【期末テスト】赤点？満点？？熱風、四日間の死線＜物語編＞｜リアクション

【期末テスト】赤点？満点？？熱風、四日間の死線＜物語編＞

●思い出を彼方へ

　今日は期末試験２日目。
　椎井莉鳥は１日目の試験を少し思い出しつつ、教室に向かう。

（今日は理科と体育か）

　軽く復習しようかなどと考えながら教室に入ると、やたら寒い空気に迎えられる。昨日はクーラーが不調で動いたり止まったりの繰り返しだった。しかし今日は温度調節ができないのか、必要以上に寒い。

（……一応、サマーカーディガンはあるけど）

　鞄からそれを取り出すと彼女はすぐに着た。だが、どう考えても役に立ちそうにない。それでも半袖のままでいるよりはマシだと思う。

（勉強しよう……）

　まだ試験開始まで時間がある。莉鳥は理科のテキストを開いた。
　理数系が強い彼女は、来年には大学受験を控えている。試験に先立って提出した進路調査票には、薬学部志望の旨を書いた。
　元々現実主義者の彼女は堅実な道として、少なくとも進学にあたっては、一生食いっぱぐれることがない資格を取得しようと考えている。
　特に彼女の場合、不可解にも１年生の学年末試験を放棄したために、１年間留年している。そのため、少しは周りを安心させる必要もあった。

（……集中しないと）

　考えることはたくさんある。けれど、それを考える前にこれから始まる試験を突破するのが先だ。
　チャイムが鳴ると試験が始まり、解答用紙が配られる。莉鳥は問題に目を通すと、スラスラと解答欄を埋めていく。最後の問題まで解き終わったとき、十分な時間が残っていた。これからチェックを入れてもまだ１０分以上時間がある。

（来月にはインターハイか）

　問題がすっと解けて安心したのか、ふと部活のことを思い出す。答案用紙を見直しながら、今後の部活のことをぼんやりと描く。この期末試験が終わったら、また練習の日々。結果はどうあれ、高校最後の大会になる。

（後悔はしないようにしたいわね）

　チェックを終えた答案用紙を机に置くと、視線を外す。
　
（インターハイが終わったら部活は引退。その後は受験勉強に専念するわけだし、そうすれば……）

　元カレのことなんて忘れられる。彼女は自分に言い聞かせるように心の中で呟いた。