あおぞら古本市と読書の秋｜リアクション

あおぞら古本市と読書の秋

　八神修は、七夜あおいと共に日曜の古本市巡りを楽しんでいました。
　本好きな修にとって、大好きなあおいと一緒に本を見て回るのは両手に花にも似たパラダイスと言えました。

　本をを探したい衝動を抑えて、あおいのことが知りたい修は尋ねます。
「あおいはどんな本が好き？」
「うーん、私は面白い本が好きだけど、いろんなケーキのレシピ本とかも好きかな」　
「ケーキのレシピ本か、いいね」
「見てるだけで美味しそうだし、こんなの作れたらな、って想像するの」
　楽しそうに話す彼女を見ながら、あおいが好きな世界を見てみたい、と修は思うのでした。

「あっ、修君、あの本すごいよ！」
　あおいが指さすほうを見ると、そこには怪獣が描かれた大きく分厚い本がありました。
「ジアートオブシンゴアラの設定資料か……」
　手に取った修は、その重さに笑ってしまいました。
「重っ！　これは……鈍器？　いや、もう漬物石だ」
「ダンベルにしたらゴアラみたいになれたりして？」
「３．５５ｋｇあるのか……確かに持ち上げて読んだら体力がつくかもな」
　さすがに買って帰るには重すぎる本でした。

「ちょっとベンチで休もうか」
　何冊か本を買った後、二人はベンチに腰を下ろしました。
「修君、何を買ったの？」
「これは免疫学の本と感染症の本」
「すごいね、修君らしい」
「教本だったのを医学生が古本屋に売ったりするんだ。医学書は高いしね」
「そうなんだ」　
「数年前のだから十分使えるんだ。どんな本が大学で使われてるかも分るし、良い買い物だった」
「あれ、何か書いてあるみたい」
　修がめくったページに手書きの文字があるのを見たあおいが声を上げました。
「たまに書き込みがあってもご愛敬さ」
「英語？」
「ドイツ語かな。なになに……『伝説の妖怪料理人の本の……』変な書き込みだな？」
　その後はかすれていて読めず、修は首を捻りつつ、後で考えることにしたのでした。

「そっちのは何？」
「ああ、戦国時代を舞台にしたラノベのＩＦ歴史小説だ」
　ドサ！　と修はたくさん本が入っている袋を置きます。
「たくさんあるね……歴史の本なんだね、難しい？」
　その言葉に修はちょっと考えさせられました。
（俺の読む本は難しい本ばかりだと思われてるのかな？）　
　それは嬉しいような、心外であるような。
「いや、実は、主人公は現代から転移した女の子なんだ」
「え、面白そう！」
　顔を輝かせるあおいに、修は微笑みを向けます。
「あ、じゃあ読んだら貸そうか？」
「いいの？　じゃあゆっくりでいいから貸してね」
「すぐに読めるよ。あおいは何を買ったの？」
「私はケーキのレシピ本。修君も見る？」
「ああ、今度一緒に作ろうか」
　話に花を咲かせた後、二人は休憩を終えて次の店へと向かうのでした。
　

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あとがき

担当マスター：茄子りんこ
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ご参加ありがとうございました。

青空の下の古本市、いいですね。
皆様の素敵な一冊は見つかりましたでしょうか？
見つかった方も見つからなかった方も、次の出会いを楽しみにしていただけたらと思います。
見つからなかった本と出会うことができるのか、私も楽しみにしております。

それではご縁がありましたら、またのご参加をお待ちしております。

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