【期末テスト】赤点？満点？？熱風、四日間の死線＜物語編＞｜リアクション

【期末テスト】赤点？満点？？熱風、四日間の死線＜物語編＞

●勉強会
　
　試験日前日。
　水上桜は桜花寮の食堂で開かれる勉強会に参加していた。彼女はどの科目もそれなりにできる方だが、なぜか社会科だけ苦手だった。暗記科目に興味が持てないのか、成績があまり伸びない。しかし国語や英語は結構良かったりするので謎だ。
　そのため勉強会では基本的に社会科を中心に勉強する。社会科の担当である大橋尚先生に来てもらって、特に記述問題についていろいろと教えてもらう。
　社会科は過去から今に至るまでに起こった出来事を問われるので『それは何故起こったか』『どうしてこういう事態に陥ったのか』という説明が必要になる。そういったことを尚先生から丁寧に説明を受ける。

（これで少しは成績上がるかな……？）

　少し余裕ができたら、１年生の子たちに現代文を教える。
　彼女は結構教えるのが上手だったりする。１年生たちには久保田美和先生よりもうまいんじゃないか、と思われている。

（それはさすがに言いすぎかな）

　けれど人に教えるというのは自分の勉強にもなる。
　学年が違うとはいえ、考え方は共通している部分が多い。文章の捉え方、問いが意味している内容、規定の文字数で要約するコツなど。１年生たちに教えつつ、桜は自分の知識を再確認できた。

（そろそろ良い時間かな。勉強も一区切りついたし）

　まだ先生や学生たちが残っているが、挨拶をして先に帰った。ギリギリまで徹夜で勉強しづけるよりも、お風呂に入って寝ることにした。

（しっかり睡眠をとらないと試験本番で眠気に襲われて居眠りしたら目も当てられないしね）

　勉強を頑張ったせいで試験が満足に受けられなかったら本末転倒である。彼女は布団をかぶって横になった。

　翌日。
　十分に眠った彼女は満足な朝を迎えた。朝食、歯磨きなどの身支度を済ませたら、夏の制服に袖を通す。そして筆記道具やノート、教科書などをカバンに入れたことを確認して部屋を出る。

（やれることはやったんだから、ジタバタしても始まらない）

　彼女は焦らず寮を出て、学校へ向かった。