＜悪魔ダスト３＞不定形魔獣と女子高生｜リアクション

＜悪魔ダスト３＞不定形魔獣と女子高生

●戻ってきた日常

　ジェルバスターが討伐された後、ダストの計らいで簡単な打ち上げがダストの店で行われていた。
　料理の数々はダストと一緒に妙子が作ったものだ。温かい家庭料理が並んでいる。
　その一品、味の染みた肉じゃがを頬張り、ティオレはくいっと日本酒で喉を潤した。
「くぅう、いいねぇ……この味の染み具合、いやぁ酒が進むってもんだよ」
「ふふ……お口にあったようでよかったです」
　いい食べっぷりと皆の楽しみっぷりに満足そうな笑顔を妙子は浮かべている。
「ねえ、これちょっと使ってみない？　あのね、少しだけびりっとするだけだからさ」
「うーん、電流かぁ。効果は高そうだけど……」
　絵梨菜にしびびガンを勧めているのは真白だ。どうやら電流の良さを分かる仲間を増やそうとしている模様。
　対する絵里奈はまさか自分に電流が流れるとは知らない。電流を受けたら彼女はどういう反応をするのだろうか。
「先程、私も試しましたけど……ええ、最高に気分が良い物ですよ。一度、試してみたらいいかと」
「へえ、そんなに爽快に敵が倒せそうなの？　じゃあ、気分がいいみたいだし、一回試し打ちさせてもらっちゃおっかなぁ……」
　にこっと笑って同じく絵梨菜にしびびガンを勧める紫苑。彼女がいう“気分がいい”と絵梨菜がいう“気分がいい”は恐らく違う意味なのだろう。双方全くそれに気が付いていないのだろうが。
　そんな打ち上げに用事があると言って参加しなかったものが一人。
　御剣はツクヨとホテルの部屋にいた。戦いが終わるやいなや彼女を電話で呼び出したのだ。
　体を密着させながらツクヨと唇を重ねる御剣。ツクヨの黒く細い、髪に混ざった二本の触手が愛おしそうに彼を抱きしめる。
「戦いの火照りは……お前とじゃなきゃダメなんだ。わかるだろ？　あいつなんて気にしなくていいんだよ」
「あひゃはっ、カタナは何でもお見通しですねぇ。それじゃあ……証明してくださいねぇ、貴方の行動でぇ――」

　各々の夜が過ぎていく。
　寝子島には不可思議な事態も多く、フツウを守るのは一筋縄ではいかない。
　だがそれでも彼らがいる限り……守られるのだろう。
　今日も。
　そしてこれからも。

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