寝子島にはある噂があった。
それは深夜3時にとあるトンネルに行くと、どこかへと連れ去られてしまうという噂だ。
連れ去られた者は二度と帰ってこないとまで言われる非常に恐ろしい話。
「目的の場所はここね? うーん……どう見ても普通のトンネルだけど?」
深夜のトンネル。そこに噂の調査にやってきたのは悪魔の少女【イヴァ】だった。
かつて、敵対する存在だった彼女は寝子島の者たちとの戦いや触れ合いを通じ、今は和解して異世界の少女【ちーあ】と共に寝子島にて暮らしている。
普段の生活の傍ら、こうして怪しい噂があると異界の手の者が寝子島に悪さをしていないか、調査しているのだった。
隣にいるのは
三条 神無だ。イヴァと共に噂の真相を突き止めに来たのである。
「人の姿もないし、幽霊とかそういったのが出る感じも……っ!?」
急な寒気を感じ、イヴァと神無はその場から飛びのいた。すると、彼女たちの立っていた足元から不気味な手が複数伸びている。あのまま立っていれば捕まってしまっただろう。
「おんなぁああ、おんなぁぁああああ、欲しいい、その身体ぁぁああ」
「一体なんかじゃない……無数の、怨念というか、執着心かしら。何にせよ、討滅するしかないわね」
イヴァが腕を振るうと身の丈程もある大鎌が彼女の手に顕現する。鋭い刃がキラリと光る。
彼女は大鎌を振り上げると無数に蠢く腕目掛け、思いっきり振り下ろした。大鎌の刃が腕たちを斬り裂いて霧散させていく。
神無もちーあから借り受けた霊刀を引き抜くと青く輝く刃で腕たちを屠る。
右足を軸にして回転し周囲に群がってくる腕たちを纏めて神無は斬り飛ばした。白い腕たちが欠片となって散らばり、消えていく。
「ぎぃいやぁああああ、いたいい、痛い痛い痛い痛い!」
「悪いけど、そこまで怨念がこもっていたら、荒療治しかないわ。ごめ――――っ!?」
次の瞬間、神無とイヴァは絶句した。
なぜならトンネルの床や壁、その一面に白い腕がびっしりと生えていたのだから。腕ではない位置を探す方が困難だ。
「これじゃ、逃げられない……っ」
「これが、噂の真相……! だったら!」
「えっ、な、なにをきゃあああああああ!?」
恐怖の色を隠せない神無を掴むとイヴァは思いっきり空中に放り投げた。続けて手をかざすと高速で呪文を詠唱する。早すぎて何を言っているのかはわからない。
イヴァの呪文詠唱が終わると同時に神無が吹っ飛んでいく進行方向に黒い大きな穴が出現する。
そのまま神無は黒い穴に吸い込まれ、そのまま穴は閉じてしまった。
「……任せたわよ、救援を、よ、わぷっ、んでっ、ああぁあっ!」
白い腕がイヴァに群がり、彼女はその中に飲み込まれていった。
ふと、イヴァが気が付くとそこは洞窟のような場所。トンネルではない。どうやら引きずり込まれてしまったようだ。
「これは、一体? ここで、何が起きているというの……」
イヴァは腕や足に力を込めてみるが、ぶよぶよとした肉の壁に埋まった四肢は微動だにしない。自力で抜け出すことは不可能なようだった。
辺りを見回すと他にも囚われた人々がいるようだが、彼女たちは虚ろな目をしておりその視線に生気は感じられない。
彼女がそれでも必死にもがいていると、前から白い腕の集合体のような物体【グヌメル】が現れる。それは人型ではあるが、眼鼻や口はなく、実に奇妙な出で立ちだ。
「逃げられない、お前も、ぐふふふ」
「何がっ、目的なの、この人たちに、何をしたのよ!」
「ぐふ、ぐふふ……それはこれから知ることになる、ぐふふ」
◆
シーサイドタウン。
その路地裏に黒い穴が突如現れると神無は、ぽいっと地面へ放り出される。起き上がってみれば、もう黒い穴は消えてなくなっていた。
「……早くあの子に伝えないと。イヴァが大変なことになってしまうわ」
早足で駆けながら、神無はちーあのアパートへと急ぐ。
だが彼女はそこについて愕然とした。
どうやらちーあは不在のようで、アパートに人の気配はない。
こういう時は大体、異世界の事件解決へ向かっており、その場合はいつ帰ってくるかはわからないのだ。
アパートを後にし、道を歩きながら神無は途方に暮れる。
