【期末テスト】赤点？満点？？熱風、四日間の死線＜物語編＞｜リアクション

【期末テスト】赤点？満点？？熱風、四日間の死線＜物語編＞

●目の前の現実

　「はぁ……」

　学校へ向かう途中、月原想花は大きくため息を吐いた。今日は期末試験の返却日。しかし振り返ると、試験中は散々な目に遭った。

　試験当日。
　なぜか幽霊たちも試験を受けていた。それだけなら驚くだけで済んだかもしれない。しかしある幽霊からは答えを見せるように迫られたり、別の幽霊には答案を見られそうになって咄嗟に隠す羽目に。
　挙句、一緒にカンニングしないかと誘われる始末。これでは集中どころではない。

　それだけでも気が散るのに、試験が行われた４日間はクーラーの不調に見舞われた。
　乱高下する室内温度と、好き勝手動き回ってポルターガイストを起こす幽霊たちが合わさって想花からすれば本当に散々だった。

（せっかくテストが終わったのに全然解放感とかが無い……）

　重い足取りで教室に入ると、自分の席に着く。
　ほどなくして、島岡雪乃先生が答案用紙の束を持って教室にやってきた。そして名前を読み上げながら１人ずつ返却する。

（自分の名前だと、呼ばれるのは真ん中あたりかな）

「月原さん」

　やがて自分の名前が呼ばれると、想花は立ち上がってのろのろと教壇で待つ先生の所へ行く。

「社会科、もう少し頑張りましょう」

　そう言われて社会科の点数を真っ先に確認した。２５点。何度見ても２５点だった。

（終わった）

　最初に浮かんだ言葉はそれだった。
　これは赤点なので追試は確定している。とはいえ、追試さえ乗り越えればまだ道はある。ただ、彼女は前回の追試が相当なトラウマになっている。

（追試でやらかすと大量の宿題に補習授業……それにフジコ先生の犬小屋補習という名のマンツーマン指導……）

　これからのことを思うだけで頭が痛くなる。

「ま、実家に帰省しなくて済むか……」

　流しそうめんの記憶が蘇るなか、想花は気持ちをどうにか切り替えようと思った。