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■日曜:午後四時、ブリリアントリゾートホテルのプライベートビーチ
波打ち際に寝そべって空を眺めている。
海は引き潮、訪れる波の勢いは、かすかではあるが遠のいていく。
撮影は終わって、ようやくふたりは自分たちだけの時間を手にすることができたのだ。
空はまだ青いし高い。思い出す。タイのプーケットでもこうしていたことを。
ともすれば波にかき消されてしまいそうな小声で、理緒と紗月は言葉を交わした。
「いまでも信じられないんだよね。こうして紗月と一緒に仕事してるなんて」
「私もだよ。あのときは衝動的だったというか……」
「紗月は本当に引っ込み思案だったもんね。それがあんなに大胆に……」
「よしてよ」
紗月はくすぐったそうに笑った。
「カメラを意識すると、自分が自分でないみたいになってしまう瞬間があるだけだから」
「それだよ、グラドルとして一枚剥けたっていうか」
「そんな自覚はないけどな……」
「自覚なくやってるとしたらよりすごいよね。天性?」
「そんな天性ないない」
手を振るかわりに紗月は首をすくめてみせた。
「知ってる? 紗月、このごろ同業者の間で評判いいんだよ。それも、大げさでなくうなぎ昇りって感じ」
「買いかぶりすぎだよ」
「撮影パートナーはいつも私だから、理緒ばかり独占するのはずるい~なんてジェラシーも受けてるんだから」
決して大げさな話ではない。狭い業界のことゆえ、めぐりめぐって色々な話が理緒の耳に飛びこんでくるのだ。実際、紗月との撮影を希望しているグラドルが何人もいるという。一度などは直接頼まれたこともある。紗月と組むことで自分の株を上げたいという考えでもあるのだろうか。グラドルはどちらかといえば太陽のようにみずから魅力をふりまくタイプが多いので、陽を受けて輝く月のような紗月と組み合わせになることに興味があるのかもしれない。
「だから紗月はもっと……」
理緒の語尾が、洗い流されるようにして波音に溶けた。
「理緒ちゃん?」
紗月が視線をすべらせると、目を閉じている理緒が見えた。
「……寝てるのかな」
規則正しい寝息が聞こえる。安らいだ寝顔だ。理緒の睫毛には透明な砂粒が付いていた。取ってあげたいという気持ちと、綺麗なのでこのままにしておきたいという気持ちが、紗月のなかでせめぎあっている。
悩んだものの紗月は、ふっと息を吹きかけることにした。
理緒は目を覚まさなかったが、砂粒は短く振動してどこかへ消えた。
理緒ちゃん。
抱き寄せたいけれど、起こさずにいよう。
この一週間で一番静かな時間だと紗月は思った。
ひょっとしたらこの静かな時間は永遠にこなかったかもしれない。そう思うと腹の底が冷えた。
理緒はつい先日まで、ストーカー被害を受けていた。
加害者は出版社の男性編集者だった。はじめこそ人当たりのいい人物だったがやがて態度は許される範囲を超え、雑誌という直接のつながりが断たれたことがきっかけで理緒に異常な執着を見せるようになった。細かいやりとりを紗月は知らないが、主としてSNSで理緒につきまとっていたようだ。この人物が理緒に関する悪意のある情報を流していたことを紗月も知った。接触を求めたり、聞くに堪えない言葉を理緒に浴びせていたことも想像がつく。おそらく理緒は身の危険を感じ、怯えきっていたことだろう。
理緒ちゃんは私にストーカーのことを明かそうとしなかった。そんなことをすれば、私が狂おしいほどの不安に駆られることをわかっていたから……。
それでも紗月は少ない手がかりから、理緒のストーカーに接する機会を得たのだった。いくらかは偶然も手助けしたものの、紗月の冷徹な頭脳がなければたどり着くことはできなかっただろう。
迷いはなかった。遭遇するや容赦なく、紗月はストーカーの心に処断を下した。二度と理緒に手出しできないように。
平和的な方法であったと断っておく。けれども断固とした方法だった。肚(はら)が据わっていなければ、到底できない手段であった。
ストーカーの脅威は去った。そして理緒は、赤子のように安らかな寝顔を自分にさらしている。
良かった。
本当に良かった。
もう大丈夫だからねと教えてあげたい。もしまたこんなことがあっても、何度でも自分が救ってあげると教えてあげたい。必要であればいつだって、紗月は手を汚す覚悟はできている。
……私、理緒ちゃんのためなら……。
思い詰めたような目で理緒を見る。
聞き慣れた音がした。
シャッター音だ。
「えっ」
紗月は身を起こし、カメラを手にした片庭椎子を見た。
「片庭さん?」
「ごめんごめん、職業病だね、つい撮っちゃった。紗月ちゃんの切ない表情、最高! て思ってね……」
「急に撮らないでください」
顔が火照るのを紗月はおぼえている。
「本当にごめん。でも、すっごくいい貌(かお)してたよ。どうしても見逃せないくらいの」
ぴしゃっと両手を合わせて片庭は砂に膝をついた。
「ね? さっきの一枚、写真集に使っていい? 眠る理緒ちゃんを愛おしげに見つめる紗月ちゃん……値千金の一枚になったと思うんだ」
「そんなこと言われても……」
勘弁してほしいというのが紗月の正直な気持ちだったが、断り切れないだろうなとわかってもいた。
「えん? なぁに?」
目を擦りながら理緒が身を起こし大あくびする。写真のことを聞いても理緒ならきっと、「いいんじゃない?」と言うだろうと紗月は思った。
なら仕方ないか。
「理緒ちゃんがいいって言うんなら、まあ……」
片庭が言うところの『値千金の一枚』は、写真集の見開きページを飾ることになった。
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ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年07月04日
参加申し込みの期限
2022年07月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年07月11日 11時00分
参加キャラクター一覧
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