this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
思ひ出語り、恋語り
<< もどる
1
2
3
4
5
…
6
つぎへ >>
文也は何気なく、まるで天気の話をするかのように告げた。
「僕さ、他人に対して好きとか、そういう気持ちになったことないんだよね」
「どういう、意味ですか?」
七瀬としては問い返さずにはいられない。口ぶりこそ軽いが、聞き流せない話であるように直感したのだ。
直感はまちがいではなかった。文也は言ったのである。
「家族や友人のことは好きだけど、一緒にいたいとか会えると嬉しいとか……七瀬くんが表現したような、そこまでの気持ちは起こらないってこと。ましてや、恋い焦がれるなんて気持ちは、一度も」
蛍でも追うかのように、視線を照明に移す。
「というわけで恋人がいたことはないし、恋愛経験豊富じゃないんだよね」
豊富じゃないというよりは、と苦笑気味に文也はつづけた。
「からっきし、かな。なにせ、一応は婚約者もいたけど、逃げられちゃった身の上だし」
「婚約者に?」
思わず七瀬はオウム返ししてしまう。逃げられたというのはつまり……文字通りの意味なのか。
たはは、と今度は、もう苦笑以外の何物でもない声を文也は発した。
「そうなんだ。といっても彼女は、物心つく前からきまっていた相手なんだけどね。親同士のとりきめ、ってやつだよ。申し分のない女性だったとは言っておこうかな。明るくて優しい人だった。頭もいいし、美人だったよ。長い付き合いだったから気心も知れてた。だから彼女に対して特別な感情はなかったけど、まったく嫌じゃなかった。気楽だったと言ったほうがいいかな。面倒がなくていいやとすら思ってた。けど」
カウンターの木目に添って文也は指を走らせる。合板にプリントした木目ではない。凹凸のある無垢板の木目だ。数センチ走らせて、反転する。いつくしむように撫でる。年月を経たせいでテーブルはいくらか反っているが、その点を含めて味があった。
「……けど、彼女のほうはそう思ってなかったみたいでね」
「つらいこと、思い出させてしまったのなら……」
「ちがうちがう」
文也は、花が咲いたように笑った。
「正直、良かったと思ってるんだ。拙者にとっても、彼女にとっても。哀しいかな、あたしは人に恋することができない。愛することができないんだ。興味がないんだね。だから七瀬くんのことがうらやましいんだよ、衷心から」
文也の告白に、七瀬が驚かなかったといえば嘘になるだろう。英語でいうところのasexual(アセクシャル)、つまり無性愛者とあかしたのだから。しかし七瀬が動揺することはなかった。地震計ですら検知できない程度に『そうなんだ』と小さな波がたっただけだった。……そんな人が僕の話聞いてて面白いんかな、という疑問はあるけれども。
このとき偶然ながら文也も、『そんな人が』というニュアンスの言葉を頭に描いていた。けれども意味合いは、七瀬のそれとはちがっていた。
そんな俺だから――文也は思ったのだった。七瀬くんの話を聞いて、自分が感じたことを言っておきたい。変な色眼鏡をかけることなく。
「要は、七瀬くんその先生のことが好きってことだろ。だったらそれで、それだけでいいんじゃないかな」
ざっくりした結論かもしれないが、七瀬にも語り手の文也にも、腑に落ちる言葉だったのも事実だ。
「会えると嬉しいなら会いに行けばいいし、心配なら心配すればいい。好きなら、好きのままでいればいい。この世のどんな宝石よりも価値あることだと思うよ。あ、相手が嫌がってるとかなら別だけどねー」
「そう……ですね」
幸せな場面のまま止まっておけばいい、少なくとも今は。七瀬は結論に達した。
黒いブリティッシュスーツを着たウォルター先生が、あおあおとした楢の木にもたれかかって革の手帳を開いている。彼を眺めているだけでもいいし、声をかけたっていいだろう。でも別の女性の影を目撃したり、自分が彼女を押しのけて、先生の隣に収まったりする必要はないはずだ。
文也は言う。
「誰かを想えるって素敵なことだよ。その心を大事にね」
七瀬は目でうなずいた。
想っているだけで幸せだ。確かに、そうだ。それ以上求めることがあろうか。
「珈琲、おかわりいる?」
文也はふたつのコーヒーカップを持ち上げた。
いずれもとうに空だった。
<< もどる
1
2
3
4
5
…
6
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
思ひ出語り、恋語り
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオSSS(600)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
定員
2人
参加キャラクター数
2人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年06月13日
参加申し込みの期限
2022年06月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年06月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!