【期末テスト】赤点？満点？？熱風、四日間の死線＜物語編＞｜リアクション

【期末テスト】赤点？満点？？熱風、四日間の死線＜物語編＞

●カード式暗記法

　期末試験の前日。
　白真白は自室で勉強をしていた。いわゆる『最後の追い込み』である。明日の科目は英語、美術、社会。そのなかでも特に苦手教科である英語に手を付ける。

「どうしても単語の意味とかスペルが覚えられないんだよね」

　教科書や参考書を眺めながら真白が呟く。そこには新出語句がずらっと並び、新しく習う文法の解説が載っている。これが何ページにも渡って書かれている。英語の学習本なので、当然といえばそうなのだが、日本語でも難しそうな内容が英語で書かれているから余計に複雑に感じる。

「普段なかなか使わないから、どうにも身に付かないんだよね。ちゃんと勉強しておかないとすぐダメになっちゃう」

　単語帳とにらめっこして暗記を心がける。単語を覚えたら、それが含まれる例文を確認する。これを単語ごとに繰り返す。しかし、アルファベットばかり眺めていると流石に疲れてくる。

「ちょっと休憩しよ……」

　パタンとテキスト類を閉じて机から離れる。なにか息抜きでもしようと部屋の中を眺める。

（あまり時間をかけるわけにもいかないし、パッと切り上げられるものがいい）

　そう思っていると目に入ったのはカードゲームのデッキ。趣味でやっているもので、これらを整理するなら時間もさほど掛からないだろう。
　カード類に手を伸ばすと、仕分けをしたり、組んであるデッキ内容を調整する。何十枚もあるカードに書かれたテキストは膨大なのに、真白はそれらを把握している。

「カードの能力とかならすぐに覚えられるんだけどなぁ」

　手にしたカードのテキストを見ながら、そんなことを考える。カードゲームは相手がカードの効果を発動すると、自分のカードに影響を与えることがある。また相手だけでなく、自分が使用したカードに追加で何枚も効果を重ねることもある。だから各カードがどういう能力なのか分かっていないとうまく戦えない。
　真白はここで、あることを思いつく。

「はっ、英語版のカードを使えば……？」

　英単語の暗記が進むのではないか。
　自分の得意とする領域で勉強も捗るならいいこと尽くめ。

「……って、カードに書かれている単語が出るとは思えないしダメだよねぇ」

　ゲームの世界観にもよるが、架空の生き物や未知の技術をテーマにしているものは多い。裏を返せば、日常生活で触れる機会のない単語ばかり出てくる。

「現実逃避してないで、勉強勉強っと」

　真白はカードを全て仕舞い終えると、再び机に向かった。