今年もこの時期がやってきた。
ある者は……この時の為に技術を磨き、その集大成たる作品を。
ある者は……長年温め続けた渾身の一作を。
ある者は……日頃の自分とは違う、別の自分へ。
そう、この場はそれが許される夢の場所。遥かなる祭典【ネコミケ】である。
A館とB館があるネコミケの会場。そのA館内では数多のサークルたちが自らの作品を販売している。
同人誌から、グッズ、音楽のCDに至るまでその幅は実に広い。普通の店舗と比べても遜色はないのではないだろうか。
それらを求める人々の熱気は凄まじく、会場は活気溢れる祭りの様相を呈していた。
「ふぅ、お客さん……結構来てるわね。ふふ、これはこっちもがんばらなくっちゃね!」
けもののコスプレをした、スタイルのイイ女性がいる。彼女は
伊藤 恵美。自らも作家として同人誌制作をする傍ら、彼女はコスプレイヤーとしても活動している。実年齢よりも若く見え可愛らしい彼女の姿に通りがかる客の視線が集まっていた。今年のテーマは【けもの】。故に彼女も、けものコスプレに興じているというわけだ。
彼女はぐっと伸びをすると、売り子として自らのサークルに来た客の対応を始めたのだった。
恵美のサークルのブースは彼女の魅力も手伝ってか、かなり繁盛しているようだ。
お客が捌いても捌いても現れ、息つく暇もない。
額から大粒の汗を流しながらも、懸命にお客への対応をし恵美は自らの作品を売る。
自身が魂を込めて製作し、我が子のように愛した作品たちがそれを求めるお客の笑顔を呼び込む。
作品を手に良い笑顔で帰っていく客を見て、恵美は作家冥利に尽きるなぁとその姿を眺めていたのだった。
ひと段落ついた所で、友人と売り子を交代し恵美はやっと休憩を取ってペットボトルのお茶を開けた。冷たいお茶が彼女の喉を潤す。
飲みながら目をやると周りのサークルたちもかなり繁盛しているようであり、客で賑わっていた。
彼らは共に同人誌やグッズを売る戦友でもあるが彼らは、しのぎを削り合うライバルでもあるのだ。
少しでも売り上げを伸ばそうと様々な努力を重ねる周囲のサークルを見て、恵美はもう一度気合を入れ直す。
「さぁて、もうひと頑張り。他のサークルたちには負けないわよっ!」
休憩によって鋭気を取り戻した恵美は立ち上がり、顔を軽くぱしぱしと叩いてから売り子の仕事へと戻るのだった。
◆
サークルで賑わう販売ブースの隣にあるB館。そこでは多種多様なけものをテーマにしたコスプレが披露されていた。
そんな賑わう一角。会場の隅で暗いオーラを纏い、ぶつぶつと呟き続ける男がいる。男の顔には悲壮感が漂っている。
「くそっ、あんな奴らの作品よりも、俺の方が、もっと努力して……いい作品を描いたんだ、なぜ、なぜそれが認められないッッ!」
彼は作家の一人だった。
けもの作品を愛し、来る日も来る日も物語を描き続け、技術を磨き続けた。
そうして一つの作品が生まれることになる。それは彼の子も同然。大切な作品だった。
このネコミケにて、そんな作品を発表しようと彼はわくわくとこの日を待ちわびていたのである。そう、数日前までは。
「はハは、全部、壊れてシマえばいイ……全部、ゼ、ン、ブゥウウウウウッッ!」
叫び声をあげた男――【君島 流星】は黒いオーラを纏って浮かび上がる。荒れ狂う黒い暴風が吹き荒れ、それらは辺りの物を簡単に吹き飛ばした。
突如として訪れた異常事態に、周囲の人々は壮大なイベントが始まったのかとも戸惑ったが……
「くそっまずいな」
灰色猫の
テオが異変を察知して現れていた。
「仕方ねぇ、アイツごとB館を切り離す!」
テオは振り被った猫パンチを放つ。その瞬間、別館は空間ごと切り離され、すぐに寝子島のフツウを脅かすことは無くなった。
だが元凶はいまだ空間ごと切り離された「B館α」の中にいる。取り残された人々とともに……。
元凶たる流星が人々を逃がすことは無い。悪意に染まりきった彼にとって、目の前の者たちは全て【自分をノケモノにした敵】でしかないのだから。
