this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
ネコタイツ魔法学校へようこそ
<< もどる
1
…
2
3
4
5
6
◆
三宅 葉月
の場合。
葉月先生って、すごく若く見えるけど、いくつなのかな?
生徒たちが時折自分のことを噂しているのは知っていた。ネコタイツ魔法学校は知る人ぞ知る、由緒正しい魔法学校で、歴史も長い。生徒たちの中には、親がこの学校の出身だから、という者も何人かいて――魔法の才能は血による遺伝の力も大きいから、それも当然――その者たちがこぞって、自分の親も三宅先生に教わったらしい、と言うものだから、そんな噂が立つのも仕方ない。
「えー? じゃあ三宅先生いくつよ?」
「どう上に見ても二十代にしか見えないんだけど?」
「長命種? 魔女?」
「魔法で若さを保ってるのかもよ?」
そしてついに「うちの祖母が」と言う者まで現われて。
「もしかして先生は、森の精霊かもしれない」
との説が一番有力になった。
なぜそうなったかは簡単に想像がついた。孤高の存在とも言われる高貴な森の精霊は、ほとんど不死に近いから。
ちょうど近くに森があって、樹齢数百年とも数千年とも言われる巨大な花樹があるから、その精霊と思われているのかも。
「まあ、私には関係ないわね」
ふっと息を吐いて立ち上がり、教本を手に教務室を出る。
今日は野外実習だから、早めに準備をしないと。
同じマウンテン魔法学科で教鞭をとるウォルター先生は、教壇での座学を得意とし、野外はめったに行おうとしない。一度理由を訊くと、
「森には蛇がいるでしょ。僕、あれが苦手でねぇ。もう、いるかもしれないって思うだけで駄目なんですよ」
とのことだった。
本当かどうかは定かでないけれど、私は森に入るのは苦ではないし、モンスターを懐かせる魔法の使用場所は外での場合が圧倒的に多いから、その点でも問題ない。
「よろしくお願いします」
と言うウォルター先生とバトンタッチして、私は生徒たちを率いて近くの森へ向かった。
森には蛇だけでなくさまざまな生き物たちがいて、中には危険な魔物もいるのだけれど、そういったやからは太陽を嫌って、昼のうちは森の奥の暗がりに潜んで出てこないから、危険度はぐっと下がる。
先日、古苗木先生のクラスが野外実習をこの森でしたとき、巨大な魔物に襲われたとの報告は受けたけれど、あれは夜の出来事。今は昼間だから大丈夫。
魔物の襲撃を警戒して、そわつく生徒たちにそう説明をしながら森の中へ入って行った。
「この辺りにしましょう。
皆さん、生き物の息吹、鼓動を感じ取れてるわね? 感じ取れない者は、耳でなく、心を澄ませて。生き物のぬくもりと気配を感じ取れるはずよ。こんなふうに」
まだぴんとこない顔をしている者たちのため、手本を見せることにした。私たちが到着する前から草むらの奥にいて、草を食んでいる数羽のウサギに向けて心を飛ばす。
「これと定める光が見えたら、優しく触れて、彼らが何を求めているか読み取って――まあ、大抵は食べることだけど――その意識を自分のほうへ向けるの。興味を持たせて、自分のほうへ誘導する……ゆっくり、丁寧に。でないと、ひもで縛るわけじゃないからすぐにつながりを断ち切って、逃げてしまうわ」
ペットや家畜など、人に慣れている生き物はもともと人間に対する信頼があるからつながるのも比較的簡単だし、そうした感覚に抵抗もさほど受けないけれど、野生動物は難しい。
「力ずくでこじ開けては駄目。抵抗が強ければその子は諦めて、他を探すのよ。生き物はたくさんいるから」
そうする魔法もあるが、その場合、抵抗する側にもされる側にも負担が大きい。心を触れさせるわけだから、「心が傷つく」のだ。傷つかないために自分の心を護る予防策もあるけれど、それはもう少し彼らの腕前が上がってから教えることにしようと思う。たとえ失敗して、心が傷ついたとしてもほんの少しですぐに回復するし、傷を知らないでいるよりずっといい。何のリスクも伴わない方法は、結局のところ力で相手の意志をねじ伏せるわけだから信頼は生まれないし、満足とはほど遠い結果にしかならないだろうから。
「さあ、あなたたちもやってみなさい」
ぱん、と手を打つと、それまで寝転がってモフられていたウサギたちは目が覚めたように目をぱちくりさせて、慌てて飛び起きるやいなや跳ねて逃げて行った。
「わかりました!」
生徒たちが一斉に心の手を伸ばして生き物を探知し、草むらへと入っていく。少し時間を置いて、様子を見回っていると、心を通わせることに成功した小鳥たちを肩に乗せた少女が木漏れ日の下で本を読んでいた。
「――あ。三宅先生、すみませんとです」
私に気付いた少女が慌てて本を閉じて立ち上がる。
ええと。この子は確か……。
「倉前さん。いいのよ、ちゃんと目的を達成した後のようだから。ただ、何の本を読んでいるのか、少し気になっただけ」
「これは……あの。これです」
うまく説明できない様子で差し出された本の表紙には『異世界転生物語:らっかみ』というタイトルがあった。
「らっかみ……」
なんだか聞き覚えがあるような気がするのは、気のせい?
