【期末テスト】赤点？満点？？熱風、四日間の死線＜物語編＞｜リアクション

【期末テスト】赤点？満点？？熱風、四日間の死線＜物語編＞

●受験生として

　４日に及ぶ期末試験がようやく終了し、佐藤英二はほっとしていた。
　そして１週間後、その結果が返却された。

（それなりの点数は取れた……かな）

　英二は受験を控えた３年生というのと、野々ののこを手助けするために頑張って勉強してきた。その成果が如実に表れている。

（野々さんはどうだったのかな？）

　全員への返却が終わり、教室が阿鼻叫喚になるなかで、彼はののこに視線を向ける。表情から結果を予想するのは流石に難しいが、あまり明るいようには見えない。

（なんとなく今回は励ましたほうがいい試験結果な気がする……）

　チャイムが鳴ると、英二はすぐに立ち上がってののこの席に向かう。

「野々さん、今日は暑いね。この前、言ってた学食のプレミアムクレープアイスを食べない？　今日は奢るよ」

　ののこは頷くと、２人で学食へ向かう。
　英二はあえて試験結果には触れず、プレミアムメニューやこれから始まる夏休みの話を振る。学食に着くとプレミアムクレープアイスをそれぞれ注文し、テーブルで食べ始める。
　食べ始めてからも英二は試験の話を避けていた。しかし試験返却直後でその話題を逸らし続けるのもなかなか厳しい。

「英二くん、テストどうだった？」

　英二は言葉に詰まりつつも、それなりの点数は取れたと話す。ののこはそれ以上試験について話す気配はなさそうだ。試験結果が良くなかったのか、この話題にそれほど興味がないのか。英二には判断できなかった。

「野々さんの結果は分かんないけど」

　そう前置きをして、英二は話し始める。

「まだ１学期末だし、点数が取れなかった科目があっても大丈夫。夏休みに勉強……はあんまりしたくないけど、時間はあるし。取り返しのつかない時期じゃないよ」

　英二は元気づけようと、たどたどしい言葉を連ねる。それがどの程度ののこに届いたか知ることはできない。それでも何もしないよりは良いと英二は思っていた。だから、今は試験のことをあえて忘れるのも大事かもしれない。

「よし！　野々さん、こっちのプレミアムかき氷パフェも食べてみない？」

　今日くらいは、この時間くらいは、明るいままで。明日から頑張るために。