モフモフ☆ドリームビーチ｜リアクション

モフモフ☆ドリームビーチ

●思わぬハプニング

　白真白は寝子ヶ浜海岸で夏を堪能していた。マイクロビキニを身にまとい、太陽で輝く海を自由に泳ぐ。

「あれ？　アスレチックなんてやってるんだ」

　今年の夏は寝子ヶ浜海岸海の家組合が『モフモフ☆ドリームビーチ』というイベントを打ち出した。そのなかで『モフモフ☆ドリームアスレチック』が行われていた。

「優勝する自信はないけどなんか楽しそう。失格にならないようにがんばろう」

　開放的な気分も相まって、やる気は十分だった。優勝者には焼肉店『猫寿』の１時間食べ放題券がもらえるらしいが、真白は最後までたどり着くことを目標にした。
　最初のゾーンは丸太渡り。丸太の表面は滑りやすく、しかも横から送風機による強風が吹き荒れる。

（こういうのは慎重に行くよりは一気に駆け抜けたほうがよさそうかも）

　真白は呼吸を整えると駆けだした。強風に体を揺られつつもバランスを整えて丸太の橋を渡り切った。
　次はにゃんこジャンプ。トランポリンで大ジャンプをして上方のフックを掴むと、そのフックが次のにゃんこスライダーに繋がっていて斜面を滑走する。つまり、ただ指を引っかけるだけだと後のスライダーで振り落とされる。

（よくフックを見て……）

　彼女は何度もジャンプするが、なかなか届かない。

（届かな……い。ていうか水着がほどけちゃ……！）

　紐が外れた水着を咄嗟に上から押さえる。ジャンプで胸が揺れるたびに紐が引っ張られていたのだろう。

（あ、危ない。あと少しで全公開するところだった……）

　予想外の出来事に内心慌てつつも呼吸を整えてなんとか落ち着ける。

「よし！」

　気合を入れなおし、しっかりと反動をつけてリズムよく飛び上がるとフックを掴んだ。

「やった！」

　そしてにゃんこスライダーを滑走する。

（あ、思ったよりきつい！　あと少し！）

　落ちるかと思ったが、なんとか乗り切り、絶壁クライミングに挑む。垂直の壁に突き出た小さな足場を頼りに登る。

「間隔が広いよ！」

　両手両足を駆使する真白は思わずツッコミを入れる。しかも真白の場合、胸が突っかかって容易には届かない。

（ここはもう賭けに出るしかないかな）

　真白はブランコで加速するときのように体を揺らして勢いをつけ、その反動で跳び上がるように次の足場を狙う。

「あ」

　伸ばした足は狙った場所まで届かず、真白は勢いに負けて水に落ちてしまった。

「……ぷはっ、うぅ……ダメだったかぁ」

　結果は残念だったが、やれるだけのことはやったという満足感はあった。しかし、なぜか不思議な解放感があった。

「なんかすーすーするような……」

　その時初めて自分の水着が脱げていることに気づいた。しかも上下両方とも。

「きゃあっ！？　なんで！？　水着！？私の水着どこいっちゃったの！？　っていうか隠さないと！？　もう、なんでこんなことにー！？」

　必死に体を隠したり水着を回収したりと慌ただしかったものの、なんとか大事にならずに済んだ。

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