this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
思ひ出語り、恋語り
<< もどる
1
2
3
4
5
…
6
つぎへ >>
「うーん、難しいです。いると言えばいるような、いないと言えばいないような……」
七瀬のまなざしに映りこむのは琥珀色、珈琲の色で記憶の色だ。
琥珀色の窓を通して、七瀬は記憶の糸をたぐり寄せる。
――好いとー人。
回想する。あのときの思い出を。
七瀬は駆け出していた。無我夢中だった。周囲など何も見えず、ただ一人だけを目がけ砲弾のように馳せた。
彼の名を呼び両腕で彼に抱きつくと、
「がふっ」
勢いを殺すことなく全身をばねのようにして、彼に渾身の頭突きをあびせたのだった。
「倉前、君、いきなり……」
「っ、先生のあほー!! すごく心配したんですよ!?」
ウォルター先生。
ウォルター先生。
ウォルター先生……!
思い浮かぶのは彼の戸惑ったような表情。そして理解を示すように、
「うん……うん、ごめん」
と顔をほころばせてから、頭にのせてくれた彼の手。
生け垣の迷路を行ったり来たりするような逡巡のすえ、好いとー人がいるとすれば、と前置きして七瀬は彼の名を告げた。
「……
ウォルター・B
先生、ですね。高校のときの恩師の」
実際にはせいぜい数秒のことだったろうけど、長い長い間が開いたように七瀬は感じている。
文也も同じだ。受け取った言葉をしばし頭のなかで反芻して、
「ウォルター……?」
と言った。
「ええ。男性です」
重い告白ではなかった。さらりとした口調であり言葉だ。
けれども文也はしばし、蝶の羽ばたきのような短い間隔のまばたきを禁じ得ない。
先生、しかも同性に惹かれているとは、正直驚きではあるが――。
文也はカップを口にした。苦みを味わって心を落ち着ける。
何を驚く必要があるんだい? そう己に問いかけてから文也は口をひらいた。
「恋愛は自由なものだよ」
「恋愛、ですか?」
「ちがうのかい?」
「恋愛的な意味で好いとーのかと言われると……ちょっとわからんったい、って感じ、ですね」
七瀬はサブレを手に取った。さくさくとした歯ごたえ。きめの細かい食感に、粒立った甘さ。好みの味だ。
「じゃあどんな感じなのかな?」
「先生と会えると嬉しいんです。先生に何かあったら、って心配になることもあります。ずっと前、先生の身を案じるあまり、無事とわかった先生に頭突き、したこともあります」
「頭突き?」
「……それも、思いっきり。ゴツッと」
先生はわかってくれて、受け入れてくれたんですけどねと七瀬は気恥ずかしそうに言い足した。
「まぶしい話だなあ」
文也は切れ長の目を細めた。言葉にも嘘はない。
七瀬の話がどういう状況だったのかは想像のしようもない。けれども胸が痛くなるくらい心配した相手に、かわいさ余ってではないが、思いの丈をぶつけてしまうなんて、ピュアでもあり甘酸っぱくもあり、いくらか歳をとってしまうと、どうしてもできない話だと思ったからだ。
青春というものだろうね――詩集のページを繰っているような気分だった。
だけど、と言うように七瀬は座り直した。
「でも先生と、恋人になりたいというような気持ちは……ないんです」
「ただ想いを寄せているだけでいい、ってことなのかな」
「たぶん」
ほんの少し間をおいて、七瀬は文也を見上げた。
「けれど、先生にそういう相手がいたらちょっと悲しいかも」
アンビバレントな感情であることは、七瀬自身も認めている。
七瀬は想像する。
盛った袖山とハイウエストが特徴、かっちりした黒いブリティッシュスーツを着たウォルター先生が、あおあおとした楢の木にもたれかかって革の手帳を開いている。その姿を木立の影から、眺めていられたらどれだけ幸せなことだろう。視線に気づいた先生が、手帳から顔をあげ呼びかけてくれたら、どれだけ嬉しいことだろう。
けれども先生が動いたことで彼の隣に誰か、たとえばほっそりとした女性が寄り添っていたことがあきらかになったとしたら、それはとても悲しい、いや、寂しい、それとも……妬ましいことではないだろうか。
では自分は、先生の隣に寄り添うパートナーになりたいのだろうか。額と額をくっつけあうようにして同じ手帳を眺め、ともにスケジュールを立てる恋人になりたいのだろうか。先生の右手と自分の左手、片手ずつで手帳をささえて、空いたほうの手でにぎりあう。指を絡めて。ともに笑って秘密をささやきあって、合間合間に唇をかさねる――そんな関係になりたいのだろうか。
それも少し、ちがう気がするのだ。
「なんでしょうかこの気持ち。たまにモヤモヤするとです……」
七瀬は額に手の甲をあてた。熱はないと思う。なのに、かっかと熱いように思った。あの感じだ。なんともたとえようのない、紫のような、桃色のような不定形のものが胸を満たしている。
「いいなあ」
文也は静かに息をはきだした。
「さっきも言ったけど、まぶしいね。言い換えればうらやましいよ、本当に」
名画を眺めているかのようにしみじみと告げたのである。
「うらやましいとですか? 僕が?」
「そうとも」
皮肉じゃないからね、と断ってから文也は言う。
「他人に対してそこまで想えるなんて感心するよ」
軽く咳払いし、深い色を目にやどして文也はカウンターに手をのせた。指が長く色素の薄い、青い血管が透けるような手だ。
彼にばかり話させるのは悪い大人のすることかな――文也は心をきめていた。
七瀬くんには正直に話してあげよう。
<< もどる
1
2
3
4
5
…
6
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
思ひ出語り、恋語り
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオSSS(600)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
定員
2人
参加キャラクター数
2人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年06月13日
参加申し込みの期限
2022年06月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年06月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!