ねこを吸う｜リアクション

ねこを吸う

●猫吸い堪能

　天気がいいので、水守流はぶらっと星ヶ丘マリーナまで散策をしに来た。
「ん？　あれは……」
　っている顔が猫と何かをやっているのを見かけた。
　雑誌『月刊・ねこを吸う』を抱え、カワイイと言いつつ猫を愛でている人物はナンシー・ジャービスだった。
「おーい、ナンシー、何やってんだー？」
　満面の笑みで「コレやってマス」と『月刊・ねこを吸う』の表紙を見せる。
「ワタシ、寝子島の猫達とふれあいしてみたいデス。猫を吸うのもしたいデス」
　誌面のおすすめ・寝子島のディープな猫スポットとしてここが紹介されていたので、ナンシーはここに足を運んだのだとか。
「へー、ここが猫の穴場スポットで、ネコ分を補給しにきたと……。お前さんほんと猫好きだねぇ」
　その気持ちはわからんでもないが、とふれあいチャンスを伺うナンシーを見て流は苦笑する。
「ナガレサンもふれあいマショウ。ワタシと戯れタイムデース」
「え？　俺も？」
　猫と戯れてみないかという誘いに、暇してたところだし乗ってみるかと応じることに。
　猫が寄ってこないことには、戯れようにも戯れられない。
　ナンシーが持っているのは『ねこすう』と手荷物だけのようなので、猫用おやつやおもちゃはなさそうだ。
「んじゃま、ちょっくら近くで餌になりそうなものでも持ってくるから待っててくれなー」
「ハーイ」

　しばらくして、コンビニ袋を持った流が戻って来た。
「おまたせー、とりあえずコンビニで猫缶でも買ってきたぜー」
　おやつもあるぜー、とナンシーに袋の中身を見せる。
「ほーら猫たちー、もふり料を持ってきたからくえくえー」
　ナンシーは袋から猫缶を取り出し、開けて猫達に見せて誘い出す。
「こうしたほうが食いやすいぞ」
　猫缶をあげる用にと買った紙皿に中身を載せた流は、ナンシーにそれを手渡す。
　美味しそうにごはんを食べている三毛猫をカワイイデースと微笑ましく見るナンシー。
「ほれ、餌に夢中な今がモフモフチャンスだぞナンシー」
「ハイ！」
　食べている邪魔をしないよう、そっと三毛猫に顔を埋める。
「モッフモフー……。ナガレサンもモフりマショウ」
「それじゃ、俺もちょっくら失礼して……」
　缶詰を食べ終え、顔を洗い始めた三毛猫にそっと近づき、流は逃げられないよう慎重に顔を埋める。
「んむ、いいモフモフだ。冬が近くなるとモフモフ感がこころなしかアップしてくる気がするよな」
「デスヨネー」

　猫達は猫缶を食べてお腹が膨れたのか、眠くなってきたようだ。
　ゴロンゴロンしたり、お座りしたりと様々な仕草を見せる。
　ゴロゴロするネコも和む！　と流は微笑ましく見ていた。
「むむ？！　無防備な猫に猫吸いだと？！　ナンシー、やるじゃねぇか……」
　お腹を見せて寝転んでいる白猫に顔を埋めているナンシーはご満悦。
「ナガレサンもやってみませんか？」
「俺も？　そうだな……せっかくだし、やってみるか！」
　どいつにしようかと猫達を見定め、こいつに決めた！　とおデブなキジシロ猫を猫吸いすることにした。
「お、おお？　こ、これは……」
　体型からしてモフモフであると思っていたが、予想以上のモフモフ具合だったので驚きを隠せない。
「んむ……はまりそうだな」
「デスヨネー」

　意気投合した二人は、次はここに行こう！　と別の場所に移動した。

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