【期末テスト】赤点？満点？？熱風、四日間の死線＜物語編＞｜リアクション

【期末テスト】赤点？満点？？熱風、四日間の死線＜物語編＞

●夏休みのために

　期末試験が終了してから１週間後。
　鴻上彰尋は返却された結果を見てほっと一息つく。今回はどうしても点数を取っておきたい事情があった。

　彼は中学時代の友達から、夏休みの期間中に高校の部活で映画を撮るので協力して欲しいと言われていた。しかも１日ではなく、少し長めに撮影合宿もするということだった。
　参加したい気持ちはあったが、少し問題があった。
　彰尋の家は母と兄が働いているので、彼が家事と幼い弟妹たちの面倒を見ている。もし撮影合宿に参加するとなれば、数日家を空けることになり、家事などを行うことが出来ない。
　だから先に親に相談していたところ、今回の期末試験で全教科75点以上ならＯＫという条件が出された。

（ネックの英語が75点以上行くことが出来るのかが一番心配だったんだけど……無事にクリアできたようだ）

　テスト中も手ごたえは確かにあった。
　だから７５点は最低でも取れていると思っていたし、返却結果でもそのラインを超えていることが確認できて安堵した。彰尋は勉強会に参加した甲斐があったかなと振り返る。

　学校からの帰り道。こころなしか足取りも軽い。晴れて撮影合宿に参加できるということがすごくうれしくて、彰尋は誰かに話したかった。

（ん？　あそこにいるのは？）

　彰尋の視線の先には七夜あおいの姿があった。彼は静かに駆け寄ると声を掛ける。

「あおいさん」
「あ！　彰尋くん！」

　彼女は彰尋を見るとぱっと明るい表情を浮かべる。２人はテストの話などをしながら並んで歩く。返ってきた結果を話しながらお互いに喜んだり、へこんだり。それを見た彰尋は話を切り出す。

「もしよかったら映画の撮影を見に来ない？」
「映画って、前話してた幽霊の映画？」
「そう。気分転換にどうかな？」
「うーん、面白そうだなとは思うんだけど……」

　あおいは深く考えるように額に手を置く。彼女には彼女の予定があるのだろう。はっきりした返答は聞けなかった。

（でもどこか空いたタイミングで一緒に遊べたらいいな）

　彰尋はそう願いながら、あおいと雑談する帰り道を楽しんだ。