携帯戦記カプセルギアアーケード・クロス　絆で戦え比翼連撃！｜リアクション

携帯戦記カプセルギアアーケード・クロス　絆で戦え比翼連撃！

　ショッピングフロアのはずが、ロボットの戦う音がする。
　何か映画の告知イベントでもやっているのかと八神修が視線を送った先、そこには『カプセルギア』の文字があった。
　ゲームやロボット系は好きだけれど、受験生となって気持ちを引き締める頃には距離を置いてしまい、新作などまったくチェックしていなくて、ふと懐かしい気持ちからデモムービーに魅入ってしまう。
（絆で戦う……ペアが推奨か）
　息抜きに少しやってみてもいいけれど、一人だと浮いてしまうだろうかと参加者を見やり。イベントはもう少しやっているみたいだし、連絡をすれば来てくれるだろうかとスマホを見て。
　よく知りもしないのに声をかけるのも躊躇われ、まずは展示ブースでも眺めようと情報収集に向かった先。安堵したように声をかけてくれたのは、七夜あおいだった。

「修君がいてくれて助かっちゃった」
　大きな筐体におっかなびっくりではあるものの、ゲーム画面には戸惑いなく機体をセットアップしていくあおいは、極端に不慣れな様子は無い。
「あおいもロボットとか好きだっけ？」
「ロボットがというか……こういうボコボコ叩くゲームは、スカッとしていいよね」
　身の丈よりも巨大なハンマーを振り回し、操作を確認しているあおいはパワータイプを選んだようだ。待たせないようにと修がスピード系の機体をベースに組み上げていき、出撃前のチュートリアルが終われば、カプギアはこのシーサイドタウンの上空からスタジアムの辺りへと落とされる。
　アクティブなカプギアが歌やダンスを披露する姿は、イベントの賑わいのようだけれど……ステージ見たさに押しかける人で混乱が起きはじめている状況は、黙って見ているわけにもいかない。
「なるほど、これは放っておくわけにもいかないな」
「悪い子はおしおきだよー！」
　気合い十分にハンマーを振り回すあおいの機体は、モーションが大ぶりで些か命中率に不安はあるが、当たりさえすれば大きな一撃を与えられるだろう。
　どこかに誘い込むにも、相手は同じスピードタイプのギアだし、撹乱を狙うには技術が心許ない。けれど、フィールドにあるアイテムを使うという発想はNPCにはないはずだ。
（所々に車が停めてあるな……使えるか？）
　乗用車に飛び乗って、そこからバスに飛び移ることも。そこからしゃがんで攻撃態勢をとることも可能なことも――それを真似ようとしたあおいが、一振りで車を爆発させてしまったことで、小規模ながら範囲攻撃に使えることも、わかった。
「意外と使い方は多そうだな。他にも周辺物が活用できるかもしれない」
「活用……そういえば、ここの敵はダンスしているみたいだけど、一緒に踊ったらどうなるのかな？」
　喜ばせることになり、強くなってしまうのだろうか。それとも、油断を誘って攻撃のチャンスがやってくるだろうか。彼女の素朴な疑問が、修も妙に気になった。
　猫のマーカーを頼りに探索をし、あおいに危険が及ばないよう最低限の敵だけ倒すようにして進めるのもありだけれど、スカッと楽しむことを目的にするならば、多少のピンチもいいのかもしれない。
（あおいを狙うようなら、積極的に攻撃すればいいだけだし）
　すぐに駆けつけ高速の一撃を繰り出すためのスピードタイプだ、まずは試してみないことには、有効活用ができるのかわからない。
「じゃあちょっと……踊ってみる？」
　ギリギリ敵として認識されない距離に近づけば、軽快なステージ音楽に合わせて場を煽っているリーダーに、吹き出しアイコンがついているのが見えた。それに合わせて、入力してみろということだろうか。
『clap,clap！ hands up！ clap,clap！ hands down！』
「ひゃー、リズムゲームみたい。ええと、いっちにーさんしっ！」
「あおい？　敵の隙を狙うのを忘れないでね」
　慌てたように「わかってるよ」と応える彼女が忘れていたとしても、自分のやるべきことは変わらない。
　修はあおいの楽しげな様子に、クスクスと笑いを零した。

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あとがき

担当マスター：浅野悠希
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みなさまご参加ありがとうございます、浅野です。
カプギアです！　カプセルギアですよー!!

バトルシナリオは不得意であるものの、ロボット大好きなので挑戦してみたのですが、いかがでしたでしょうか。
少しお待たせしてしまいましたが、仲良くワクワクしたお話になっていれば嬉しいです。

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