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◆
三毛谷 道哉
の場合。
夕方。日課の散歩で、夏の日差しの緩んだ町中をそぞろ歩き、風の向くまま気の向くままに歩いた先で、道哉はふと『けものフェア絶賛開催中!』との大きな垂れ幕が目に入り、足を止めた。
昨日は見なかった気がするから、今日設置されたのだろう。
垂れ幕には他にも、開催期間と場所らしき名前が書かれている。
「にゃれっじヴぁ……んがーど……?」
舌が攣りそうな名前だと思った。そして垂れ幕の下がった建物に続々と人が入っていくのを見て、興味が湧いた。
「どれ、ひとつ入ってみよう」
入り口の二重になった自動ドアをくぐった直後、ハイテンポハイテンションの曲が大音量で耳に飛び込んできて、道哉の心臓が一瞬でんぐり返る。
これは……しまったか?
そう思ったが、入って早々回れ右をしては礼儀に反する。足を踏み入れた以上、少しは滞在するべきだろう。
幸いにも大音量に感じるのはスピーカーのある入り口付近だけで、奥に入るとそうでもない。
やれやれと、ほっと息をつく。
(人間の耳には、あれがちょうどよく聞こえるのかねえ)
ちらと入り口のほうを伺っても、道哉のように音量に驚いたり文句を言っている人間はいないから、そういうことなのだろう。
首をふりふり見て回る。入り口付近に子供用のおもちゃがたくさんあったので、ぱっと見おもちゃ屋のように見えていたが、意外にも本のほうが多かった。それを順繰りに見ていくうちに、ふと、あることに気付く。
平積みされた本のどれもが、動物が主役か、擬人化された動物が主役の本ばかりなのだ。
あちこちに動物のイラストが貼られていて、いろいろな動物のしっぽや耳などグッズが大量に置かれていることには気付いていたが――だからおもちゃ屋と勘違いしたというのもある――まさかここまでとは。
(徹底しているねえ)
感心しつつ眺めていると、平積みされた本の上に浮かんだ立体POPが目を引いた。
(おお、これは)
写真をカラーコピーして作ったらしい。それぞれポーズをとったブチ猫、キジトラ、茶トラが『港の猫たち』という本のタイトルや著者名、推薦文、そして「初版は中とじ付録付きだにゃん★」という吹き出しとともにバネで揺れている。どれも美猫だが、中でも道哉の目を釘付けにしたのは気持ちよさそうに横たわったメスの茶トラだった。
一体どんなことがあればこのような愉悦の表情を浮かべるのか。飛びついて写真集をめくる。
その茶トラは、港の猫たちという章でまとめられた写真の中にいた。漁師らしい人から与えられた魚を食べた後、海を見ながら日なたぼっこをしているときのものだった。
人間からすれば、快晴の空の下、おいしい魚をたらふく食べてご満悦のにゃんこといったほほ笑ましい光景だが、猫又の道哉から見れば横たわる裸婦のごとき芸術的な光景である。
満ち足りた至福の表情もさることながら、少し吊り目がちな丸い緑の目、鼻先から口元、喉に至る丸みを帯びたライン、ピンク色した肉球と鼻先、手入れの行き届いたツヤツヤの毛並み、その全てに若い娘らしい健康的な色気がある。
その上……! ああ、なんということだろうか。足をぴんと伸ばして、惜しげもなくおなかを! タンポポの綿毛のようなふわふわふさふさのおなかの白い毛を! カメラの前にさらしているのだ! なんてはしたないやらしい。
まばたきも忘れて食い入っていた道哉。そのとき、小さな子どもが道哉を指さして隣の母親に訴えた。
「ねーねー。あのおにーちゃん、さっきからずーっと同じページばかり見てるよー」
「そうねえ。――あら、うちの子がうるさくしてごめんなさい」
よっぽどあの写真が気に入ったのね、かわいい猫ちゃんだものね、程度の気持ちで受け答えした母親だったが、道哉が振り返ったので、とりあえず謝った。
しかし道哉は後ろ暗い気持ちがこみ上げて、グラビア本を見ているところを見つかった男性さながら、ごほごほと空咳をしつつ写真集を戻してその場からいそいそと離れた。
「……大丈夫、私は普通に猫の写真を見てただけの人だ。何もおかしなところはない……」
ぶつぶつとつぶやいて自らに言い聞かせ、他の写真集も手に取りパラパラめくるなどパフォーマンスをとるが、どうにもやましさが抜けない。
(もう出るか)
落ち着かない気分でそう決める。そのとき『どうぶつのあかんぼたち』写真集をレジへ持って行ったのは、立ち読みばかりで出るのは申し訳ないという気持ちと、そして無垢な子どもたちの一瞬の表情を、一切の余計な強調なく素朴に伝えてくる写真家の姿勢が好ましく思えたからだが……、店を出るとき、レジ横に置かれていた『港の猫たち』が追加購入としてすべり込んだのは……いやもう、何の言い訳もできないと思った。
(……まあ、うん……ほしくなったから仕方がない)
ハードカバーの写真集が2冊も入ると、重量も相当なものだ。バランスを取ろうと無意識に動かした手元でがさりと音がして、道哉はそれについて思い出した。
レジの女性が「おまけです」と猫耳の頭飾りを入れてくれたのだ。
(いや、今では『かちゅーしゃ』と言うんだったか)
取り出して、改めて見ても、子ども用のプラスチックのおもちゃだった。
(まあ購入者に無料で配るおまけだ、こんな物だろう)
道哉の頭には当然はまらない。かといって、使える物を捨てるのももったいない。
「ふむ。きなこにでも贈るか。案外こういう物も好きかもしれん」
『うわぁ。ありがとう、みちちかくん。これ、にんげんのひとたちがつけてるものだよね。いちどつけてみたいとおもってたんだ』
猫耳カチューシャを両手に持って、笑顔のきなこの姿が浮かんだ。
ワンピースを買ってあげたときも、きなこはすごくうれしそうだった。実体化で人になれるようになって、これからは人の物も身に付けられるようになったのだから、そりゃあいろいろと人間の女の子がする格好がしたいだろう。
すると急に、これよりも、あの店の入り口に並んでいた『こすぷれ入門せっと』とやらを買って贈ったほうがいいような気がしてきた。今すれ違った女性たちも、けも耳やしっぽを付けていたし。
『みちちかくん……、これでいい? おかしくない……?』
茶トラの猫耳としっぽを付けて、正しく付けられているか、不安そうにもじもじするきなこ。
(………………)
「いやいや。何をさせようとしてるんだ、私は」
ぱっぱと頭のところの空気を払う。
変な写真を見たから影響されて、今ちょっと変になってるんだ。大体きなこはそんなことはしないだろう、とすぐ結論できて、ほっと息を吐く。
「ともかく、きなこにこれを渡してから、帰ろう」
きなこの無垢な笑顔が見られることを楽しみに、夕焼けの空の下、道哉は駅へと歩いた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
寺岡志乃
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
6人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年04月13日
参加申し込みの期限
2022年04月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年04月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
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