体感ホラー『ねい子さんの呪いの館』｜リアクション

体感ホラー『ねい子さんの呪いの館』

●お化けは怖くない？

　お化け屋敷に行くのはあまり気は進まないが、女子の前で怖がってると思われたくない。
　誘ってもらって断るのも悪いと思いつつ、響蒼留人はマーガレット・ライカーと一緒に『ねい子さんの呪いの館』へ。
「お化け屋敷……？　マガレはこういうの平気なのか？」
「体感型ゲームって実は結構好きなんですよね。作り物なのは確かですが、非現実であるがゆえのリアルみたいなものがあったりして」
　特にホラー系が好きという訳ではないが、創作の励みにもなるのでとマーガレットは好きな理由を言う。
「もしかして響君、ホラーがダメな人でしたか？　それなら無理強いはしませんが」
「別に、俺だって怖いわけじゃないが……」
　あまり気が進まないことを悟られたか？　と蒼留人は少し心配になった。
　お化け屋敷は作りものだから別にどうということはないはずだが、ビビっているところは見られたくない。
「いや、そういうわけじゃない。リアルで化け物と戦ってるし余裕だぜ。これはホラー要素があるゲームってだけだしな」
　リアルに化け物と戦ってるとは、どういうことだろう。
（時々……響君は真顔で厨二発言するんですよね。今更なので口には出しませんけど）
　行くぞ、と蒼留人が中に入るので、マーガレットはそれに続く。

　まずは呪いの鏡の部屋。
「ミラーメイズか。ここにねい子さんがいるのか？」
「鏡の部屋。これ一枚、実はガラスとかで反対側に役者が立ってたりするという定番の……」
　ねい子さんはどこにいるのでしょうとマーガレットが探し始めた時、
「うわっ！」
　蒼留人がいきなり大声を出した。
「きゃ！　響君、いきなり大きな声を出さないでください」
　これはジャンプスケア（ホラー映画で観客を驚かせ恐がらせることを意図して主に大きな恐ろしい音と共に画像や出来事を突然変化させるテクニック）ですと説明する。
「思わず飛び上がってしまったじゃないですか」
「いきなりで驚いちまった……」
　少し落ち着いたところでねい子さん探し再開。
　しばらくすると、蚊の鳴くような女性の声が聞こえてきた。
「何て言ってるんだ？」
　もう一度聞くと「ビー」と言っているように聞こえる。
「ビー……？　まさか。和風ホラーでBLとか言わないよな？」
　考えすぎかと思ったが、マーガレットが「今、確かにBLって聞こえました」とキッパリ。
「最新刊を見ずに未練を残して死んだ腐女子とかいう設定でしょうか？」
「そうとは限らんだろう。もう一度よく聞いてみようぜ」
　もう一度聞くがBLという単語は出ず。
「って違うじゃないですか。どういうことですか、響君？」
「いや、俺に聞かれても……もしかして花火　見える……じゃないか？」
　お化けと花火はともかく、BLはいかに？
　そうかもと納得したマーガレットは出口に置いてある紙と鉛筆で「花火　見える」と書くが、扉は開かず。
「全然違うじゃないですか……」
「それじゃあ一体何なんだ……」
　その後「花火」「見える」と書いたが開かず。
　やっぱりこれです、とマーガレットが「BL」と書くと扉が開いた。
「ま、マジで！？」
「開いたんですからいいじゃないですか。次に行きますよ」

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