【期末テスト】赤点？満点？？熱風、四日間の死線＜物語編＞｜リアクション

【期末テスト】赤点？満点？？熱風、四日間の死線＜物語編＞

●幽霊との対話

　期末試験４日目。
　響タルトは国語と家庭の試験に臨んでいた。しかしこの日、受験生の幽霊がたくさん迷い込んでいた。おそらく霊界からやってきたのだろう。その姿はタルトからも見えていた、
　テスト中に幽霊を見かけたら、驚いたり怯えたりするのが一般的な反応かもしれないが、彼女は違った。オカルト好きなタルトはこれら幽霊の出現を結構楽しんでいた。ただ異変はあった。

（……えっ、何この気分？　もしかしてプール開きの時にもいた色情霊？）

　なんとなくエッチな気分になっていくのを肌で感じる。近くにいる幽霊がそういうタイプなのだろう。

（ストップ、いくら常識に囚われない僕でもこんなとこで脱いだら社会的に死んじゃう！）
　
　果たしてピンチなのか、それとも楽しんでるのか。謎の余裕を見せる彼女は、他の人がどうなっているのか気になった。

（もしかして他にも取りつかれてる人いるかも？）

　そーっとカンニングを疑われない程度に近くの男子たちを観察する。

（あっ、あそこの美少年顔を真っ赤にして必死に耐えてる……斜め後ろからそれを見つめる男子も興奮してるみたい☆）

　心のなかでガッツポーズを決めるタルト。

（うん、これはいいBL！　これをきっかけに禁断の関係が始まったりして♪）

　頭のなかで目の前の光景以上の展開が繰り広げられている。ただ忘れてはいけない。今は期末試験の最中である。それでも妄想はどこまでも膨らんでいく。

（いけない、ますます興奮してきたよ……ああ、でも赤点取らないようにテスト中は頑張らなきゃ）

　気持ちを切り替えようと解答用紙に目を向ける。しかし色情霊はタルトから離れない。赤点回避のために試験は取り組みたい。だが幽霊によって妨害されている。こういうとき、人はどういう行動をとるのだろうか。彼女の答えはこれだった。

（ねえ幽霊さん、僕に取りつくより男子に憑いてもっといいもの見ようよ♪　いうこと聞いてくれたら、あとで好みに合った薄い本見せてあげるから）

　まさかの懐柔。しかも了承したのか、その幽霊はタルトのもとを離れ、近くの男子のところへ移動する。

（そうそう……いい！　わかってるね♪　よし、集中してテストを片付けてからゆっくり楽しむぞ！）

　その後、集中力を如何なく発揮して早々にテストを終わらせた彼女は、色情霊とそれに困惑する男子たちを満足げに眺めていた。テスト終了後、彼女は色情霊を桜花寮の自室に招いてじっくり薄い本について語り合ったらしい。