「この前、図書室で見つけたとです。このタイトル、妙に気になって……見てるうち、何か思い出せそうで……。気のせいかもしれんち思うけど、なんか、やっぱり気になって……つい、開いてしまうとです」
「そうね。そんな気がする」
「先生もですかっ!?」
ぱっと面を上げた倉前さんと、互いを見合った瞬間。
――ぐおおおおおおうぅぅ!!!
「きゃあああっ!!」
くぐもった獣の咆哮がすると同時に、悲鳴がして、私はとんでもない事が起きていることに気付いた。
(こんなに近づかれるまで気付けなかったなんて……!)
とんだ失態だわ、と思ったけれど、今はそんな考えにとらわれている場合じゃない。
急ぎ戻った私は、まず生徒たちの数と位置を確認し、誰一人欠けておらず傷も負っていないことにほっとすると、咆哮を発した魔物を見た。
魔物は見るからに傷を負っていて、その痛みに苦しんでいるようだった。そのため眠りにつけず、昼間もこうして森をさまよっているのだろう。
「みんな、動かないで。じっとして。声も抑えて」
とにかく刺激しないこと。その意図が通じたらしく、先に悲鳴を上げたらしい、地面に座り込んだ生徒たちがこちらを見返して頷き、ぐっと歯を噛み締めて手で口を覆った。
魔物はコフコフと鼻を鳴らし、頭を左右に振っている。固い樹皮の体と多くの枝分かれした触手。根には短毛のような苔がびっしりと生えていて、あの咆哮といい、夜に出会ったなら動物の魔物と思ったかもしれない。
私はすっと息を吸い込み、覚悟を決めて前に進んだ。
動物であろうと植物であろうと、魔物であろうとなかろうと、心を持つ相手である限り、通じないはずはない。
(さあ、その心を見せて……私に触れさせて。――うっ)
激しい抵抗と威嚇の圧が、魔物からの返答だった。
力ずくでこじ開けることもできる。その方法も知っている。生徒たちがいよいよ危ないとなればそうせざるを得ないし、私はやる。ためらうことなく。
その覚悟を持って、さらに足を前に出した。
生徒たちからすれば、私は両手を差し伸べ、穏やかにほほ笑みさえ浮かべて近づいているように見えるだろう。魔物はヴヴヴと威嚇を発しながら、枝をしならせ、ひゅんひゅんと不吉な風切り音を立てている。その実、触れ合わせた心では、危うい綱渡りをしていたわけだが。
やがて私の手は魔物へと届き、魔物は唸ることをやめ、触手を地面に垂らすことで私への帰順を示し。その光景を見た生徒たちが、わっと一斉に歓声をあげたのだった。
魔物には治療を施して、再び森へ戻してあげた。完全に治ったわけではないが、痛みを緩和することはできたと思う。
「完全に治るまで、出てきては駄目よ」
との言葉に応じるように、ペロリと私の手のひらを舐めて、魔物は森の奥へ消えていった。
帰り道。まだ興奮冷めやらない様子で、生徒たちが先の出来事を争って口にする。
ほどほどの時間がたち、
「やっぱり三宅先生、すごすぎ!」
という言葉が出たところで、私は彼らの注意をこちらへ向けた。
「では皆さん、先の魔物がどの系列の何であったかを考察しましょう。制限時間は学校に戻るまでよ。
さあ、はじめ」
生徒たちは私の言葉に、すっと背を正し、表情を引き締めた。その頭の中ではすでに私が与えた魔物に対する基本知識、習性、特性といったことが巡っていることだろう。
「木、よね。それは間違いないと思う」
「獣の口と牙、舌があった。肉食だ」
「滴ってたのは酸に見えたけど、強力な毒なのかも」
「毒を持つ肉食の木というと……ウムドレビ?」
学生らしく、互いの意見を出し合う生徒たちからは、もう恐怖は消え去ったように見える。
それにしても、あの本。どさくさに紛れてしまったけれど、あれを見た瞬間、胸にあふれたノスタルジーめいた感覚は、何だったのだろう。
(あとでもう一度、倉前さんに見せてもらおうかしら)
そんなことを考えながら、私は学生たちと帰途についた。
『ネコタイツ魔法学校へようこそ 了』
<< もどる
1
…
2
3
4
5
6
このページにイラストを設定する
あとがき
担当マスター:
寺岡志乃
ファンレターはマスターページから!
こんにちは。寺岡です。
当シナリオにご参加いただきましてありがとうございました。
なのに大遅延をしてしまいました。申し訳ありません。
魔法学校、いいなあと思いながら書いていました。
実はこれまで学園物をあまり書いたことがありません。学校が舞台でも、とんでもない事件が起きたりするシナリオがほとんどで、
日常的なシナリオは両手の指で足りるほどじゃないかな、と気付きました。
魔法学校なので、普通の学園物というのとも少し違うかもしれませんが、このネコタイツ魔法学校のシナリオをまた出せたらいいなと思いました。
そしてもう一つの試みが、一人称視点で全部書く、ということです。
これは、マスターをしていて本当に今回が初めての挑戦でした。
うまくできているといいのですが……。
それでは、ここまでご読了いただきましてありがとうございました。
心より御礼申し上げます。
次のシナリオでもまた会えるとうれしいです。
もちろん、まだ一度もお会いできていない方ともお会いできたらいいな、と思います。
それでは、また。
↑ページトップに戻る
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
ネコタイツ魔法学校へようこそ
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
寺岡志乃
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
学校生活
SF・ファンタジー
神話・伝説
定員
10人
参加キャラクター数
6人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年06月06日
参加申し込みの期限
2022年06月13日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年06月13日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!