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付喪神夜行絵巻
サキリ・デイジーカッターが目的を問うと、イツトリは黒髪を揺らしてくつくつ笑った。
「せっかく付喪神になったのだから、派手に遊んでみたくてのう。おぬしもこういうノリ好きじゃろ？」
黒曜石のように鋭く笑う彼女の目には、好戦的な気配なこそあれ敵意や殺意の類はない。遊びにしては剣呑だが、そこは似た者同士の主と付喪神。
「こういうノリは正直好きだよ。せっかくだ、遊びとやらに付き合おうじゃないか」
サキリもまた笑い、マチェットとナイフを抜いた。
応じて、イツトリは4人のジャガー戦士のゾンビを召喚した。頭に付けた羽毛の羽飾りは右から黒、白、赤、黄の四色。彼らの得物は、マカナと呼ばれる黒曜石の刃を挟んだ木剣だ。
彼らと対峙したサキリが、ゆらりと脱力した構えを取る。その瞬間、戦士たちが動いた。赤と白の二体が正面から接近、黄と黒の二体が左右に散る。
ゾンビとは思えぬ速度で肉薄する2体に、サキリはすかさず『斬空赤刃』を発動、背後へと回り込む。投擲の構えを取った腕を、しかし黒曜石に似た色の煙が撫でた。指先が弛緩する。
「呪術か」
「然様。これがわしの遊び方じゃ」
サキリの笑みが鋭さを増す。ただ配下と戦うだけでは、物足りないと思っていたところだ。
投擲を中断。背後から白が放つ飛び蹴りを屈んでかわし、向き直ったところへ赤が地を滑るような薙ぎ払い。マチェットで受けたサキリの視界を黒曜石の蝶が塞ぐ。
左右から気配が迫り、瞬間襲いかかるのは黒と黄の放つ斬撃。絶妙に角度と方向をずらして逃げ道を塞ぐ二閃に対し、サキリは横倒しに跳んだ。隙間を縫うようにこれを避け、跳んだ隙を突かせないよう背後へ転移。
その寸前、赤が振るったマカナが服を斬り裂いた。鋭い痛みが走る。
――こうでなくちゃ。
マチェットが閃く。
赤の胴体を斬り裂き、しかし完全に断つ寸前に腕を掴まれる。噛み付くようなソレを振り払う間もなく、身体が沈む感覚。足元に絡みついた蛇が、サキリを引きずり込もうとしていた。
視界の端で、黒曜石が月光に輝き迫る。ナイフを投げて牽制、足が沈みきる前に再度転移する。
「逃さんぞ？」
鉤爪を纏う骸骨が目の前を横切り、視界が眩んだ。歪んだ視界の中で黄と黒の接近を捉え、黒へめがけナイフを投擲。微かな赤光を帯びた刃がマカナを打ち砕き、サキリは黒の懐へ飛び込んだ。黄のマカナが背中を掠め、一拍遅れて血がほとばしる。
逆手に持ち替えたマチェットがすれ違いざま黒を斬り裂、
黒曜石の牙が閃いた。横面から、白のマカナがえぐるように斬り上げる。
刀身で受け、さらに跳んで威力を逃がす。着地するやいなや視界へまとわりつく黒曜蝶に、サキリは瞳を閉じた。風の唸りを敏感に察知し、黄の一閃にマチェットを合わせる。続けて、ほんの踏み込み程度の転移。赤光帯びた刃を喰い込ませ、マカナごと黄の肉体を断つ。
振り抜いた刹那を黒が蹴り貫く。マチェットが弾き飛ばされ、衝撃に体勢を崩したサキリの首を折れたマカナが狙う。さらに背後からは胴を払う白のマカナ。
それを認識した瞬間、サキリは新たなナイフを抜いた。その刃で後ろ手に白のマカナを受け、首を逸して黒のマカナをかわす。掠めた刃が薄皮一枚斬り裂いていく。。
――ず。
ナイフ越しにマカナが背中へ食い込む感覚。シャツにじわりと血が染みた。
「ぐっ、う……！」
「おや、これで仕舞いか？」
呻く主にイツトリが笑い、しかしサキリは牙を剥く。
「まさ、かっ！」
『斬空赤刃』、這うような姿勢で白の背後へ回り込む。赤光纏うナイフを喰らいつくように――投げた。突きの動きから手首のスナップだけで放たれたナイフが顎を貫き、白はくずおれる。取り落したマカナを黒が手にとり、サキリは転移。マチェットを取り戻す。
構える間もなく黒のボウガンじみた蹴りが襲った。地面へ叩きつけられ、顔を上げた時にはもう目の前に黒曜の刃がある。
しかしマカナが斬ったのは、伸び放題の草だけだった。
黒が周囲を探る時、
サキリは既にその背後へ背中合わせに現れている。逆手に構えたマチェットが赤光を帯び、黒の脇の下から刺し貫いた。
最後の戦士が崩れ落ちるのを見届けたイツトリは、感じ入った様子で熱い息をこぼした。そのまま駆け寄ってくる彼女の瞳は喜びに輝いていて、しかも声は弾んでいる。
「見事、実に見事じゃ。やはりわしの主は、おぬしを置いて他にないのう」
「君の戦士たちと呪術も凄かったよ。また遊ぶのも悪くないかな」
「それは良い！ おぬしの技の冴え、常々間近で感じておったが、こうして見るのはまた格別じゃ！」
サキリの手を取るイツトリは、すっかり彼になついた様子。遊びとは言いつつ命のやり取りをしていたはずだが、二人は揃ってあっけらかんとしていた。
