喫茶Rainyの危機～ナウなヤングにバカ受けデザート編～｜リアクション

喫茶Rainyの危機～ナウなヤングにバカ受けデザート編～

　さて、残るイラスト案はラッセル。
　ラッセルの絵は、クリームソーダに似ていた。
　青いソーダの中でイルカのゼリーと、カットフルーツがふよふよ漂い。
　グラスに浮かぶアイスの横には、太陽のように、鮮やかなオレンジとブドウを添えて。
　さらに、ペンギン風マシュマロが、ピックで果物に留められていた。
「テーマは“海のいきものソーダ”だ！　他にもアイシングクッキーでカップとか、店名を描いたモノを添えるとか……うーん、上手くまとまらん！」
　絵にしたはいいものの、ラッセルの中には、まだまだアイデアがありそうだ。
　それを見て、遠海は「大丈夫よ」とひとつ頷き。
「ソーダの中のイルカやフルーツも、凄く素敵じゃない？」
「“目でも楽しめる”ってやつ？　まあ見ておもしれー、食ってうめーなら最高だぜ」
　遠海のコメントに流が同意を示し、修も大きく頷く様子に、ラッセルは安堵の息をこぼした。

　そして、夏限定メニューを食べた流の意見も、甘慈は忘れずに聞き込む。
「どれもうめーし、店の雰囲気と合ってんなーって思った。だから、奇をてらわず、アイスの種類を増やすとか、クリームソーダのソーダ水を、コーラとかコーヒーに変えんのは？」
　“目新しさ”に気を取られ、店本来の魅力を損なってしまうのはもったいない……流はそう感じたのだ。
「どうしても、ってんなら、桜井とか八神の“涼しげなスイーツ”がウケると思うし、夏以外でもコーヒーゼリーがあると嬉しいと思うぜ」
「そうだな、ここはマスターの淹れるコーヒーが名物だ。コーヒーゼリーなら、子供でも食べやすいだろうね」
　流の提案に、修も意見を出し、
「あんみつもイチゴアイスなら、イチゴ大福みたいで美味しそうよね？」
「そういや、ニャンスタで色んな色のソーダとか見たぜ。色の違うクリームソーダがあっても面白そうだな」
　遠海とラッセルも、ふと思いついた意見をあげた。

　たくさんのアイデアが舞い込み、書き留める甘慈の手は止まらない。
　……数分して、甘慈はやっと手を止めた。
「皆、ありがとう。お店のためにこんなにアイデアをくれて。……じゃあ早速、作ってみようか」

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