【ネコミケ】テーマはけもの！　現れしは悲しき獣｜リアクション

【ネコミケ】テーマはけもの！　現れしは悲しき獣

　戦いの決着がつき、切り取られた世界は元の姿を取り戻した。奮戦した者たちのおかげでネコミケが壊されることは無かったようだ。
　恵美は自らのブースで休憩しながらB館の方を見ると、やたらと疲れた表情をした佳奈と美緒が帰って来た。一体どうしたというのだろうか。
「遅かったじゃない。どうしたの、迷っちゃったりした？」
「ううん、色々あってね、ちょっと疲れただけだよ、それよりお客さんみたいだよ」
　恵美は佳奈に促され、顔を客の方に向けるとそこには男性が立っていた。それは数分前にこてめんを買っていった男性だ。
「あの、私実は出版社で編集長をしておりまして……良かったらウチでこの漫画を連載してみませんか？」
　突然の申し出に隣で聞いていた佳奈も美緒も、当人である恵美すら驚きの表情を隠せないのであった。
「それにしても凄いバトルだったね」
「うん、コスプレバトルってあんな激しいなんて知らなかったよー」
　食事をしながら談笑するののこと英二。その視線の先には優勝者として表彰を受けるまゆらがいた。
　これで彼女はけものコスプレ状態での電車の吊り革広告出演権を獲得したことになる。
「皆さん、ありがとうございます！　溢れる応援のおかげで優勝出来ました！」
　喧騒から離れた椅子に腰かけ、買った同人誌の確認をしているのは想花。
「うん、あれもある。こいつも大丈夫だね。よし、買い忘れはないみたいだ」
　カメラを構えた男性たちに囲まれ、困った表情をしながらもポージングを取っているのはティオレだ。
「全く何がいいんだかねぇ。おい、待て。なんでそんなローアングルから取るんだい？　それじゃ顔が映らないじゃないか……って逃げるな、待てこら！」
　熱心にスケッチブックにペンを走らせているのはタルトである。どうやら八神と君島のペアで何か思いついたようだった。
「ふむふむ、やっぱ八神くんが……いやいや、意外性ということで――」
　自分が題材とされているとは露知らず、八神は君島と談笑しながら猫耳を付けてみたちーあを愛でていた。
「八神君の言う通りだな。ちーあちゃんにはケモミミがとても似合う。うん、これはいいインスピレーションが得られそうだ」
「だろう？　はは、可愛いよちーあ。せっかくだし写真を撮っておこうと思うんだが、いいかい？」
　ちーあは少しだけ考え込んでから、その手に新たなケモミミを作り出す。それを八神に手渡すとほほ笑んだ。
「ヤガミも一緒にやるのならいいのですよ！　ヤガミにも似合うと思うのです」
　少々戸惑った八神だったが、ちーあの押しに流されそのままケモミミを付けて写真を一緒に取ることとなった。まさか自分で付けると思っていなかった彼は大変、恥ずかしそうだったそうな。

　人を傷つけるのが人であるなら、人を癒すのもまた人なのだ。
　言葉は刃。そして言葉は薬。
　誰かを害するも、救うも……それは使い手次第であると言えるだろう。

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あとがき

担当マスター：ウケッキ
ファンレターはマスターページから！

お初の方もそうでない方もこんにちわ、ウケッキです。
この度は遅れまして大変申し訳ございませんでした。

皆様のおかげで悲しき獣と化した君島は救われ、人へと戻ることができました。
これから彼は自分の好きを再認識し、作り手として再び歩んでいくことでしょう。

それでは別のお話でまた、お会いしましょう！
ご参加ありがとうございました！

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