モフモフ☆ドリームビーチ｜リアクション

モフモフ☆ドリームビーチ

●夜の海と青春

　梓智依子はバイト先であるハローニャック寝子島店の同僚たちに誘われて、寝子ヶ浜海岸で開催されている『モフモフ☆ドリームナイト』へ行くことになった。
　ただ誘いを受けた時は嬉しかったものの、娘の楓も一緒に連れて行って大丈夫かという不安があった。念のため同僚たちに確認したら、むしろ楓も一緒にと返事をもらえたのでその言葉に甘えることにした。

　当日。
　寝子ヶ浜海岸に着いた智依子たちは一様に驚いた。ビーチから海中までネオンカラーのLEDライトで照らされ、イルミネーションで彩られている。

「よるのうみってきれいだよねー！」

　楓の元気な声が響く。たしかにいくつもの光で彩られた海はきれいの一言で、はしゃぎたくなるのも無理はない。気分の赴くままに海へまっすぐ走っていく楓を止めて、波打ち際の見える範囲で遊ぶ。

（さすがに４歳の楓を海のなかで泳がせるのはね……）

　智依子は楓と海を見つめる。いつか楓も大きくなって、もっと向こうで泳げる日が来るかもしれない。そんな日を思い描いていると、同僚から『海で泳いできてはどうか』と提案された。楓のことも見ていてくれるとのことで、智依子は感謝を一言残して海に向かっていった。
　夜の海は暗く、どこか怖い印象がある。しかし今日の海はいくつもの光に照らされて、その印象はだいぶ薄れていた。むしろ幻想的だった。

（こんな海は初めてかも）

　少し潜ってみると、その光景も自分の知るものとは違った。太陽の光で照らされる昼の海では見られない、彩りで包まれた夜の海。おそらく今回のような催しが無ければ、なかなかみられるものではないだろう。

（誘ってくれた皆には改めて感謝しないといけないわね）

　そうして存分に光の海を満喫してから楓たちのところへ戻った。泳いでいる様子は同僚たちがスマホに残してくれた。
　しばらく遊んでいるうちに、楓がうとうとし出したのでビーチチェア席で寝かしつける。楓が眠ったのを確認すると同僚たちとフロートベッドで揺蕩ってみたり、飲食メニューを楽しんだりと優雅なひと時を過ごす。

（傍目にはきっと、青春を謳歌してるんだろうな）

　そんなことを智依子は思った。
　そしてそれを形に残そうと、楓や同僚たちをスマホで撮影した。

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