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あなたと出会って街歩き。
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結局、柚春が選んだのはミルクベースのソーダジェラートという、あまり見かけない味だった。トッピングはおすすめのウェハースとチョコソースで、ウォルターに買ったのと同じく、容器はコーンではなくカップにしてもらう。
ウォルターは本当に待っててくれるだろうか、約束したはずなのにほのかに感じる不安を胸に急ぎ足でテラスに戻れば、果たして彼はそこに居た。足音で気付いたのだろう、柚春にすぐ気が付いて本からつと顔を上げ、彼女を見て微笑む。
それはまるで、あたかも自分が『特別』なような気がして。やっぱりウォルターは何らかの理由で自分の気持ちを封じ込めているだけではないのか――そんな事を考えてしまう。
だって柚春には――あんなに優しく笑ってくれるのに。
「ウォルターさん」
「おかえりぃ。先に読んでるよぉ」
そうして席に戻った柚春に、ウォルターはまるで居酒屋で『お先に飲んでます』なんて言ってるかのような口調で、のんびりとそう言った。言ってから自分でそのおかしさに気が付いて、困ったねぇ、と苦笑する。
こういう時の適切な言葉選びは、なかなかに難しい。自分にはそれが出来るはずだと――たとえ母語でないとしても――思っていたのだけれども。
ことん、と柚春が置いたジェラートをちらりと見れば、その向こうにある柚春の思い詰めたような、期待したような、不安そうな眼差しに気が付く。気が付いていて、気が付かないフリをする。
(それがオトナのレイギ、ってやつだよねぇ)
ゆえに微笑ましい気持ちを抱えながらそのまま視線を本に戻すと、ウォルターさん、と表情通りの感情を孕んだ声色が彼の名を呼んだ。なに? と微笑んで眼差しをあげ、少しばかり首を傾げて見せる。
それに少し迷ったそぶりを見せた後で、柚春はふ、と表情から力を抜いた。――あ、と思う。
「ウォルターさん。折角だから1口、交換しませんか?」
「――いいねぇ」
そうして大胆に告げる時の柚春は、いつもの縋るような必死さではなく、どこか取り扱いの難しい硝子細工のような危うさと艶やかさがあった。コドモではなくオトナでもない、オトナになろうと背伸びしているようで、コドモのような無邪気さゆえの魅惑を醸しているような――
それに思わず目を細めて頷くと、柚春が艶やかににっこりする。その笑顔のまま、柚春が「どうぞ」とすくって差し出したジェラートのさじを、ほんのわずかな逡巡の後、覚悟を決めて口に含んだ。
ウォルターの行動に、柚春が驚いたように目を丸くして、それから嬉しそうに、恥ずかしそうに顔を赤くする。まったくアンバランスな子だ、と内心でため息を吐いた。
だから目を離すに離せない。――目を離したら取り返しがつかなくなるような予感がして。
口の中のジェラートを咀嚼し、飲み込むと柚春が何か期待するように、じっとウォルターの手元を見つめた。ちら、ちら、と上目遣いに彼の顔と、ウォルターのジェラートを見比べている。
――ああ、交換するんだっけ?
そのしぐさに思い出して、はい、と自身のジェラートをすくって差し出すと、柚春の顔がこれ以上なく真っ赤になった。自分で言い出しておいて、と苦笑を禁じ得ない。
「これって、間接……ですね」
ぱくり、とジェラートを飲み込んでから、柚春が早鐘のように煩く鳴る胸を抑えながら、そう言った。以前にも『事故』でキスをしたことはあるけれども、その時よりもなぜか恥ずかしく感じる。
柚春の言葉に、それには思い至っていなかったのかウォルターが「……ああ」と目を丸くした。
「じゃあこれも秘密、だねぇ」
「――秘密、ですね」
そうしていつかと同じような声色で囁かれた言葉に、柚春は頬を上気させて頷く。彼との間に秘密が増えていくことが、こんなにも誇らしくて、嬉しい。
ふふ、と嬉しくなって頬を抑える柚春にウォルターが、目を細めて柔らかに微笑んだ。それがまた嬉しくて、微笑み返すとウォルターの微笑みが深まった気がする。
――ああ、こんな風に過ごすのも悪くないなぁ。
ほのかにそう思って柚春はそっと、ウォルターから借りた本を手に取り、開いた。魔法使いの少女が、様々な魔法を使ってたった1人の恋する少年を振り向かせるために悪戦苦闘する、そんなストーリーだ。
日本語と英語、違う言語で同じ本を同じ場所で一緒に読む、それが2人だけの特別な時間のような気がした。
§
ウォルターが帰宅したのは、空が茜色に染まろうという頃だった。
「お帰りなさいませ、ウォルター様」
「うん。――これ、お土産だよぉ」
出迎えてくれたメイドの
メアリ・エヴァンズ
にそう言って、柚春から渡されたお土産を渡せば「お珍しいこと」とメアリが目を細めた。それに何かを見透かされたような居心地の悪さを感じ、けれどもそれ以上説明するのも億劫でウォルターは、たまにはねぇ、と軽く流す。
お食事のご用意は出来ていますよ、という言葉を背にひとまず自室へと戻り、紙袋をデスクにおいて軽く身なりを整えた。それから食堂へと向かうと、言葉通りすでにセッティングされたテーブルと、今まさに出来たばかりですと言わんばかりの食事が、ウォルターを出迎えてくれる。
それに、少しばかり重い気分で細く息を吐いたのに、メアリが気付いた。ウォルター様、と呼ばれたことでメアリに気付かれたことに気付き、何でもないよぉ、と受け流そうとする。
けれどもメアリは、流されてはくれなかった。ウォルター様、と呼ばう声は彼の幼い頃から不思議と変わらない。
「――とてもお疲れのご様子でございますね、ウォルター様」
「ああ。――ああ」
労わるような声色に、素直な本音が零れ落ちた。疲れた――ただひどく疲れた。
それが何に起因するものなのか、ウォルターには判らない。否、もしかしたら解りたくなくて眼を逸らしているのかも知れないと、自分自身を分析する程度には冷静だ。
冷静で、でも、それだけ。それ以上に自分自身に踏み込む意思がない。興味がない。――考えたくない。
ゆえに細い息を吐いた、ウォルターを見上げてメアリが一瞬、瞑目する。――遠い過去を想った。
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あとがき
担当マスター:
蓮華・水無月
ファンレターはマスターページから!
いつもお世話になっております、蓮華・水無月と申します。
この度はご指名頂きまして、本当にありがとうございました。
恋しい方と街歩きを楽しむ(?)物語、いかがでしたでしょうか。
内容があまりアレなのですが、その分も枝葉のフレーバー部分を楽しんで頂けたらと、頑張って執筆させて頂きました。
人の心は自分自身でも、なかなか理解するのが難しかったりするものですよね。
すべてを詳らかに目で見ることが出来れば楽なのにな、と蓮華もたまに思ったり。
お届けさせて頂きましたリアクションが、稲積さまに楽しんで頂ける物であれば、心から嬉しく思います。
またのご縁がございましたら、どうぞ宜しくお願いいたします(深々と
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
蓮華・水無月
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオS(400)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
NPC交流
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年10月07日
参加申し込みの期限
2022年10月14日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年10月14日 11時00分
参加キャラクター一覧
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