ハッピーバースデー！　１０月☆｜リアクション

ハッピーバースデー！　１０月☆

☆樋口先生の誕生日

　三折部朝衣は、シーサイドタウンのアパートでで婚約者と同棲しています。
「もうすぐ樋口弥生先生の誕生日なのよ。何を贈ろうかな」
　朝衣の言葉に、住沢遥人は頷きました。
「高校１年生の時の担任だったっていう先生だね」
「そう。町役場に就職してから会う機会がなかったけれど、去年の春に偶然再会してからというもの、何かと会って話す機会が増えたような気がするわ」
「音楽の趣味が合ったんだっけ？」
「高校の頃はよく話をしていたわ。音楽の話とか、サーフィンの話とか、恋バナとか」
「恋バナが気になるな」
「昔の話よ。友達の恋の話とかもしてたし」
　腕を回してきた遥人を、朝衣は笑っていなします。
　遥人のアパートには今年の十月から結婚を前提に同棲していますが、その際にも樋口先生にはいろいろとアドバイスしてもらいました。
「ギターピックは卒業式の時に贈ったし、シルバーアクセは去年送ったし……そういえば、遥人とよく聞くオーストラリアのロックバンド、先生も好きでよく一緒に聞いたな」
「そうなんだ。こないだ朝衣がその曲でポールダンスしてたっけね」
「高校2年の夏休みには来日ライブを一緒に観に行ったのよ。……そうだ、いいこと思いついたわ」

　朝衣は、遥人と休みを合わせてシーサイドタウンのヴィンテージショップへ向かいました。
「ここにもないか……」
「まだ探し始めたばかりじゃない。次行くわよ」
　探し回った三軒目の店で。
「あったわ！」
　ついに、先生の好きなバンドのレアなＴシャツの発掘に成功したのです。
「５万円か、結構いい値段だね」
「先生にはお世話になってるし、喜んでもらいたいから」
　誕生日プレゼントを見つけた朝衣は、うきうきと先生に連絡を入れたのでした。

　そして誕生日当日。
「本当にいいの？　こんな貴重なもの」
　目を見開く樋口先生に、朝衣はにっこりと微笑みます。
「見つけたとき先生の喜ぶ顔が浮かんで、嬉しかったんです。受け取ってください」
「ありがとう。それじゃあ、お言葉に甘えて……今度のライブで、これを着させてもらうわね」
　それから３人で、色々と話をして過ごしたのでした。