よるのひみつたち｜リアクション

よるのひみつたち

●ゲーマー少女の熱い夜

「秋の夜長はゲームに限る！」
　明日は日曜日なので、遅くまで起きていても大丈夫。
　というわけで、仙藤蒼は格闘ゲームのオンライン対戦の真っ最中。
　今、蒼がプレイしているのは『ニャンコ・オブ・ファイターズ１５（ＮＯＦ１５）』。
　ＮＯＦ１５は数10匹の個性的な猫たちの中から3匹を選び、3対3のチーム戦を行う最新格闘ゲームだ。
「この子と、この子と、この子を、っと」
　どの子にしようかな、と悩みながら編成したチームはサイキック猫と火炎猫、稲妻猫の3匹。
「完全に攻撃に極振りしているけど、まあ、いいか」

　チームエディットが終わると、さっそく対戦。
　対戦相手を次から次へと、片っ端からコンボをかましてブッ倒していく。
「にゃったぁ～！」
　サイキック猫の勝利ボイスを、つい、口にするほど嬉しくなる。
　連戦連勝の蒼に、対戦を挑む者が出てきた。
「その挑戦、受けて立つ！」
　喜んで、その対戦を受けて立つことにした。

　対戦相手も、蒼と同じくサイキック猫と火炎猫、稲妻猫の3匹という編成だった。
「私と同じ？　偶然……」
　チームエディットが同じでも対戦順は異なるはず……と思いきや。
「順番も一緒！？　偶然過ぎるでしょ！」
　奇しくも対戦順も被ってしまった。

　１戦目はサイキック猫同士。
『いっきにゃ～す！』
　対戦前の演出も同じなので、ボイスは多重音声だ。
　対戦開始当初は蒼が優勢だったが、中盤になり、相手の猛反撃でダメージを喰らいまくった。
　このままだと負ける！　と思ったが、反撃しまくってどうにか相手のゲージを減らすことができた。
「負けないわよ！」
　あともう少しで勝てる！　というところでタイムアップ。この勝負はドローとなった。

　次の火炎猫もサイキック猫同様、演出もボイスもまったく同じ。これまた多重音声。
　対戦相手は相当使い慣れているのか、火炎猫は開始早々、必殺技を繰り出して攻撃しまくっている。
「なかなかやるじゃない。燃えるわね」
　蒼も負けじと必殺技やコンボを繰り出し反撃する。
「これで決まりよっ！」
　この一撃で勝つ！　と意気込んだが、相手の反撃と相打ちだったことによりダブルＫＯ。
「この相手、実力は相当なものね。私が苦戦するなんて……」

　残るは稲妻猫同士の対戦。これまた登場が前２戦同様な演出、ボイスである。
　互いにすべてを出し切ったといっていい熱戦であった。
「これでもくらえー！」
　とどめ、と稲妻猫の超必殺技で決めようとしたところで惜しくもタイムアップ。
　サイキック猫同様のドローとなった。
　結局、互いに１勝もできないまま対戦が終わった。

　次は誰と対戦しようかと思ったら、先程の対戦相手から再戦の申し込みが。
「いいわよ。何回でも相手になってあげるわ」
　
　その後、夜が明けるまで蒼はNOF15をプレイしまくった。

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