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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
＜転生＞ あなたの傷を治したい
●星空の下
空は、魔法の源だ。
星空から力を得て魔法を操る「天空魔導師」の月原 想花にとっても。
空中に絵を描くことで魔力を解放する「絵画魔導師」の黒白 滴にとっても。
「想花ちゃんとの旅はいつも夜になるね～」
白と黒の長いウェーブの髪を掻き上げて、滴は捉えどころのないアンニュイな口調で話す。
責めているわけではない、と知りつつも、想花は滴の方を見ることができず、黒い三角帽子の縁を引き下げ顔を隠した。彼女と出会ってからしばらく経つ。はじめは仕事仲間だった。ペアを組んで依頼をこなしたりするうち恋をして、先日うっかり告白なんてことをしてしまったものの、未だはぐらかされている状況だ。
「しょうがないじゃないか……星空が見えないと魔法が使えないんだもの」
「そうだね～。想花ちゃんの魔法、夜はすごいのに、昼は完全にただの人」
「ごめんよ、夜型人間で。昼は寝て、夜に旅して……きみには迷惑をかけてる、よね……」
「ううん、べつに～。私、夜は好きだし」
彼女が何を考えているのか分からない。
――ぼくのことをどう思っているの？
そう訊ねても漠として答えない。
好き嫌いがあまりないのかと思いきや、夜は好きだと言ったりする。
（翻弄されてばかり……遊ばれてるのかな、ぼく……）
夜にばかり生きているせいだろうか。そんなふうに不安になったりする。
彼女は想花の悩みなど気にも留めず、鼻歌交じりに山道を歩いていた。
目指す先は山奥の水源。
辺境の村の依頼で、水源を荒らすモンスター討伐の依頼を受けているのだ。
「ああ、ほらあそこじゃない～？」
木々が途切れ、泉が見えた。奥は崖になっていて細い滝から絶えず水が注ぎこまれている。聞いていたとおりの水源地だ。ゆっくりと泉に近づいてゆく。静かだ。
「モンスターはどこに……？」
泉は満天の星空を映して白く輝いている。
恐る恐る泉の中を覗き込むと、想花の影が映り込んで水面に映った夜空が欠けた。
刹那。
水面からいくつもの影が跳び出して来た。
びちゃっびちゃっと粘着質な音を立てて。
大きな目をギラギラと赤く光らせて。
「ポイズンフロッグ！」
全長約１メートル。巨大な毒ガエルのモンスターだ。強靭な四肢の筋肉を駆使しての跳躍し、長い舌をムチのように振るって攻撃してくる。しかし何より厄介なのは、皮膚から分泌される強い毒液だ。
「毒に気をつけて！」
星の力を借りて、銃撃に似たシューティングスターの魔法を放ちつつ、滴を守る。
滴の絵画魔法は、絵を描いている間は無防備になってしまうから。
光線銃をぶっ放す要領で、撃つ。撃つ。撃つ。
「くっそぉ、数多すぎ。気持ち悪いから、寄って来ないでってば」
守り、切れない。
「きゃあ」
背中越しに聞こえる滴の悲鳴。
「滴さんっ」
「だいじょう、ぶ」
滴の声は苦しそうだ。けれど夜闇と戦闘の中で、どの程度の負傷なのか把握できない。
「もう、描けた。行く、よ～」
滴が描いていたのは、カエルの天敵である巨大な蛇であった。
魔法を発動させると巨大な蛇は実体化し、次々と毒ガエルたちを飲み込んでいった。
気づけばあたりは静かになっていた。討伐が完了したのだ。
「……終わったね」
声をかけるが、滴からの返事がない。彼女は腹のあたりを抑えてうずくまっていた。
「ちょ……見せて」
「……」
傷も深いがそれだけじゃない。毒を受けている。
鞄からありったけの薬草を出したがそれじゃあ足りないのは明らかだった。
「こうなったら……」
想花は星空を見上げる。
「治癒魔法＜星滴の癒し＞――使うしかない」
＜星滴の癒し＞は星の力により生命力を引き出し、瀕死の者ですら完全回復させ、体内を巡る毒を浄化し、切断された四肢ですら繋ぎ合わせることができる究極の治癒魔法だ。ただし、その分魔力の消耗も激しく、使ったら自分の魔力は空になってしまうだろう。
（だからってこの局面で出し惜しみしてどうする！）
想花は躊躇することなく＜星滴の癒し＞を発動させた。
「こんなところで死なせない、死なせてたまるか。
だってぼくは、この前の告白の返事を聞いてないんだから！」
滴の身体が、まるで銀河の海に溺れるみたいに、光に包まれてゆく。
傷が塞がり、苦しそうだった表情が穏やかになる。
「……そう、か、さん……私なんかのために、無茶するなんて、ばかみたい……」
「憎まれ口、いらないから。生きててよかっ、た……」
滴の無事に安堵して、想花は意識を手放した。
空は、魔法の源だ。
星空から力を得て魔法を操る「天空魔導師」の月原 想花にとっても。
