南紀白浜を臨海学校で味わい尽くす！｜リアクション

南紀白浜を臨海学校で味わい尽くす！

ビーチ・フラッグス（午前）
　昨日と同じように白良浜海水浴場に全学年の生徒が集まった。同様のストレッチを合同で行い、程よい汗を掻いた。
　クールダウンの時間を取る。頃合いと体育担当の浅井幸太が動いた。小柄ながらも上質な筋肉を有し、生徒達の目を集めた。
「今日は遠泳の前に『ビーチ・フラッグス』を行う。競技内容の説明をするのでよく聞くように」
　説明後、速やかに生徒達は分けられ、早々と競技が始まった。
　一年生の男子が指定の位置に腹這いとなった。スターターは幸太が務める。ホイッスルを口に咥え、生徒達の静止状態を目で窺う。
　鋭い笛の音が鳴った。全員が素早く立ち上がると同時に振り返り、二十メートル先に立てられたフラッグに向けて全力で走る。右隣の相手が速いと判断した一人が左へと狙いを変えた。
　先頭に立った一人は砂浜に足を取られ、急激に速度を落とす。好機と一人が抜け出し、一番でフラッグを手にした。後続はヘッドスライディングをするように突っ込んだ。
　その結果、一人の敗退が決まった。
　数秒の戦いにも関わらず、白熱した展開に多くの拍手と声援が送られた。
　回数を重ねるごとに脱落者が増える。最後はたった二人の争いとなった。
　同じようにスタートの姿勢を取る。笛の音と共に起き上がり、一本のフラッグの奪い合いが始まる。
　その半ばで決着が付いた。一人が砂に足を取られ、派手に横転した。
　最後のフラッグを手にした男子は跳ね飛んで喜ぶ。それもそのはず。優勝者には夕飯に希望の一品が贈られることになっていた。
　幸太が聞くと即答だった。
「特大のフルーツパフェ！」
　耳にした生徒達は大いに笑った。場は陽気に盛り上がり、競技は進められた。