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- 00月00日生 00歳
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ピョンっ！と跳ねて、新春☆初夢フェア２０２３！ ～鷹編～
ふわりと何かが頬に触れた。
そのくすぐったさに、目を覚ましたはずだった。
（おや……？）
瞳を開ければ、そこは記憶にない青空の下で。倉前 七瀬は両手を伸ばして大きく欠伸をしてみるのだけど、自分がどうしてこんな所で眠っていたのか思い出せない。
読書の最中に寝落ちただろうか、と思って周囲を寝ぼけ眼で探ってみても、本などどこにもない。代わりに指先が触れたのは、黄色い鳥の羽だった。
見れば、それは点々とどこかへ続いている。
「ふむ」
どこの公園とも知れない芝生のど真ん中で、ただひとり身ひとつで転がっているのも不思議だけれど、そこにキラキラと何かを知らせるよう、一筋の方向へ落ちている羽にも興味をそそられた。
鳥の後を追いかけて見つける物はなんだろう。鳩は幸運の象徴と言われているし、カラスなら不吉と言われている。この羽の持ち主は、一体何を知らせてくれるのか――。
そっと１枚の羽を拾って、七瀬は手の中で羽をくるくると遊ばせた。日の光に煌めく様子が、まるでウォルター・Bの柔らかなくせ毛のようで思わず顔を綻ばせる。
連れて行ってくれるだろうか、彼の元へ。そうして出会えたなら、特別な顔で笑ってくれるだろうか。
サクサクと芝生を踏む音が軽やかなリズムから小走りになって、七瀬はむずむずとする想いを止められなかった。今はまだ「奇遇ですねぇ」ってお決まりの挨拶も、いつかもっと親密な挨拶をするようになれば……好きの種類がわかるだろうか。そのとき、もう一度伝えてみてもいいだろうか。
ドキドキとは少し違うそわそわする想い。何かに例えるのも難しい、名前の付けがたい気持ちだけれど。彼の唯一の特別となれる大事な『好き』だと信じている。
ピュイっと感高い鳥の声が聞こえて、羽を探すように地面を見ていた目線を上げれば黄色い鳥が。飛んでいった先には、やっぱりウォルターがいた。
「……っ！ あ、……っと」
けど、そこには。
開きかけた口を閉ざし、七瀬は勢いづいていた足を止める。ざぁっと強い風が、導くように落ちていた鳥の羽を舞いげていくのを、ただ呆然と見つめるしかなくて。
自分で言ったのではないか、もやもやはすると思うけどそうなりたいのではないと。
彼が微笑み幸せに過ごすとき、自分は――その隣で寄り添っていたいのではないと。
（でも）
それが豊満な身体を持て余した、赤い口紅の似合う女性相手なら諦めもついたのだろうか。自分と似たように色素の薄い細身の男性であったなら、発言を訂正しただろうか。
唯一の特別というのがどういう物か自分でもわからなくて、そっと唇を噛む。
他の誰かに優しく微笑みかけるウォルターがいること。それだけは目の前にある事実だったから。
寂しい鳴き声が響くのに、ウォルターもその傍らにいる人も気付かぬ様子だった。懸命に羽ばたき羽を散らしても、そこに何も無いかのように２人で話し続けている。
……視界に入ることもない羽は、邪魔にならずあしらう必要もないのだろうか。
ならば羽ではなくて、この手を伸ばしたなら。足を動かし２人へ割って入ったなら。
（そんなこと……）
傍に降りてきた小鳥へ、七瀬は思わず手を差し出す。その顔は苦悶に歪めていたけれど、目は２人から離せなかった。足も元来た道を戻ろうと身体を捻るのに……踏み出せはしなくて。
逆光で影になり見えなかったウォルターの話し相手の顔が、だんだんと見えそうだ。それを見てしまえば、この気持ちに区切りを付けられるだろうか？
諦めるでも訂正するでも、はっきりとどんな好きかの答えを出すことができるのだろうか。
電子音が鳴り響く。
ぼんやりとした頭で七瀬が見上げた先には、見慣れた自室の天井があった。
「夢……」
今のところは、だ。いつかは現実になるかもしれない――いや、今だって知らぬ所で起きているかもしれない光景に、ただの夢だと言の葉にして不安を払拭することは難しくて、七瀬は代わりに重く長い息を吐く。
吐き出しきって、のそりと電子音を止め起き上がる。気は晴れないけれど、そんなことはわかっていた。
でも、彼とどうありたいのかは……まだよく、わからない。
印象的なあの鳥は、何かを知らせてくれたのだろうかと思うけど。夢占いなどスピリチュアルなことを調べたとて、その結果に一喜一憂するだけではないか。
せっかく彼の夢が見られたのに、なんとも後味の悪い。これは、まるで。
――悪夢に似ている
そのくすぐったさに、目を覚ましたはずだった。
