちゃんヘルプッス！」
　幸い桐子の順番までは少し間があり、親子相談タイムとなった。

　しばらく考えていた父だが、何か思いついた表情になり桐子に耳打ちする。
「なるほど、パイルバンカーを使ってそんな芸が！　流石とーちゃんナイスアイデアッス！」
　パイルバンカーは圧縮したエネルギーで杭を射出する超接近戦用武器で、トルーパーの攻撃力の高さはこれによるところが大きい。
「上手くいくかはわからないけどやってみるッス！」
　細かい打ち合わせをしているうちに。
「次は、古尾桐子ちゃんのトルーパーです。どうぞー」
「うわ！　ドキドキするッス。はーい！」
　練習する時間もないまま桐子は父と共に立ち上がる。
　トルーパーの準備はＯＫ。
　少し離れた場所にしゃがみ、父がコインを持って目配せした。
「せーのッ！」
　桐子が声を上げた次の瞬間、父が3枚のコインを立て続けに投げた！
　瞬時に軌道を予想し、桐子はパイルバンカーを発射する。
「まとめて串刺しッス！　きまれー！」
　観衆が固唾を飲んだ次の瞬間、大きな歓声が上がった。
　パイルバンカーは、見事に３枚のコインを貫いていたのだ。
「うおおお！　せ、成功したッス！」
　我ながら信じられない、という桐子の表情が満面の笑みに変わる。
「やったな！」
　と父が肩を叩いた。
「ぶっつけ本番でもなんとかなるもんッスね。後はこれがどう評価されるか結果待ちッス！」

「手ごたえはあるからレアパーツはいただきッスよ！」
　結果発表までの待ち時間はとても長く感じられたが。

「優勝は……古尾桐子さんのトルーパーです！」
　拍手と共に、桐子は飛び上がっていた。
「やったッス！！」

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