振り上げた流星の右腕が歪に歪み、それが黒い大きな異形の腕となった。続けて身体の各部位が変異し、その姿は瞬く間に巨大な黒い獣の姿となった。
瞳から赤い血の涙を流しながら彼は咆哮する。獣と化した彼に理性はない。あるのは自らを虐げた者たちへの恨みだけだ。
暴れる異形の獣となった流星、逃げ惑う人々、床から湧きだす異形の怪物たち……B館αは地獄と化していた。
「ちっ……厄介な奴が現れたな、こりゃ解決できる奴らもこの空間に放り込んでおくしかねえな」
そうぼやくと、テオは再び猫パンチを繰り出すのだった。
お初の人もそうでない人もこんにちわ、ウケッキです。
公式イベントにお呼ばれしてやって参りました、よろしくお願い致します。
ネコミケでは下記各種イベントが楽しめます。皆さま奮ってご参加くださいませ。
おや、B館の方が騒がしいようです。
テオが切り分けてくれたので、ふつうの「B館」ではそのままネコミケを楽しめますが、
事件が起きている「B館α」では大変危険なエリアとなっていますので、ご注意ください。
たまたま事件に遭遇した人やテオに放り込まれた人は、「B館α」にいることになりますね……。
基本的には「A館・B館でのふつうのネコミケ」または「B館αでの異変のネコミケ」どちらかの参加です。
伊藤 恵美さん、ガイド登場ありがとうございました。
もしご参加いただける際は、ガイドにとらわれずご自由にアクションをお書きください。
ネコミケの概要(ふつうのネコミケ)
夏と冬の年2回、シーサイドタウンの寝子電スタジアムにて開催される同人誌即売会。
それがネコミケことネコミックマーケットです。
マスコットキャラは、ある有名漫画家が手掛けた猫耳猫しっぽの萌えっ娘です。
さまざまなサークル、企業などによる同人誌やグッズなどの販売がメインですが、
コスプレ広場、飲食店の出店(店員がメイドなどの衣装を着る慣例あり)も楽しいです。
島外からアイドルや声優を招いてライヴ、トークショー、握手会なども行われます。
国内外の観光客も毎年大勢来場するビッグイベント。
ボランティアのスタッフ参加者も苦労が絶えませんが、その活躍も話題のひとつです。
なお、今回のネコミケのテーマは、「けもの」。
けもの系キャラクターのコスプレが多いようです。
みなさんもケモノに着飾って楽しみましょう!
◆各種イベント
サークル参加
:同人サークルとして参加(1人サークルも可能)して、同人誌やグッズなどを販売します。
フリースペース
:同人サークルの一角に設けられたスペースです。売り物があれば参加できます。
飲食物は不可。
企業参加
:企業として参加して、出版物やグッズなどを販売します。企業関係PCが参加可能です。
PLさんが考えた設定の企業やアニメも歓迎です。
コスプレ参加
:コスプレ広場で、さまざまなコスプレを披露。
今回はテーマが【けもの】ということで、けものに関するコスプレ推奨です。
一般参加
:各サークル、コスプレ広場、ライヴステージ、出店などを楽しめます。
色々な方と交流しながら回ってみると良いでしょう。
スタッフ参加
:運営補助ボランティア(食事がお弁当として支給されます。バイト代は出ません)
業務内容は設営、各参加者の整理や誘導、指導、管理、会場警備などです。
ライヴステージ参加
:けものをテーマにしたコスプレバトルを開催予定。
エントリーすることで誰でもコスプレバトルを楽しめます。
今回のテーマ【けもの】をいかに表現できているかを審査員が審査します。
審査はトーナメント形式で行われ、それぞれ一対一で【コスプレ審査】を行います。
そこから上位入賞4名が次の【けものなりきり審査】に進みます。
最終的に【けものなりきり審査】上位入賞2名による【アピールタイム】によって優勝者が決定します。
優勝者には賞金10万円と、けものコスプレ状態での電車の吊り革広告出演権が進呈されます。
出店
:飲食店の出店で、飲食店経営をしている人(飲食店のコミュ・シナリオ関係者)のみ店を出せます。
けものをテーマにした創意工夫の料理をお待ちしております。
