【期末テスト】赤点？満点？？熱風、四日間の死線＜物語編＞｜リアクション

【期末テスト】赤点？満点？？熱風、四日間の死線＜物語編＞

●それはまるで乙女ゲームのように

　期末試験４日目。
　羽生碧南はこれまで『乙女ゲー妄想』で試験という名の試練を乗り越えてきた。歴史上の人物や用語はそれをテーマにした乙女ゲームをコンプリートすることで覚え、数学はクールな先輩になり、国語は和のイケメンといった具合だ。
　しかし今回は少々手こずった。試験中、なぜか暑かったり寒かったりと寒暖差が乱高下していて集中できなかった。

（よくあんな状況でテストを受けられたな）

　そう素直に思わざると得なかった。
　それでも妄想パワーを発揮してどうにか最終日まで何とか持ちこたえた。今日は彼女にとって得意な国語のテスト。それが終わったらそこそこ得意な家庭科。
　そして、この２科目で期末試験の全科目が終了である。試験後に憂いなく羽を伸ばすためにも頑張りたいところ。
　試験が始まり、問題に目を通す。ラストスパートも脳内の乙女ゲームの攻略対象（と書いてイケメン）の導きで解答しようとしたら、体に異変を感じた。

（え？　なにこの感じは？）

　身体の奥でじわりと熾火のような、かすかな熱いものを感じる。
　それはじゅんじゅんと熱くなってきて、身体の奥から夏の暑さだけではない熱い火照りとともに、なにやらエロティックな気分になってくる。このとき、教室には受験幽霊のなかに色情霊が混ざっていた。しかしそんなことは知る由もなく、知ったとしてもどうしようもない。

　脳内では国語担当のイケメンとストーリーが展開していく。彼に誘惑されて熱く蕩けるようなキスシーン。それからベッドに押し倒されて優しく服を脱がされて、やがて１８禁乙女ゲームのような内容に発展していく。

（……はっ！？　私は今いったい何を！？）

　過激な妄想から覚めると、顔面が真っ赤なのを感じる。
　全身が熱い。先ほどまで脳内で繰り広げられていた内容がちらつく。

（せ、せめて最後まで解かないと）

　碧南は深呼吸して、なんとか落ち着こうと励む。どうにか問題を解ききってペンを置いた。