南紀白浜を臨海学校で味わい尽くす！｜リアクション

南紀白浜を臨海学校で味わい尽くす！

　同室の生徒達は早々と海へ向かった。
「私は少しやることがあるから」
　にこやかな顔で楡宮遠海は送り出した。ベッドには学校指定のスクール水着が置かれていた。
　遠海は恨みがましい目で見つめている。二日目の時よりも表情は暗い。心の中では不安と怒りがどす黒い渦を巻いていた。
　――臨海学校は憂鬱。観光目的なら嬉しいけれど、そうではない。
　私は金づちではない。この前の水泳大会では二位になった。泳ぎは得意と言っていいと思う。
　遠海はスクール水着を両手で持った。ボディーラインがはっきりとわかる。胸の辺りは特に強調されるデザインとなっていた。
　苦々しい顔をして鼻で笑う。
　――発育途上だから過剰に気にする必要はない。でも、現状では気になる。胸の小ささを強調するデザインはどうにかできないの？　もう少し個々の生徒に目を向けて細やかな配慮をしてもいいよね？
　心の声は行き場がなく、ただ溜息として外に押し出された。
「……そろそろ時間だし」
　ぽつりと呟いて水着に着替えた。滑らかな胸を改めて眺める。
「ちっぱいは正義なのよ」
　静かな闘志を燃やし、遠海は部屋を出ていった。