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思ひ出語り、恋語り
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ふむ、と
柏村 文也
は右手の指先を、かるく右の頬にあてた。
どうなんです? ときたか。
よもや問い返されるとは思はざりき――と、古典調で驚いている場合じゃないね。
京都広隆寺の弥勒菩薩像のように、穏やかに半秒ほど口元をゆるめたのち、
「あー、吾輩の話は別にしなくてもいいんじゃない?」
笑みともため息ともつかぬ曖昧な吐息とともに告げると、ついっと清流の鮎のごとく文也はカウンターに背を向けた。キッチンでかちゃかちゃと、なにやら作業をはじめる。
あれ?
倉前 七瀬
は翡翠色の瞳で文也のうなじを見上げた。とくに含むところもなく反射的に発しただけの言葉だったのだが、静かな湖面に小石を投じたような反応を彼に引き起こしたようだ。
でも文也さん、怒っている様子じゃないし……。
戸惑っている、のかな。
戸惑って……そうか。
七瀬は豁然として悟った。
僕も、戸惑っているんですかね。このところずっと胸の内に抱えている、なんというか、不定形な気持ちに。
『もしかして、好きな人でもいるの?』
ついさっき文也さんに問いかけられたとき、それまで眠っていた、あるいは寝たふりをしていた不定形が、うすぼんやりと片目ばあけたような気がしたんやろうか……たぶん。
積みあげた書籍を眺める。意図的に選んだつもりはなかったが、気の向くまま選んで棚から取った本は、いずれも恋愛をテーマにした小説、それも金字塔と呼ばれるような洋邦問わぬ古典ばかりだ。かなわぬ恋あり、悲恋あり、黙して胸に秘めたまま、花実を咲かせぬ恋もあり――強いて共通点をあげればいずれも、ハッピーエンドではないというところだろうか。
恋愛にまつわる本ばかり無意識に読んどったということですかね。でも僕、恋愛についてちっともわかっとらんです。
あの、と七瀬が声をかけるより先に、
「はい」
盆を手に文也はカウンターに向き直ったのである。
「外は夏の音(ね)蝉時雨、店(うち)でカフェオレ召し上がれ――なんてね」
盆には大ぶりのコーヒーカップがふたつ、ゆらゆら湯気がたつのをカウンターに置く。青磁のマグにソーサーだ。模様はなく色はおそろい。中縹(なかはなだ)というのであったか、灰色味を帯びたやさしい藍色だ。
「などと韻を刻んでみたけど、あいにくとミルクは切らしていてね」
ブラックで良かったよね? と文也は笑みをうかべて、
「どうぞ。店のおごりだよ」
カップをひとつ押し出した。小皿の茶うけはコイン状の抹茶サブレだ。
「あ、はい、どうもです。ありがとうございます」
七瀬は軽く頭を下げ、両手で包みこむようにしてコーヒーカップを手にした。
厚みのあるカップだ。想像よりやや重い。すべすべした手ざわりで、じわりと熱が伝わってくる。外は盛夏というか狂夏というか、連日摂氏三十度越えの日々ではあるが、それなのにいやそれゆえに、冷房のきいた店内で手にする温かいカップは心地好かった。
唇をつけて味わう。珈琲は浅煎りのモカだった。馥郁(ふくいく)たる香りに、どこかフルーティーな酸味がまじる。後味もさわやかだ。飲んだ刹那こそ体が火照るも、たちまちすうっと汗がひくように思う。夏に飲む珈琲としては最適だろう。
「おいしいです。とても」
「どういたしまして」
「文也さんが豆から挽いたんですか?」
「まさか。珈琲屋さんで買ったものだよ」
「淹れかたに何か工夫が?」
「いや、機械がちょいちょいと、ね」
そういえばと七瀬は思い出す。AI制御のコーヒーメーカーを買ったんだと嬉しそうに話していたっけ、文也さん。
たいてい和装の文也であるが、そのじつ新しいモノ好きなのだった。たしかにカウンター奥にひっそりと、見慣れぬコーヒーメーカーが置かれていた。といってもピカピカと目立つことはなく、もう何年もあるような顔をして鎮座し、店になじんでいたので気がつかなかったのだ。
「せっかくニューマシンを買ったって話だったのに僕」
文也が盆にさげたグラスを眼で示し、七瀬は言う。
「注文したのはオレンジジュースでしたね。すいません」
「いやなに、身共(みども)に気をつかう必要なんてないよー。連日の真夏日、外は暑かったろうし」
ぱたぱたと手を振って、
「それはそうと」
いささか身を乗り出すようにして文也は言うのである。
「好きな人の話だったね。小生の話はまあ、つまらないからあとあとー、ってことで。まず君の話だよ青年」
「あ、その話?」
「そう、その話」
大きな黒目を七瀬に向けて、文也は自分のカップを口にする。
「好いとー人、ですよね」
……ふむん。
七瀬は考え込むように、珈琲の水面に視線を落とした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオSSS(600)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
定員
2人
参加キャラクター数
2人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年06月13日
参加申し込みの期限
2022年06月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年06月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
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