猫又川納涼床でひ～んやり｜リアクション

猫又川納涼床でひ～んやり

●納涼床でお食事を

「納涼床。話には聞いたことがあるわ。いかにも涼しげだよね」
　白地に風鈴や金魚をあしらった柄の浴衣姿の楡宮遠海は、鎌倉の名家の令嬢然とした清楚な美少女といった雰囲気。
　清楚な魅力を際立たせているが、方向音痴のため小一時間ほど猫又川納涼床の会場を探し回っている。
　迷子が小一時間程度で済んだので、多少は成長（？）したのかもしれない。

　納涼床に到着すると適当に空いたところに座り、しばらくひんやりした空気やせせやぎの音で疲れを癒す。
「色々とおいしそうな料理やスイーツがてんこもり……！」
　川の流れやせせらぎの音で涼みながら、まずは何から食べようか考える。
「夏はやっぱり冷やし中華よね」
　ということで、まずは納涼海鮮冷やし中華を軽く５人前。
「……本番開始！」
　いただきますと手を合わせ、箸を持ってさっそく一口。
「お刺身も新鮮で、舌が蕩けるような美味しさだわ。言うことなし！」
　ボリュームも満点で食べがいあるスペシャルメニューに遠海は大満足。
　中華麺をすすり、お刺身を食べるスピードはまったく衰えず、あっという間に冷やし中華５人前を完食。
「美味しかったわ」
　ごちそうさま、と作ってくれたお店に感謝。
　清楚な少女の食べっぷりに、周囲の客は驚いていた。

　次は極辛キーマカレーを５杯。
　本場インドからやってきた店主が開発したキーマカレーは、とにかく辛い！
「これは難敵だわ……」
　猫舌で辛いのが苦手な遠海にとっては難敵だが、だからこそ挑む価値がある。
「暑くて辛くてうまいので困っちゃうわ……。体が熱くなってきたわ……」
　ラッシーで口直しをしつつ、難敵たる激辛キーマカレーを食べていく。
　舌に接するカプサイシンを吸収し、辛味を和らげてくれるラッシーのおかげでどうにか完食。
　冷やし中華の時に比べると食べるスピードは落ちていたが、見事な食べっぷりだった。
　これにはインド人の店主もビックリ！

　激辛キーマカレーで口の中がピリピリしたので、口直しにと最後は子猫の海水浴を10個ほど。
「食べるのがもったいないわね」
　そんなことを思いつつ、フルーツいっぱいの水色の寒天を食べる。口の中に涼しさが広がるような感覚に。
「中に入っている子猫は小さいフィギュアになっているのね。可愛いわ」
　ミニフィギュアは10種類程度のバリエーションがあるので、コンプリートするのも面白そうだ。
　子猫の海水浴を心底美味しそうに味わいながら、ミニフィギュアを眺める。
　ゲットしたフィギュアは目隠しをして棒を持った子猫。足元にスイカがあるのでスイカ割りだろう。

　10個食べ終えた時点で遠海がゲットしたミニフィギュアだが、ダブリがいくつか。
　もっと食べたくなったので、更に追加注文。そうしているうちに、ミニフィギュアコンプリートとなった。
「涼しくて美味しい和菓子に可愛い子猫。こういうのもいいわね」
　納涼床で涼みながら休憩しつつ、次は何を食べようかとお座敷にミニフィギュアを並べながら遠海は考える。

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