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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
……ほっ。とひと息、雪見温泉
【瑞雪】
夜空にも白く輝く雲の切れ間に、かがり火めいて揺らぐ月の光。差し込む光条に照らされて、ふたりの頬も真白く薄暗がりにたゆたいます。
明かりをつけないのはなんだか、照れてしまうから。それでも窓からの光はじゅうぶんに、愛するひとの顔を浮かび上がらせてくれました。
時子はこの日のため、尚輝へプレゼントを用意していました。
「結婚一年目は、紙婚式というそうなので……手帳です」
地味すぎず派手すぎず、ワンポイントにスズメのような小鳥の模様があしらわれた、かわいらしい手帳です。
「ああ、これは使いやすそうですね。今年の手帳をまだ買っていなかったですし、嬉しいです。ありがとう、時子さん」
「いいえ……喜んでもらえて、嬉しいです」
大切そうに手帳を開き、少年みたいに笑う夫に、時子もほっこり。
「僕も、プレゼントを用意してまして。あまりこういうのは得意じゃなくて、喜んでもらえるか……」
「わあ。素敵な、バレッタ……！」
尚輝の贈り物は、木の枝とそこにとまる三羽の小鳥をモチーフにした、つややかな髪留めでした。
「時子さんの三つ編みに、映えるんじゃないかと思いまして」
「はいっ、とっても綺麗で、可愛らしくて……気にいっちゃいました。ありがとうございます……尚輝さん」
思わず彼の胸に飛びこむと、しっかりと受け止めてくれる腕のたくましさを感じます。いつも背中を丸めて、不健康な生活を送っていた頃から比べると、彼も頼もしくなったものです。
それからしばらく、とりとめもなくおしゃべりに興じて。夜は更けて、先ほどまで降っていた雪も晴れた頃、月の光もこうこうとまたたき始めます。
「そろそろ……？」
「ええ。寝ましょうか」
なにげなく尚輝が部屋のふすまをひらくと、そこにはきっちりと角を揃えて敷かれたお布団がひとつ。枕はふたつ。
夫婦ならば当たり前、けれどふたり、なんとはなしに顔を見あわせては、やっぱり頬を染めまして。
「尚輝さん……」
「は、はい」
「お布団に入っても、すぐに寝ちゃ……イヤですよ？」
腕を絡めて、寝室へ消えるふたり。しゅるるる、ぱたんとふすまが閉じればもう、秘めごとを覗くことはかないません。夫婦だけの、ひみつです。
学生として、教師として出会い、惹かれ合いました。それぞれの立場はふたりを結び付けるのに決して容易ではなく、幾多の苦労や困難もありました。けれどそれ以上に、手を取り合って乗りこえてゆく喜びもありました。苦しさをかすませてしまうほどの、大きな大きな幸福がありました。
そんな時子と尚輝が絆を深め、みごと結ばれてから、はや一年。
ようやくのスタートラインです。これから幾たびも、幾年も、時を重ねてゆくでしょう。たがいを尊重し、むつみ合い、時にはケンカもしたりしながら、ずうっとずうっと。続いてゆくのでしょう。
眠る彼の胸に身を預けながら、時子は思うのです。
学生の頃の自分は、大好きな人とこんなふうに過ごすだなんて、想像していたでしょうか？
眠り、目が覚めればふたたび、日は巡ります。そこには変わらず彼のとぼけた笑顔とまとまらない栗色の髪があり、ともに暮らす幸せがあり、苦労や困難もあるけれど、いっしょに乗りこえてゆく……。想像すればするほどに、時子は満たされました。
寝顔をしばし眺め、やがて目を伏せます。安堵に包まれながら、幸せな明日へと思いを馳せながら、時子もすやすや。すこやかな眠りへと落ちてゆきました。
夜空にも白く輝く雲の切れ間に、かがり火めいて揺らぐ月の光。差し込む光条に照らされて、ふたりの頬も真白く薄暗がりにたゆたいます。
明かりをつけないのはなんだか、照れてしまうから。それでも窓からの光はじゅうぶんに、愛するひとの顔を浮かび上がらせてくれました。
時子はこの日のため、尚輝へプレゼントを用意していました。
「結婚一年目は、紙婚式というそうなので……手帳です」
地味すぎず派手すぎず、ワンポイントにスズメのような小鳥の模様があしらわれた、かわいらしい手帳です。
「ああ、これは使いやすそうですね。今年の手帳をまだ買っていなかったですし、嬉しいです。ありがとう、時子さん」
「いいえ……喜んでもらえて、嬉しいです」
大切そうに手帳を開き、少年みたいに笑う夫に、時子もほっこり。
「僕も、プレゼントを用意してまして。あまりこういうのは得意じゃなくて、喜んでもらえるか……」
