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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
予想できない雨と処暑にぶり返す暑さは恋と似ている
パンクバンド「Fourmuras」が結成したのは、三夜 虹司が中学二年生の時。
高校生になった今も活動を続けていて、半年かけた曲がもうすぐ書き上がろうとしている。
自宅にスタジオがあるわけでも、毎日ブースを借りられる余裕があるわけでもない虹司の練習場所は、決まって近所の神社だった。
手製のミニアンプとヘッドフォンを繋いでギターをかき鳴らせば、内に籠もり気味な考えは反転する。だからギターに触らず黙々と机に向かって作る曲はどこか規則に乗っ取り味気ないメロディになりがちだが、こうして音を聞きながらアレンジを加えていくと大人しいサウンドは激しく変わっていくのだ。
そうしてまた、内に籠もった自分が見て「ちょっと違うかも」と戻したり、やっぱり音を鳴らして「こうじゃない」と葛藤することもあるけれど、この曲を半年も練っているのは違う理由だろう。
ずっと思い続けた人がいる。
そう、ずっとだ。気持ちを言えないまま、環境が変わってしまった。
同じ高校にこそ入れたものの、高校は中学より広い。同じクラスでもなければ会う機会はほとんどなく、むしろ今までを思えば減ってしまったのだと思う。
それでも、思いは変わらなかった。
好きだという思いは薄れることなく、会える理由を欲し、それならばと思わなくはない。
（……だけど）
告げてもいいものか、わからない。自分のような卑屈な人間に好かれているなんて、迷惑に思われるかも知れない。ギターを弾いていなければ下を向くばかりの自分に、勇気などあるわけもなかった。
――なら、ギターを手にして伝えればいい。
優しく愛を語るバラードではないかもしれない。
甘い言葉ひとつない歌詞かもしれない。
伝えるのはそういったらしくないハリボテではなく、自分らしさと思いの強さと真っ直ぐさ。余計な物は必要ない。
カチリと心にハマる音運びが出来て、ヘッドフォンを取る。集中していて気づかなかったが、大雨が境内の小石や木々を打ち付けて今まで奏でていたのとは違うリズムを刻んでいた。
慌てて持っていたビニール袋で荷物を包む。大きなご神木の前にいたから事無きを得たが、風も出てきたらひとたまりも無いだろう。
弱さ全部かき消して、伝えられるだろうか。この雨が悪いところを流してくれればとも思うけれど、きっとこの弱さも含めて自分なのだと、偽れずにいれる大切な相手だと思う。
この曲もある日、目覚ましく変貌を遂げたわけじゃない。時間をかけて、ゆっくり変わっていけたのだから、自分だって変われると信じたい。
メロディラインを纏わなくても。自分の声だけで、歌詞に隠さなくとも素直な言葉だけで言えるだろうか？
これは君にとって、良い言葉か悪い言葉かはわからない。言わなければ変わらない関係だってあるけれど、そこに甘えて変わらないのが、嫌になったのかもしれない。
心で燻るような気持ちを抱えて、隠し続けていることが苦しいんだと気づいてしまった。
スマートフォンで調べた天気予報は、連日の雨を知らせている。
電子機器に大敵の天気だし気分も滅入るけれど、雑念を追い払うという意味では創作や練習に向いているのか、身が締まるような気がするくらいだ。
今、ギターはケースの中。アンプもビニールに包まれて、自分を前向きにさせる要素はひとつもない……はずだけれど。
「……よしっ！」
雨音のリズムに耳を傾け、譜面にペンを走らせる。
書き上がった『Sunny flower』を、いつか――君の為に披露できればと願って。
高校生になった今も活動を続けていて、半年かけた曲がもうすぐ書き上がろうとしている。
自宅にスタジオがあるわけでも、毎日ブースを借りられる余裕があるわけでもない虹司の練習場所は、決まって近所の神社だった。
手製のミニアンプとヘッドフォンを繋いでギターをかき鳴らせば、内に籠もり気味な考えは反転する。だからギターに触らず黙々と机に向かって作る曲はどこか規則に乗っ取り味気ないメロディになりがちだが、こうして音を聞きながらアレンジを加えていくと大人しいサウンドは激しく変わっていくのだ。
そうしてまた、内に籠もった自分が見て「ちょっと違うかも」と戻したり、やっぱり音を鳴らして「こうじゃない」と葛藤することもあるけれど、この曲を半年も練っているのは違う理由だろう。
ずっと思い続けた人がいる。
そう、ずっとだ。気持ちを言えないまま、環境が変わってしまった。
同じ高校にこそ入れたものの、高校は中学より広い。同じクラスでもなければ会う機会はほとんどなく、むしろ今までを思えば減ってしまったのだと思う。
