【期末テスト】赤点？満点？？熱風、四日間の死線＜物語編＞｜リアクション

【期末テスト】赤点？満点？？熱風、四日間の死線＜物語編＞

●夏バテと食欲

　期末試験初日。
　楡宮遠海は教室で最後の復習をしていた。今日の科目は英語、美術、社会。テキストをめくっていると、ふと違和感を覚える。

（なんか……暑い？）

　どうやらクーラーの調子が悪いらしい。
　冷たい風が流れているかと思えば、ふと止んで暑さがこみ上げる。寒暖差の激しさを感じつつも、それとは無関係に試験は始まる。１時間目の英語は冷房がやや冷たい感じだったけど、２時間目の美術の時は逆に暑いくらいだった。そして最後の社会までこの寒暖差の荒波は続いた。
　遠海は今日のテストが全て終わって一息つく。

（こうも寒暖差が激しいと、どうにもテストに集中できなかった。大丈夫かな。……しくじって追試とか補習なんてことになったら、せっかくの夏休みが台無しだし）

　夏休みは寝子島での夏フェスや彼女の好きなバンドが行うサマーライブなど、面白いイベントがたくさんある。だから補習などで夏休みが消える憂いは無くしていきたい。
　ひとまず１日目は終了した直後、遠海が向かった先は食堂だった。

（初日に３時間もテストじゃ、どうしたってお腹空くよね）

　食堂に着いてメニューを見ると、定番だけでなく夏季限定メニューが追加されている。プレミアム激辛サンマ丼、寝子島丼。それからプレミアムかき氷パフェとプレミアムクレープアイス。
　限定メニューという響きは人を惹きつける何かがある。遠海もこれらのラインナップに注目した。なお彼女は規格外の食欲魔人である。

　遠海はまずプレミアム激辛サンマ丼と寝子島丼を５人分ずつ注文する。辛さは20倍。サンマの蒲焼きや釜揚げしらすに、唐辛子、ラー油、豆板醤などをブレンドしたスペシャルソースをたっぷり絡めた一品。
　テストで頭を使って疲れたのと、空腹も相まってサクサクと食べ進める。辛さと旨さが遠海のなかを駆け巡る。

「ふぅ、おいしかった」

　空になった丼を眺めながら満足げな様子。

「デザートはどうしようかな」

　そして食事の締めに入る。
　夏季限定メニューに『プレミアムかき氷パフェ』と『プレミアムクレープアイス』があるようだ。プレミアムかき氷パフェはシロップはメロン、イチゴ、ブルーハワイ、みぞれ、抹茶を１種類ずつ。プレミアムクレープアイスは注文できるトッピングを全種類乗せたものを５人分注文する。
　そしてテーブルの上に並べられた５個のかき氷パフェと、５個のプレミアムクレープアイス。丼が並ぶのとは違う迫力がある。

「いただきます」

　遠海は各種フルーツの甘味や酸味を堪能しつつ、その下のかき氷を楽しむ。
　５種類の味を満喫すると、クレープアイスにも手を伸ばす。もちもちのクレープ生地が柔らかい食感とともに美味しさをダイレクトに伝えてくれる。そしてあっという間に平らげた。

「あんまり食欲ない……夏バテかな」

　目の前に並んだ、食べ終えた皿たちを前に彼女はそう呟いた。