（おや……？）
瞳を開ければ、そこは記憶にない青空の下で。倉前 七瀬は両手を伸ばして大きく欠伸をしてみるのだけど、自分がどうしてこんな所で眠っていたのか思い出せない。
読書の最中に寝落ちただろうか、と思って周囲を寝ぼけ眼で探ってみても、本などどこにもない。代わりに指先が触れたのは、黄色い鳥の羽だった。
見れば、それは点々とどこかへ続いている。
「ふむ」
どこの公園とも知れない芝生のど真ん中で、ただひとり身ひとつで転がっているのも不思議だけれど、そこにキラキラと何かを知らせるよう、一筋の方向へ落ちている羽にも興味をそそられた。
鳥の後を追いかけて見つける物はなんだろう。鳩は幸運の象徴と言われているし、カラスなら不吉と言われている。この羽の持ち主は、一体何を知らせてくれるのか――。
そっと１枚の羽を拾って、七瀬は手の中で羽をくるくると遊ばせた。日の光に煌めく様子が、まるでウォルター・Bの柔らかなくせ毛のようで思わず顔を綻ばせる。
連れて行ってくれるだろうか、彼の元へ。そうして出会えたなら、特別な顔で笑ってくれるだろうか。
サクサクと芝生を踏む音が軽やかなリズムから小走りになって、七瀬はむずむずとする想いを止められなかった。今はまだ「奇遇ですねぇ」ってお決まりの挨拶も、いつかもっと親密な挨拶をするようになれば……好きの種類がわかるだろうか。そのとき、もう一度伝えてみてもいいだろうか。
ドキドキとは少し違うそわそわする想い。何かに例えるのも難しい、名前の付けがたい気持ちだけれど。彼の唯一の特別となれる大事な『好き』だと信じている。
ピュイっと感高い鳥の声が聞こえて、羽を探すように地面を見ていた目線を上げれば黄色い鳥が。飛んでいった先には、やっぱりウォルターがいた。
「……っ！ あ、……っと」
けど、そこには。
開きかけた口を閉ざし、七瀬は勢いづいていた足を止める。ざぁっと強い風が、導くように落ちていた鳥の羽を舞いげていくのを、ただ呆然と見つめるしかなくて。
自分で言ったのではないか、もやもやはすると思うけどそうなりたいのではないと。
彼が微笑み幸せに過ごすとき、自分は――その隣で寄り添っていたいのではないと。
（でも）
それが豊満な身体を持て余した、赤い口紅の似合う女性相手なら諦めもついたのだろうか。自分と似たように色素の薄い細身の男性であったなら、発言を訂正しただろうか。
唯一の特別というのがどういう物か自分でもわからなくて、そっと唇を噛む。
他の誰かに優しく微笑みかけるウォルターがいること。それだけは目の前にある事実だったから。
寂しい鳴き声が響くのに、ウォルターもその傍らにいる人も気付かぬ様子だった。懸命に羽ばたき羽を散らしても、そこに何も無いかのように２人で話し続けている。
……視界に入ることもない羽は、邪魔にならずあしらう必要もないのだろうか。
ならば羽ではなくて、この手を伸ばしたなら。足を動かし２人へ割って入ったなら。
（そんなこと……）
傍に降りてきた小鳥へ、七瀬は思わず手を差し出す。その顔は苦悶に歪めていたけれど、目は２人から離せなかった。足も元来た道を戻ろうと身体を捻るのに……踏み出せはしなくて。
逆光で影になり見えなかったウォルターの話し相手の顔が、だんだんと見えそうだ。それを見てしまえば、この気持ちに区切りを付けられるだろうか？
諦めるでも訂正するでも、はっきりとどんな好きかの答えを出すことができるのだろうか。
電子音が鳴り響く。
ぼんやりとした頭で七瀬が見上げた先には、見慣れた自室の天井があった。
「夢……」
今のところは、だ。いつかは現実になるかもしれない――いや、今だって知らぬ所で起きているかもしれない光景に、ただの夢だと言の葉にして不安を払拭することは難しくて、七瀬は代わりに重く長い息を吐く。
吐き出しきって、のそりと電子音を止め起き上がる。気は晴れないけれど、そんなことはわかっていた。
でも、彼とどうありたいのかは……まだよく、わからない。
印象的なあの鳥は、何かを知らせてくれたのだろうかと思うけど。夢占いなどスピリチュアルなことを調べたとて、その結果に一喜一憂するだけではないか。
せっかく彼の夢が見られたのに、なんとも後味の悪い。これは、まるで。
――悪夢に似ている
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2023年01月02日
- 参加申し込みの期限
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- 2023年01月09日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2023年01月09日 11時00分
