体感ホラー『ねい子さんの呪いの館』｜リアクション

体感ホラー『ねい子さんの呪いの館』

●恐怖の謎解き

　呪いの鏡の部屋は和の趣きある迷路に、いくつもの姿見が掲げられている。
　薄暗い迷路の中にあるいくつもの姿見に、唐突に自分の姿が映りこんだ時は理緒は肝をつぶした。
「脅かさないでよ……」
　これには驚いてしまったが紗月に弱気なところを見せられない。それでも怖いものは怖い。
　怖い思いを隠すべく、理緒は姿見の中にいるねい子さんを探し出す。
　そうしているうちに、ねい子さんが映り込んだ姿見を発見。
「見つけたわよ」
「ねい子さん、キーワードを教えて」
　ねい子さんから聞き出したキーワードを忘れないよう、紗月は何度も呟く。
　出口に置いてある紙と鉛筆でそれを書くと、扉が開いた。

　次は呪いの人形の部屋。
「鏡以上に怖いんですけど。ていうか、人形マジで怖すぎ」
　飾られているだけならまだしも、動いたり声を発したりするのでなおさら怖い。
　人形の演出だけでも怖いのに、特殊スクリーンの壁に人形から実体化した悪霊が姿を現し、脅かしてくるので心臓に悪い。
　恐怖に怯える紗月の手を、理緒は強く握る。
「私が守ってあげる。謎解き、お願いね」
　何かヒントになるものは……と紗月は小部屋の隅々に目を凝らす。
　中央の卓には、ひらがな一文字が記されたいくつものパネル。
（卓の真ん中にへこみがあるということは、ここにパネルをはめこめばいいのね）
　仕掛けがわかれば、あとは謎を解くのみ。
　文字を並べ替えてはめこめばいいのだろうが、どうはめこめばいいのかわからず。
　理緒は人形に何らかのヒントがあるかも、とじっくりと日本人形を見る。
　顔立ちと髪型は似たり寄ったりだが、着ている服の柄は異なっている。
　麻の葉、矢羽、市松といった和柄の服だが、矢羽柄だけ柄の位置がバラバラだ。
「この人形の柄がヒントじゃない？」
「柄？」
　矢羽柄の向きは右だったり左だったり、上下逆になっていたりとバラバラだ。
　これがヒントかもしれないと直感した紗月は、自分の考え通りにひらがなパネルをはめこんでいく。
　はめこみ終わると、次の部屋への扉がゆっくりと開いた。
「理緒ちゃん、協力してくれてありがとう」

　鏡の部屋、人形の部屋を順当にクリアし、次はいよいよねい子さんの部屋へ。
　真っ赤に染められた長い廊下は、とてつもない距離に思えるほど怖い。
　無数の鍵がつけられたキーホルダーを手に取ると、理緒は紗月の手を強く握った。
　廊下は複数の区画に仕切られており、扉を開くと次の区画へ進める仕組みになっている。
　次へ進むにはお札の貼られた扉を開けばいいのだが、正しい鍵を選び出さないといけない。
　これまでの謎解きは思ったより単純なものだったので、紗月はすぐに解けた。恐怖より物足りなさを感じたくらいに。
　理緒と手をつないで紗月は区間を進んでいくが、進むごとに迫りくるねい子さんの幻影。
　大きくなる恐ろしい声や数々の怪奇現象に恐怖が高まり、半ば涙目に。
　涙目どころか、涙をこぼしてしまうほど。
　辛うじて涙をこぼす程度で済んでいるのは、頼もしい理緒が一緒だから。
　彼女だけだったら、悲鳴を上げて泣き叫んでパニックになっていたかもしれない。
　怖い思いをしながらも、どうにか最後の扉を開けてねい子さんの部屋へ。
　辿り着いた時、二人は女性の人影らしきものを見た。
「そこにいるのは、ねい子さん？」
　紗月がそう問いかけると、人影らしきものはゆっくりと近づいてきた。

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