ミネラルショーがやってきた！｜リアクション

ミネラルショーがやってきた！

　桜が去り、空想に満足した想花が離れた後『FOSSIL COLLECTER』にやってきたのは、理紗子と真瞭だ。
「アンモライトか……水晶の輝きは素朴って感じだったけど、これはもう、芸術品だわ」
「ふふっ、プロの芸術家の言葉には含蓄がありますね」
　真瞭の言葉を受けた理紗子は、手にとってめくるめく輝きに見入る。大地と時が創り出した、同じ物は一つとしてない奇跡。
「これ……」
　そんな中、真瞭が目を留めたのは、アンモライトの欠片をステンドグラスのように貼り合わせ、一つの石のように仕上げたペンダントだ。
「やっぱりこの、虹色の輝きが一番の魅力かな」
　結構なお値段だったが、躊躇なく購入。
「りさちんはどうするの？」
「うーん、どれにしよう……あ」
　アンモナイト形のシルバーの台座に、色彩豊かなアンモライトの欠片が丁寧にはめ込まれているもの。
　それが、理紗子の心を射止めたようだ。
　これまた結構お高いのだが、幸い２人とも購入する財力はあったりする。
「コンサートの時に着けようかな」
「いいね。その子ならきっと、まーちゃんの演奏にも負けないよ」
　大方の店巡りと買い物を終えた２人は、最後に『サイエンス工房』に寄ることにした。
「コレクションボックスをお探しですね。白と黒、それに背景に鏡を使った物もございます」
　真瞭が品定めをしている時、理沙子はミニサイズの恐竜フィギュアを眺めていたが、背後からから男の子の声が聞こえてきた。
「きれーだな。これ、なんて石？」
「これはね、アクアマリンの原石だよ」
「知ってる！　水色の石だろ」
　小学生くらいの男の子は色々な所で女性達に話しかけ、石の話をして楽しそうだ。
「猫目石ってのもきれいだけど、お姉ちゃんたちの輝いている目が、俺にとっての宝石だぜ♪」
　――などと言うものだから、ゆく先々で「龍樹くん、チョコ好き？」とか「グミ食べる？」なんて声をかけられて、彼のポケットはもういっぱいである。
　理紗子がぽかーんと男の子を眺めていると、買い物を終えた真瞭がやってきて、ぽつりと言った。
「モテモテな子ね。……末恐ろしいわ」
「恐ろしいって、何が？」
「あと５、６年もすれば『あぁ、どうして彼は一人しかいないの？』って、悲しむ女子が出そうじゃない」
　なるほど、と頷く理紗子。
「店員さんの話では、化石にもモテてるらしいわよ、あの子」
「化石にも！？」
「発掘体験の僅かな時間でアンモナイトを探し当てた強運なんだって。５、６年したらぜひウチで働いて欲しいって言ってたわ」
「へぇ、すごいねぇ」
　真瞭と一緒に歩きながら、理紗子はただただ感心するばかりだった。

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