猫又川納涼床でひ～んやり｜リアクション

猫又川納涼床でひ～んやり

●何に着替えましょう

「納涼床？」
　初めて聞いた関西地方の夏の風物詩に響タルトは興味を示した。
　納涼床もだが、最近、刀のゲームにはまっているのでサムライやニンジャ・お殿様やお姫様などのコスプレ姿で楽しめることも興味対象だ。

　八神修は、七夜あおいを誘って納涼床を訪れた。
「風流だね」
　川の流れを見ながら言う修に、寝子島で風流なイベントが楽しめることが嬉しいとあおいが微笑む。
　川のせせらぎに耳を澄ましつつ、涼し気な光景に思い思いの感想を交わす。
「修君、貸衣装屋さんがあるよ。何か着てみない？」
　店から出てきた浴衣姿の女性を見て、着てみたくなったのか、あおいは行ってみたくなったようだ。
「いいね。行ってみようか」
　こうして、２人は貸衣装屋で衣装をレンタルすることにした。

　貸衣装屋に入ると、衣装を選んでいるタルトに会った。
「八神くんも衣装を借りるの？」
「ああ。何か着てみようと思ってね」
　あおいと一緒だったので「お邪魔しちゃ悪いみたいだね」とタルトはごゆっくり～と言ってその場を離れた。
「コスプレできるのか～、何にしようかな？　ニンジャも捨てがたいけど、サムライがいいかな♪」
　日本の風物詩には日本っぽく、ということでサムライのコスプレを選んだ。

　修とあおいはいろいろ見て、あおいが心動いた服を借りた。
「……似合う？」
　あおいが選んだのは、時代劇のお姫様のような衣装だった。
　その姿を見た修は、絵巻物から出てきたみたいだと見惚れる。
　言葉が出ないほど見惚れていたが、ようやく「似合うよ」と言えた。
「俺はどうかな？」
　修の衣装はサムライ風の和装をキリッと着こなしている。
「すごく似合うよ。お姫様を守ってね、お侍さん」
「ありがとう。全力でお守りしますよ、お姫様」

　貸衣装屋でサムライっぽい和服に着替えたタルトは、近隣の飲食店が開発した新メニューを堪能しようとルンルン気分で見て回る。
「いろんなお店があるね～、納涼海鮮冷やし中華をいただこうかな」
　暑い夏は冷たいものがいいよね、ということで納涼海鮮冷やし中華を食べることに。
　エビ、ホタテ、イカなどのお刺身をトッピングしたボリューム満点で食べがいがあるスペシャルメニューを食べる前にスマホで撮影。
　SNS映えしそうなヴィジュアルを撮影し終え、さっそく一口。
「美味しい！」
　ろっこんで猫化するようになり前以上に海鮮が好きになったが、猫だとイカは腰を抜かすと聞いたので怖くて食べられなかった。
　実際には腰を抜かさないが、イカを食べるとビタミンB1不足、消化不良による下痢を起こすのでどちらにしろ要注意だ。
「人間の時なら安心♪　もっと食べよう♪」
　ほっぺたが落ちそうなほど美味しい～と味わいながら食べていく。
「納涼海鮮冷やし中華、美味しかった～♪」
　また食べたいなと思いつつ、次なる場所へ。

　どの飲食店も美味しそうなものを提供していたが、その中で特に目を引いたのは子猫の海水浴。
「あっ、可愛い猫！　子猫の海水浴かあ、これは買いだね！」
　海の中を思わせる水色の寒天の中にいっぱいのフルーツ、ミニフィギュアの水着姿の子猫が。
　泳ぐ表現の子猫たちにタルトは釘付けになった。
「お持ち帰りＯＫなんだ。フィギュアがいろいろあるなら、弟の分も買おうかな。僕ってなんていい姉……なーんて」
　お金はしっかりいただくけどね、と子猫の海水浴を見ながらほくそ笑む。

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