ハッピーバースデー！　１０月☆｜リアクション

ハッピーバースデー！　１０月☆

☆手作りのプレゼント

　放課後、八神修は、七夜あおいに会うのをソワソワしながら待っていました。
『お誕生日プレゼントを渡したいから』
　昨日NYAINのメッセージを見たときのドキドキした気持ちを、いかに表に出さないか腐心しつつ。
（あおいからのプレゼント……「恋人になってくれること」だと最高なんだが）
　あおいの志望先は九州の専門学校で、卒業後は離れ離れになってしまうでしょう。
（卒業後も、遠距離でも、変わりなく、支えあいたい）
　けれどまだ彼女になる気持ちを固めてないかもしれない、と修は思い直します。
（あおいからのプレゼントなら何でも嬉しい）

　そんなことを考えていると、あおいの姿が目に入りました。
「お待たせ、修君」
　そう言うとあおいは鞄からリボンのかかった包みを取り出しました。
「お誕生日おめでとう。手作りなんだ」
「ありがとう。あおいが祝ってくれてとても嬉しい。今日は最高の誕生日だ」
　修は、そっと包みを開きます。
　中には、手編みの手袋が入っていました。
「とてもよくできている。気持ちがこもっているな」
　修はプレゼントの手袋を優しく抱きしめました。
「サイズ、合うかな？」
「ああ、ぴったりだ。大切にするよ」
　修は手袋をはめて柔らかく笑みました。
「良かった。手作りだからそんなにきれいじゃないけど……」
　あおいは言いますが、そんなことは問題ではないのです。
　なんなら指が一本多かろうが足りなかろうが、修は喜んで手袋を使ったことでしょう。
（あおいの気持ちを大事にする。勿論あおいも大事にするよ）

「あおい、この前のカフェに行かないか」
「もしかしてサツマイモスイーツの？　うん、行こう！」
　あおいのポニーテールが嬉しそうに弾みます。
「秘密を解かないとね」
　ふふ、と修は笑って言いました。
　先日カフェで食べた、黄色みが濃いとても美味しいスイートポテトケーキを、あおいはとても喜んでいて。
　美味しさの秘密を解こう、と修は決めていたのでした。

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