それでも、思いは変わらなかった。
好きだという思いは薄れることなく、会える理由を欲し、それならばと思わなくはない。
（……だけど）
告げてもいいものか、わからない。自分のような卑屈な人間に好かれているなんて、迷惑に思われるかも知れない。ギターを弾いていなければ下を向くばかりの自分に、勇気などあるわけもなかった。
――なら、ギターを手にして伝えればいい。
優しく愛を語るバラードではないかもしれない。
甘い言葉ひとつない歌詞かもしれない。
伝えるのはそういったらしくないハリボテではなく、自分らしさと思いの強さと真っ直ぐさ。余計な物は必要ない。
カチリと心にハマる音運びが出来て、ヘッドフォンを取る。集中していて気づかなかったが、大雨が境内の小石や木々を打ち付けて今まで奏でていたのとは違うリズムを刻んでいた。
慌てて持っていたビニール袋で荷物を包む。大きなご神木の前にいたから事無きを得たが、風も出てきたらひとたまりも無いだろう。
弱さ全部かき消して、伝えられるだろうか。この雨が悪いところを流してくれればとも思うけれど、きっとこの弱さも含めて自分なのだと、偽れずにいれる大切な相手だと思う。
この曲もある日、目覚ましく変貌を遂げたわけじゃない。時間をかけて、ゆっくり変わっていけたのだから、自分だって変われると信じたい。
メロディラインを纏わなくても。自分の声だけで、歌詞に隠さなくとも素直な言葉だけで言えるだろうか？
これは君にとって、良い言葉か悪い言葉かはわからない。言わなければ変わらない関係だってあるけれど、そこに甘えて変わらないのが、嫌になったのかもしれない。
心で燻るような気持ちを抱えて、隠し続けていることが苦しいんだと気づいてしまった。
スマートフォンで調べた天気予報は、連日の雨を知らせている。
電子機器に大敵の天気だし気分も滅入るけれど、雑念を追い払うという意味では創作や練習に向いているのか、身が締まるような気がするくらいだ。
今、ギターはケースの中。アンプもビニールに包まれて、自分を前向きにさせる要素はひとつもない……はずだけれど。
「……よしっ！」
雨音のリズムに耳を傾け、譜面にペンを走らせる。
書き上がった『Sunny flower』を、いつか――君の為に披露できればと願って。
あとがき
担当マスター：
浅野 悠希
ファンレターはマスターページから！
みなさまご参加ありがとうございます、浅野です。
大切なお相手からの秘密のメッセージ、お受け取りになりましたか？
雨音に隠される気配、雨雲に隠される空。
色んな物を隠してしまう雨なので、今回のシナリオには秘密のメッセージが隠されています。
こちらのシナリオの１ページ目がヒントになっておりまして、
皆様のページを解読すると、ＰＣさんが大切に思う方からのメッセージが出てきます。
詳細な解き方は参加者の皆様だけの秘密です。
誰からの、どんなメッセージだったかも個別で説明しております！
メッセージ部分は反転して読めるようにしてありますので、ヒントだけみて謎解きに挑戦するも、手早く答えだけ確認するも自由です。
よろしければ挑戦してみて下さいね。
ご意見ご感想、もしくは「読んだよ！」の代わりにダイヤリーのページチェック入れて頂けると、めちゃくちゃ喜びます。
お時間ありましたら、よろしくお願いします～！
大切なお相手からの秘密のメッセージ、お受け取りになりましたか？
雨音に隠される気配、雨雲に隠される空。
色んな物を隠してしまう雨なので、今回のシナリオには秘密のメッセージが隠されています。
こちらのシナリオの１ページ目がヒントになっておりまして、
皆様のページを解読すると、ＰＣさんが大切に思う方からのメッセージが出てきます。
詳細な解き方は参加者の皆様だけの秘密です。
誰からの、どんなメッセージだったかも個別で説明しております！
メッセージ部分は反転して読めるようにしてありますので、ヒントだけみて謎解きに挑戦するも、手早く答えだけ確認するも自由です。
よろしければ挑戦してみて下さいね。
ご意見ご感想、もしくは「読んだよ！」の代わりにダイヤリーのページチェック入れて頂けると、めちゃくちゃ喜びます。
お時間ありましたら、よろしくお願いします～！
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2022年07月25日
- 参加申し込みの期限
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- 2022年08月01日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2022年08月01日 11時00分