「わあ。素敵な、バレッタ……！」
尚輝の贈り物は、木の枝とそこにとまる三羽の小鳥をモチーフにした、つややかな髪留めでした。
「時子さんの三つ編みに、映えるんじゃないかと思いまして」
「はいっ、とっても綺麗で、可愛らしくて……気にいっちゃいました。ありがとうございます……尚輝さん」
思わず彼の胸に飛びこむと、しっかりと受け止めてくれる腕のたくましさを感じます。いつも背中を丸めて、不健康な生活を送っていた頃から比べると、彼も頼もしくなったものです。
それからしばらく、とりとめもなくおしゃべりに興じて。夜は更けて、先ほどまで降っていた雪も晴れた頃、月の光もこうこうとまたたき始めます。
「そろそろ……？」
「ええ。寝ましょうか」
なにげなく尚輝が部屋のふすまをひらくと、そこにはきっちりと角を揃えて敷かれたお布団がひとつ。枕はふたつ。
夫婦ならば当たり前、けれどふたり、なんとはなしに顔を見あわせては、やっぱり頬を染めまして。
「尚輝さん……」
「は、はい」
「お布団に入っても、すぐに寝ちゃ……イヤですよ？」
腕を絡めて、寝室へ消えるふたり。しゅるるる、ぱたんとふすまが閉じればもう、秘めごとを覗くことはかないません。夫婦だけの、ひみつです。
学生として、教師として出会い、惹かれ合いました。それぞれの立場はふたりを結び付けるのに決して容易ではなく、幾多の苦労や困難もありました。けれどそれ以上に、手を取り合って乗りこえてゆく喜びもありました。苦しさをかすませてしまうほどの、大きな大きな幸福がありました。
そんな時子と尚輝が絆を深め、みごと結ばれてから、はや一年。
ようやくのスタートラインです。これから幾たびも、幾年も、時を重ねてゆくでしょう。たがいを尊重し、むつみ合い、時にはケンカもしたりしながら、ずうっとずうっと。続いてゆくのでしょう。
眠る彼の胸に身を預けながら、時子は思うのです。
学生の頃の自分は、大好きな人とこんなふうに過ごすだなんて、想像していたでしょうか？
眠り、目が覚めればふたたび、日は巡ります。そこには変わらず彼のとぼけた笑顔とまとまらない栗色の髪があり、ともに暮らす幸せがあり、苦労や困難もあるけれど、いっしょに乗りこえてゆく……。想像すればするほどに、時子は満たされました。
寝顔をしばし眺め、やがて目を伏せます。安堵に包まれながら、幸せな明日へと思いを馳せながら、時子もすやすや。すこやかな眠りへと落ちてゆきました。
あとがき
担当マスター：
墨谷幽
ファンレターはマスターページから！
墨谷幽です。
お待たせしました。『ほっとひと息。』なリアクションをお届けいたします。
今回はご指名をいただき、おふたりの関係、絆を深めるお手伝いをさせていただくことができまして、光栄でした。
今はまだＩＦの未来のお話ではありますけれど、これからのなりゆきや努力によって、現実になったりするのかもしれません。いえぜひとも現実になっていただきたい！
というわけでいつもの寝子島でも、いずれ訪れてほしい未来のお話でも、おふたりの行く末をそっと見守りつつ、時に微力ながらお力添えをさせていただけるなら、こんなに嬉しいことはありません。
また次の機会にも、御巫さんと五十嵐先生の素敵なワンシーンを描かせていただけましたら嬉しいです。
それでは、お疲れさまでした！
お待たせしました。『ほっとひと息。』なリアクションをお届けいたします。
今回はご指名をいただき、おふたりの関係、絆を深めるお手伝いをさせていただくことができまして、光栄でした。
今はまだＩＦの未来のお話ではありますけれど、これからのなりゆきや努力によって、現実になったりするのかもしれません。いえぜひとも現実になっていただきたい！
というわけでいつもの寝子島でも、いずれ訪れてほしい未来のお話でも、おふたりの行く末をそっと見守りつつ、時に微力ながらお力添えをさせていただけるなら、こんなに嬉しいことはありません。
また次の機会にも、御巫さんと五十嵐先生の素敵なワンシーンを描かせていただけましたら嬉しいです。
それでは、お疲れさまでした！
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2022年03月02日
- 参加申し込みの期限
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- 2022年03月09日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2022年03月09日 11時00分