◆会場
:A館
同人誌、グッズの販売や飲食物の販売が行われている。
:B館
コスプレをジオラマの上で披露する場が設けられており、
屋内での写真撮影はこちらでのみ許可されている。
また会場の外ではコスプレイヤーが自慢のコスプレを披露し、こちらでも写真撮影が行われている。
B館の地形については、元よりジオラマが設置されていた関係で岩や樹の模型など障害物が多い。
内装はファンタジックな感じとなっており、一見すればファンタジー世界の森のようにも見える。
だがあくまで模型の為、障害物の耐久性は無いに等しい。
なお、テオによって世界が切り取られているので、ふつうのB館はふつうにネコミケです。
B館αについて(異変のネコミケ)
B館αは、基本的には「ふつうのB館」と同じ規模、同じ構造です。
テオによって世界が切り取られているので、周囲への影響を気にせずろっこんの使用が可能です。
◆B館αにて登場する敵性存在
異形となった君島 流星【ノケモノ】
:神魂の影響か、負の感情に塗り潰され、異形と化した男。
防御力は高くはないが、体力が高く異常にタフである。
拡散する火球を口から放つ、炎を纏った腕を振るう、炎の柱を周囲に放つなどの攻撃を持つ。
また、厄介な能力として【一度見た相手の攻撃をコピーする】という能力を持つ。
コピーされた攻撃は威力や精度は同等。ろっこん能力もコピーされるので注意。
武器を使った攻撃はその武器を複製してコピーする。
コピーしたろっこん能力や攻撃を複合的に組み合わせることも可能なので、戦い方次第では苦戦してしまうだろう。
背中に大きな花を咲かせており、妖しい光を放っている。
魔物【ゴブリン】
:流星のイメージから作り出された架空のファンタジー世界のゴブリン。
小さな盾と棘付き棍棒で武装しており、小さいながらも腕力が高く、すばしっこい。
群れで襲ってくるので連携に注意。
ゴブリンは一般人を優先的に狙う。
◆支給武器
B館αは不思議な機械生命体「ちーあ」がいて、戦闘を手伝ってくれるようです。
そのちーあが作り出した怪しい武器の数々が支給されるので、お好みで1つ選んでご利用ください。
・ストームブレイド
:風の宝珠を組み込んだ疾風の魔剣。風の加護によってとても軽く、不慣れでも扱いやすい。
力を貯めることで風の衝撃波を刃上に放つことができる。振る技量さえあれば連発も可能。
宝珠のリミッターを外すことで一時的に通常の5倍の速度で動くことができるが、効果時間は30秒。
効果時間が終わると激痛と共に倒れ、事件終了まで行動できなくなってしまう。
・絵師のペン
:ある絵師のペンをちーあが勝手に改造した代物。
使用すれば空中に絵を描き出すことができ、それらが実体化、相手に攻撃を始める。
何を描いても攻撃になるので、例え包帯を描いても攻撃技となる。
なお、根元に後半が掠れて読めないが【AKI……】と刻まれている。
NPCについて
ちーあ
:皆様を非日常に放り込む張本人。絶壁ロリで元気いっぱいな機械生命体。でも見た目は人と変わらない。
ありとあらゆるコンピューターにハッキングできるが割とポンコツの為、よく失敗する。
日夜怪しい研究品を開発している。それらが役に立つかどうかは皆様しだい。
初めてのネコミケで、はしゃぎすぎて迷子になりそうな予感。
その他のNPC
:登録済みのNPCなら、特定のマスターが扱うキャラクターを除き、基本的に誰でも登場可能です。
:Xイラストのキャラクターを描写する場合、
PCとXキャラの2人あわせて「1人分」の描写なので、無関係の行動などはお控えください。
※Xキャラだけで1人分の描写とすることも可能です。
その場合は、PCさん自身は描写がなく、Xキャラだけが描写されます。
Xキャラのみの描写をご希望である旨を、アクションにわかるようにご記入ください。
※Xキャラをご希望の場合は、口調などのキャラ設定をアクションに記載してください。
Xキャラ図鑑に書き込まれている内容は、そのURLだけ書いていただければ大丈夫です。