あおぞら古本市と読書の秋｜リアクション

あおぞら古本市と読書の秋

　綾辻綾花は、古本市があると聞いてシーサイドタウンにやってきました。
（珪先生が探してる本がないでしょうか）
　『HALO ～氷解無垢～』というタイトルの本を、大好きな早川珪先生は探しているらしいのです。
「何かお探しですか？」
　声をかけてくれた店の人もいますが、綾花はにこやかに答えます。
「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」
（他の人には内緒なので、お店の人には尋ねず自分で探したいです）
　ネットで見た表紙を思い出しながら、地道に本棚を探していきますが。
「なかなか無いですね……」
「綾辻さん？」
　聞き覚えのある声に顔を上げれば、そこに珪先生の顔があり、綾花は声をあげそうになりました。
（先生の事考えてたから……びっくりしました）

「すみません、考えごとしてて」
　変に思われてないかな？　と心配しながら、綾花は笑顔を浮かべます。
「作家さんのサイン本もあるらしいって噂を聞いて、探していたんです」
　今は珪先生にも探してるのは内緒にしておきましょう、と綾花は思います。
（サイン本があるって噂を聞いたのは本当ですし）
「それはいいね。僕も探してみようかな」
「やっぱり好きな作家さんのサイン本は惹かれますよね」
「あ、猫の写真集があるね」
「えっ？　あ、本当ですね。可愛いです」
　猫の写真集を見つけた綾花はすぐにそれを手に取り、他にもないかと周囲を見回します。
「綾辻さんなら買うだろうと思ったよ」
「はい、見るだけで癒されます」
「おや、サイン本があったよ綾辻さん」
「えっ、誰のですか？」

　探してる本は見つかりませんでしたが、猫の写真集が何冊か購入出来て綾花はほくほくです。
　珪先生が見つけてくれた有名ミステリー作家のサイン本も購入しました。
「意外とリーズナブルでした。珪先生は何を買われたんですか？」
　好きな人の買う本は気になるものです。
「僕は、最近話題のミステリーと、軍記ものだね」
「いいですね。そうだ、ファストフードを買って本を読みながら食べませんか？」
「そうだね、ここは飲食OKのようだし」
　２人はホットドッグとコーヒーを買い、並んでテーブルに着きました。

　本を読んだり感想を言い合ったり。
（本を読む先生の横顔もカッコ良くて見惚れてしまいます）
　そんなことを思いながら、興味津々で綾花は話します。
「珪先生の読まれてる本、面白そうですね」
「ああ、これは最近ドラマにもなってるらしいよ」
「そうなんですね！　見てみたいです」
　話に花を咲かせながら、二人は美味しい食事にも満足するのでした。

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