ねこを吸う｜リアクション

ねこを吸う

●ねずの湯の暖かさと猫の温もり

　午前中は、寝子島イリュージョンランドの廃墟で猫と過ごすゆったりとした時間を過ごした。
「次はどこに行く？」
　理緒にそう聞かれた紗月は、ねずの湯へ行ってみないかと持ちかける。
　寒くなってきたので、ボイラー室周辺で温まろうと集まっているかもしれない。
「猫、たくさんいるかもしれないわね」
　どんな子達がいるのだろうと理緒は楽しみになってきた。

　ねずの湯に向かう道中、二人はすれ違う猫を眺めたり、撫でたり、抱っこしたりした。
　逃げた猫は追いかけず、擦り寄ってきた猫達と触れ合った。
　九夜山から下り、紗月が腕時計を見る。
　時の流れが経つのがゆったりだったような感覚だったのだが、午後１時を少し過ぎていた程度だった。
「下山してから、そんなに時間は経っていないのね。寄り道していたのに」
　もっと時間が経っていると思っていた紗月だったが、実際はそうではなかったことに少し驚く。
「楽しい時間はあっという間に過ぎるっていうのにね」
　理緒は、こういうこともあると、さほど気にしていないようだ。

　途中で猫と触れ合いつつ到着したねずの湯は、理緒が三年間住んでいた桜花寮のすぐ近くにある。
「何度か二人で、ねずの湯へ行ったっけ」
「そんなこともあったわね」
　寒い日は、ねずの湯でまったりしていたわねと紗月と理緒は話し出す。
　そのまま玄関の前を通り過ぎ、ボイラー室の裏へ。そこでは、もう、さっそく猫集会が始まっていた。
　いったいどこから、こんなにたくさんの猫が集まってるのか。
　ちょっと想像もつかないほどのたくさんの猫が、さほど広くはないスペースに集結している。
　寒いのか、猫達は温まろうと密着している。その様子は餅か団子を連想させる。
「さすがに寝子島の猫だけに、人間が割って入っても迷惑そうにはしないわね」
　何匹かは紗月に近寄って甘えてきたりするので、理緒と一緒に抱き上げたり、なでなでしたり。
「理緒ちゃん、この子ホカホカ……」
　抱っこしているトビミケ猫のお腹に顔を埋め、紗月は猫吸いしながら体温を感じた。
「こっちの子もホカホカよ。それに毛がふわっふわ」
　ふてぶてしい顔のグレー猫を撫でた後、ちょっとごめんと理緒は首周りに顔を密着。
　それが嫌だったのか、グレー猫は理緒を避けた。
「ごめんね。猫吸いさせてくれてありがとう」
　もうしないから、とグレー猫の頭を撫でて謝った。

　猫集会に紛れ込んでいるうちに、二人は引っ張り込まれて猫まみれ状態に。
　いろんな模様、子猫からおじいちゃん、おばあちゃんな猫と選り取り見取りな猫達が集まっている。
「猫まみれな状態は貴重な体験かもしれないわね……」
　喉をゴロゴロ鳴らして擦り寄ってくる猫を撫でながら、紗月は微笑む。
「同感。まあ、こういうのもいいんじゃない？」
　今の時期はあったかいし、と理緒は今の状況にご満悦の様子。
　思わぬかたちで猫集会に招かれた二人は、それから二時間ほど猫達と過ごした。

　楽しい時間はあっという間に過ぎ、そろそろ解散に。
「猫達が離れると寒くなってきたわね。久しぶりにねずの湯に入らない？」
　紗月の誘いに、私もそう思ってたと理緒もねずの湯に入ることに。
　久々のねずの湯を堪能しつつ、紗月と理緒は触れ合ってきた猫達のことを楽しそうに話した。

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あとがき

担当マスター：カターレ
ファンレターはマスターページから！

カターレです。

らっかみ！タイムでもリアルタイムでも寒くなってきましたね。
猫を抱っこしたり、猫吸いしたりするとあったかそうです……。
皆さん、思い思いに猫の様子を楽しんだり、触れ合ったり、猫吸いしたりされていました。
いろんな猫との触れ合い、いかがでしたでしょう？

猫との楽しい時間を過ごせたのであれば幸いです。
ご参加、ありがとうございました。

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