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寝子島高校
今日が今日であればいいさ
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互いに言葉数の多いほうではないので、しばらく無言で路をゆく。
夏の気配まだ残る寝子島は、裏ごしした南瓜のような色味を帯びている。茹でたての暑さ濃さはないものの、しっとりした熱があるのだった。急激に秋へとうつろいゆく島の外とは、やはりちがうなと源一は思う。
源一の視線が寛美に流れた。よれた白Tシャツからのぞく腕はミルクココアの色に焼け、同じ色の首筋に、うっすらと透明な汗がにじんでいる。襟元から顔を出す肌は、わずかではあるが色味が薄い。
しかれど源一は、女性としての寛美ではなく、一個の生命として彼女を見た。
前とは、ずいぶん印象が変わったな。
かつて寛美は、野生の貂(テン)のイメージをまとっていた。しなやかだが攻撃的なまなざしで、寄らば斬ると宣言しているように見えた。長い睫(まつげ)のひとつひとつが、槍アザミの花弁を思わせたものだ。ただ立っているだけで牙を剥きだしている印象を周囲に与え、存在しているだけで白刃のような緊張を振りまいた。一文字で表現するなら『険』だ。
現在の寛美において、『険』の色はすっかり鳴りをひそめているように見える。平凡な女子高生とはとても言えまいが、少なくとも刺々しいものは消え失せた。靱(つよ)さに変わりはないものの、ぶつかって砕けるような硬さではなく、もっと柔軟でしなやかなものへと変質したような気がする。
寛美との初邂逅は、辻投げなる奇妙な武侠集団と対決したときだった。寛美は集団の一員だったのである。
その後、いつの間にか寛美は寝子島高校に転入していた。次に源一が寛美を見たのは図書委員の初会合だった。
定刻通りに着席している集団のなかに、寛美は三十分近く堂々と遅刻したうえ「忘れてた」と悪びれもせず言いのけた。おまけに始終退屈そうにしていたものだ。聞けば「本? 読み始めたら寝る」とのことで、図書室を訪れるのもこのときが初めてで、教科書以外の書籍を手に取ることすら滅多にないという。
本嫌いの寛美が図書委員になったのは、どういういきさつがあったものか。
だが寛美が図書委員でなければ、こうして源一と知り合うこともなかっただろう。
そしてあの夜――。
稽古を終え山を下りる途上で偶然、源一は寛美に出くわしたのだった。
そのころの源一は、寛美の苗字すら思い出すのに時間がかかった。寛美とて同様だったろう。
このとき源一が素通りしなかったのは、寛美が目をはらしていたからだった。おそらくは、泣いた跡だった。
どう声をかけるべきか迷って、とっさに源一はそばにあった自販機でスポーツドリンクを買い、「……やる」と短いメッセージだけつけて寛美に投げ渡したのだった。
「くれるってんなら、遠慮はしないぜ」
が、寛美の返事だった。
これをきっかけに急速に親しくなったというわけではない。けれども以来、源一と寛美は顔を合わせば言葉を交わす程度の間柄になり現在に至っている。
印象的な出逢いもあった。『マウス』なる危険人物を相手に共闘したこともそのひとつだ。伊織にとって最大の障壁にして師、すなわち祖父と立ち合う直前に、たまたま会話したこともある。あのとき、餞別と言って寛美がくれた某ファーストフードチェーンのドリンク無料引換券を、今なお源一は使わずにおいている。
つくづく不思議な縁だと思う。
運命とかそういった類(たぐい)を源一は信じないが、初の帰省を果たしたこの機会、互いの電話番号も知らず連絡の取りようがない状態でこうして会うことができたのも、やはりなんらかの導きではと思わないではない。
しかも本嫌いのはずの寛美が今日は、こともあろうに本屋に行きたいというではないか。
「しかし、進路か」
ぽつりと源一は口に出す。思ったことしか言えないたちゆえ、唐突感は否めない。
「うん」
足元に硬貨でも落ちているかのように、寛美の視線はうつむき加減だ。
「何の本を買うんだ?」
「ああ……なんつーか……」
「進路関係の、たとえば、職種にかかわる書籍とか?」
「いや、そーいう見上げたもんじゃねーかな」
なんかもやもやしててさあ、と寛美は言った。
「このまんまだとあと半年くれーで俺、卒業だろ? けどな、このまんまじゃどうなるのかな、って思ってな」
「目標はないのか」
「前は実家……つーか父親の支配から逃げることが俺の目標だった。まぁ色々あって、そっちは達成したんでな」
気になる話ではあったが、源一に根掘り葉掘り訊ねるつもりはなかった。本人がすでに達成したと言っている話だ。混ぜ返すべきではないだろう。
「俺ほら、頭のほう、バカっつーか勉強なんざ全然できねーからよ」
へへっと言って寛美は頭をかく。
「だから進学ってわけにはいかねーし、かといって就職っていってもなぁ……特にこれってのがなぁ……」
いざとなりゃフリーターでもいいわけだけどな、とざっくばらんに語る寛美である。
つまり、目当ての本を買いに行くのではなく、その目当てを探しに本屋に行くという感じだろうか――?
何にしろ、可能な限り力になってやりたいと源一は思う。
じきシーサイドタウンだ。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオSSS(600)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
NPC交流
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年08月07日
参加申し込みの期限
2022年08月14日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年08月14日 11時00分
参加キャラクター一覧
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