「どうしよう、早く何とかしないと……イヴァが――」
「――イヴァが、どうなるんですかぁ?」
聞きなれた声を聞いて神無は振り向いた。
するとそこにはダストがいる。ちーあの仲間であるツクヨと瓜二つの姿を持つ彼女は、肌と髪色だけがツクヨと異なっていた。褐色の肌に黒髪という姿だ。
「ダスト、丁度良かった。手助けしてほしいの。実は人が消える噂のトンネルを調べにいったら……」
神無からあらかたの状況と事情を聞いたダストは考え込む顔をした。
「なるほどぉ。イヴァがやばそうなモノに捕まったんですねぇ。さて、どうしましょうかぁ。助けて恩を売るってのも悪くはないですねぇ。よし、いいでしょう。案内してください。助けてあげますよぉ、このダストちゃんが」
裏がありそうな笑顔に少々の不安を覚えながら神無はトンネルへと案内するのだった。
お初の人もそうでない人もこんにちわ、ウケッキです。
今回は悪魔ダストの2話です。
人が消えると噂のトンネル、その調査に向かって捕まってしまったイヴァ。
果たして、彼女を助けることはできるのでしょうか。
それでは皆様のご参加をお待ちしております。
◆場所
トンネル・地下洞窟
:あるトンネルにある封鎖された地下洞窟です。
ここは工事の際に発見されましたが、埋めるにはあまりにも広かった為に入り口だけ封鎖され、
放置されていました。
中は入り組んでおり、横幅や高さは動き回るには十分に広いです。
壁や床には白い腕が潜んでいるので奇襲に注意してください。
◆予想されるルート
最奥にて白い腕の集合体【グヌメル】を倒す 同行者:ダスト
:洞窟の最奥にてグヌメルを討伐します。
グヌメルは通常の物理攻撃を無効化しますが、特に火に弱いのでよく燃えます。
なお霊刀による斬撃は普通にダメージが入ります。
洞窟を巡って捕まっている女性たちを助ける
:洞窟を回り、捕まっている女性を救出します。
しかし壁や床に潜んだ白い腕が無数に襲い掛かってきます。
もしも捕まってしまえば、捕まっている女性たちと同じように【酷い】ことをされてしまうでしょう。
◆登場する敵
【グヌメル】
:白い腕が無数に集まって人型を成している存在。
物理攻撃は効かず、霊刀による斬撃や炎攻撃に弱いようです。
股間に白い腕を増やす為の器官を持つ。
掴んで相手の生気を吸うこともある。生気を一定量吸われると行動不能となります。
また生気を吸えば吸うほどに強化されてしまうので注意です。
白い腕
:一体一体は弱いですが、集まると厄介な敵です。
攻撃能力は低いです。また、相手を掴んで生気を吸うこともあるようです。
◆ダストの改造品
この中から一つ選択して持っていくことができます。
霊刀・炎鬼
:ちーあが貸し出している霊刀をダストが勝手に改造した物。
従来の幽霊を切断する能力に加え、炎を刃に纏わせることができる。
軽く作られており、アシスト機能により刀の心得がない人でも扱える代物。
アシスト機能はオフにすることもできる。
デカクナール
:カプセル型の薬品。これを飲むと5分間、パワーが上昇する。
副作用として胸が大きくなる。巨乳だと一時的に母乳が出るようになる。
男性が飲むと一日ほど女体化する。ロリ巨乳になる。
自動追尾型・手裏剣
:ちーあから借りた自動で相手を追尾してくれる呪い付きの手裏剣。
軽くて誰でも扱いやすい。ただ投げるだけで自動で相手に飛んでいく。
呪いがミスっているのか三回に一回ぐらい、自分に飛んでくる。
◆登場人物
ダスト
:悪魔の少女。ちーあの仲間のツクヨと瓜二つの姿をしている。
相手攻撃を読み取り、一度見た攻撃はコピーするという厄介な能力の持ち主。
ただ現在は生きる為に必要最低限の生気しか得ておらず、普段の30%程度しかパワーが出ない模様。
そのお胸サイズはツクヨと同じFカップ。中々にファンが多いのでお店は繁盛しているらしい。
なおお店には“裏メニュー”があるとのもっぱらの噂。
イヴァ
:悪魔の少女。ちーあの仲間の一人。
大きな胸をしたサイドテール姿の少女。
戦闘から炊事洗濯、料理まで何でもこなす。
得物は身の丈程もある大鎌。