空中に絵を描くことで魔力を解放する「絵画魔導師」の黒白 滴にとっても。
「想花ちゃんとの旅はいつも夜になるね～」
白と黒の長いウェーブの髪を掻き上げて、滴は捉えどころのないアンニュイな口調で話す。
責めているわけではない、と知りつつも、想花は滴の方を見ることができず、黒い三角帽子の縁を引き下げ顔を隠した。彼女と出会ってからしばらく経つ。はじめは仕事仲間だった。ペアを組んで依頼をこなしたりするうち恋をして、先日うっかり告白なんてことをしてしまったものの、未だはぐらかされている状況だ。
「しょうがないじゃないか……星空が見えないと魔法が使えないんだもの」
「そうだね～。想花ちゃんの魔法、夜はすごいのに、昼は完全にただの人」
「ごめんよ、夜型人間で。昼は寝て、夜に旅して……きみには迷惑をかけてる、よね……」
「ううん、べつに～。私、夜は好きだし」
彼女が何を考えているのか分からない。
――ぼくのことをどう思っているの？
そう訊ねても漠として答えない。
好き嫌いがあまりないのかと思いきや、夜は好きだと言ったりする。
（翻弄されてばかり……遊ばれてるのかな、ぼく……）
夜にばかり生きているせいだろうか。そんなふうに不安になったりする。
彼女は想花の悩みなど気にも留めず、鼻歌交じりに山道を歩いていた。
目指す先は山奥の水源。
辺境の村の依頼で、水源を荒らすモンスター討伐の依頼を受けているのだ。
「ああ、ほらあそこじゃない～？」
木々が途切れ、泉が見えた。奥は崖になっていて細い滝から絶えず水が注ぎこまれている。聞いていたとおりの水源地だ。ゆっくりと泉に近づいてゆく。静かだ。
「モンスターはどこに……？」
泉は満天の星空を映して白く輝いている。
恐る恐る泉の中を覗き込むと、想花の影が映り込んで水面に映った夜空が欠けた。
刹那。
水面からいくつもの影が跳び出して来た。
びちゃっびちゃっと粘着質な音を立てて。
大きな目をギラギラと赤く光らせて。
「ポイズンフロッグ！」
全長約１メートル。巨大な毒ガエルのモンスターだ。強靭な四肢の筋肉を駆使しての跳躍し、長い舌をムチのように振るって攻撃してくる。しかし何より厄介なのは、皮膚から分泌される強い毒液だ。
「毒に気をつけて！」
星の力を借りて、銃撃に似たシューティングスターの魔法を放ちつつ、滴を守る。
滴の絵画魔法は、絵を描いている間は無防備になってしまうから。
光線銃をぶっ放す要領で、撃つ。撃つ。撃つ。
「くっそぉ、数多すぎ。気持ち悪いから、寄って来ないでってば」
守り、切れない。
「きゃあ」
背中越しに聞こえる滴の悲鳴。
「滴さんっ」
「だいじょう、ぶ」
滴の声は苦しそうだ。けれど夜闇と戦闘の中で、どの程度の負傷なのか把握できない。
「もう、描けた。行く、よ～」
滴が描いていたのは、カエルの天敵である巨大な蛇であった。
魔法を発動させると巨大な蛇は実体化し、次々と毒ガエルたちを飲み込んでいった。
気づけばあたりは静かになっていた。討伐が完了したのだ。
「……終わったね」
声をかけるが、滴からの返事がない。彼女は腹のあたりを抑えてうずくまっていた。
「ちょ……見せて」
「……」
傷も深いがそれだけじゃない。毒を受けている。
鞄からありったけの薬草を出したがそれじゃあ足りないのは明らかだった。
「こうなったら……」
想花は星空を見上げる。
「治癒魔法＜星滴の癒し＞――使うしかない」
＜星滴の癒し＞は星の力により生命力を引き出し、瀕死の者ですら完全回復させ、体内を巡る毒を浄化し、切断された四肢ですら繋ぎ合わせることができる究極の治癒魔法だ。ただし、その分魔力の消耗も激しく、使ったら自分の魔力は空になってしまうだろう。
（だからってこの局面で出し惜しみしてどうする！）
想花は躊躇することなく＜星滴の癒し＞を発動させた。
だってぼくは、この前の告白の返事を聞いてないんだから！」
滴の身体が、まるで銀河の海に溺れるみたいに、光に包まれてゆく。
傷が塞がり、苦しそうだった表情が穏やかになる。
「……そう、か、さん……私なんかのために、無茶するなんて、ばかみたい……」
「憎まれ口、いらないから。生きててよかっ、た……」
滴の無事に安堵して、想花は意識を手放した。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2022年06月03日
- 参加申し込みの期限
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- 2022年06月10日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2022年06月10日 11時00分
