熱く、冷たく？　サマーバレンタイン♡カーニバル！｜リアクション

熱く、冷たく？　サマーバレンタイン♡カーニバル！

☆バラの花弁とお手伝い

「今年もやるんだ、サマーバレンタイン♡カーニバル」
　寝子高３年の鴻上彰尋は、去年のことを思い出しました。
「去年は配布されたバラをもらって、あと2本買ってあおいさんに渡したんだよな……」
　七夜あおいの笑顔を思い出しながら、彰尋はふと思いつきました。
（貰ったバラのお礼も兼ねて、今年はパレードの手伝いをしたいかな、迷惑じゃなければ）
　自分が貰えて嬉しかったから、今度はそれを手伝う側になれるなら素敵だ、と思うのです。
（……俺自身はもう、これ以上の想いをバラに乗せて贈るのは重たいだろうから）
　その後告白して返事待ちの状況だし、さらにバラを贈るのは相手に負担かな、と彰尋は自分に言い聞かせます。

　そんなわけでパレード開始前にトラックのところへ行くと、結構たくさんの人が集まっていました。
「手伝い希望？　よく来てくれたな、トラックはたくさんあるから好きなのに乗ってくれ」
　寝子サンマさんに迎えられ、少し考えて彰尋は後ろのほうのトラックの荷台に乗り込みました。
　色とりどりのバラの花弁が入った袋を渡され、花びらに見とれながら、彰尋は思います。
（バラの花びらを撒くのは楽しそうだ、花びらだけでもいい匂いがしてくる）
　さあ、パレードの始まりです。
　彰尋は、沿道の人々に向かって勢いよくバラの花びらを振りまきました。
　花びらがシャワーのように降り注ぎます。
（おや、あれは……）
　見覚えのあるツインテールの少女が、花びらを浴びていました。
「あおいさん？」
「彰尋くん」
　彰尋は、思わず一輪ブーケを差し出していました。
　重たいだろうなという気持ちはどこかに吹っ飛んでしまって。
「ありがとう」
　ブーケを受け取ったあおいはにっこり笑い、その場にあおいを残してトラックは進んでいくのでした。
（あおいさん……楽しんでくれたらいいけど）

　小さくなっていくあおいがやがて見えなくなると、彰尋は前へ向き直ります。
（さて、頑張らないと。サンマさんやマンボウ君や職員の皆さんが少し休める時間が出来たらいいな）
　

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