壮絶な戦いの後とは思えない和やかさで、二人は和気藹々と語り合うのだった。
「せっかく付喪神になったのだから、派手に遊んでみたくてのう。おぬしもこういうノリ好きじゃろ？」
黒曜石のように鋭く笑う彼女の目には、好戦的な気配なこそあれ敵意や殺意の類はない。遊びにしては剣呑だが、そこは似た者同士の主と付喪神。
「こういうノリは正直好きだよ。せっかくだ、遊びとやらに付き合おうじゃないか」
サキリもまた笑い、マチェットとナイフを抜いた。
応じて、イツトリは4人のジャガー戦士のゾンビを召喚した。頭に付けた羽毛の羽飾りは右から黒、白、赤、黄の四色。彼らの得物は、マカナと呼ばれる黒曜石の刃を挟んだ木剣だ。
彼らと対峙したサキリが、ゆらりと脱力した構えを取る。その瞬間、戦士たちが動いた。赤と白の二体が正面から接近、黄と黒の二体が左右に散る。
ゾンビとは思えぬ速度で肉薄する2体に、サキリはすかさず『斬空赤刃』を発動、背後へと回り込む。投擲の構えを取った腕を、しかし黒曜石に似た色の煙が撫でた。指先が弛緩する。
「呪術か」
「然様。これがわしの遊び方じゃ」
サキリの笑みが鋭さを増す。ただ配下と戦うだけでは、物足りないと思っていたところだ。
投擲を中断。背後から白が放つ飛び蹴りを屈んでかわし、向き直ったところへ赤が地を滑るような薙ぎ払い。マチェットで受けたサキリの視界を黒曜石の蝶が塞ぐ。
左右から気配が迫り、瞬間襲いかかるのは黒と黄の放つ斬撃。絶妙に角度と方向をずらして逃げ道を塞ぐ二閃に対し、サキリは横倒しに跳んだ。隙間を縫うようにこれを避け、跳んだ隙を突かせないよう背後へ転移。
その寸前、赤が振るったマカナが服を斬り裂いた。鋭い痛みが走る。
――こうでなくちゃ。
マチェットが閃く。
赤の胴体を斬り裂き、しかし完全に断つ寸前に腕を掴まれる。噛み付くようなソレを振り払う間もなく、身体が沈む感覚。足元に絡みついた蛇が、サキリを引きずり込もうとしていた。
視界の端で、黒曜石が月光に輝き迫る。ナイフを投げて牽制、足が沈みきる前に再度転移する。
「逃さんぞ？」
鉤爪を纏う骸骨が目の前を横切り、視界が眩んだ。歪んだ視界の中で黄と黒の接近を捉え、黒へめがけナイフを投擲。微かな赤光を帯びた刃がマカナを打ち砕き、サキリは黒の懐へ飛び込んだ。黄のマカナが背中を掠め、一拍遅れて血がほとばしる。
逆手に持ち替えたマチェットがすれ違いざま黒を斬り裂、
黒曜石の牙が閃いた。横面から、白のマカナがえぐるように斬り上げる。
刀身で受け、さらに跳んで威力を逃がす。着地するやいなや視界へまとわりつく黒曜蝶に、サキリは瞳を閉じた。風の唸りを敏感に察知し、黄の一閃にマチェットを合わせる。続けて、ほんの踏み込み程度の転移。赤光帯びた刃を喰い込ませ、マカナごと黄の肉体を断つ。
振り抜いた刹那を黒が蹴り貫く。マチェットが弾き飛ばされ、衝撃に体勢を崩したサキリの首を折れたマカナが狙う。さらに背後からは胴を払う白のマカナ。
それを認識した瞬間、サキリは新たなナイフを抜いた。その刃で後ろ手に白のマカナを受け、首を逸して黒のマカナをかわす。掠めた刃が薄皮一枚斬り裂いていく。。
――ず。
ナイフ越しにマカナが背中へ食い込む感覚。シャツにじわりと血が染みた。
「ぐっ、う……！」
「おや、これで仕舞いか？」
呻く主にイツトリが笑い、しかしサキリは牙を剥く。
「まさ、かっ！」
『斬空赤刃』、這うような姿勢で白の背後へ回り込む。赤光纏うナイフを喰らいつくように――投げた。突きの動きから手首のスナップだけで放たれたナイフが顎を貫き、白はくずおれる。取り落したマカナを黒が手にとり、サキリは転移。マチェットを取り戻す。
構える間もなく黒のボウガンじみた蹴りが襲った。地面へ叩きつけられ、顔を上げた時にはもう目の前に黒曜の刃がある。
しかしマカナが斬ったのは、伸び放題の草だけだった。
黒が周囲を探る時、
サキリは既にその背後へ背中合わせに現れている。逆手に構えたマチェットが赤光を帯び、黒の脇の下から刺し貫いた。
最後の戦士が崩れ落ちるのを見届けたイツトリは、感じ入った様子で熱い息をこぼした。そのまま駆け寄ってくる彼女の瞳は喜びに輝いていて、しかも声は弾んでいる。
「見事、実に見事じゃ。やはりわしの主は、おぬしを置いて他にないのう」
「君の戦士たちと呪術も凄かったよ。また遊ぶのも悪くないかな」
「それは良い！ おぬしの技の冴え、常々間近で感じておったが、こうして見るのはまた格別じゃ！」
サキリの手を取るイツトリは、すっかり彼になついた様子。遊びとは言いつつ命のやり取りをしていたはずだが、二人は揃ってあっけらかんとしていた。
壮絶な戦いの後とは思えない和やかさで、二人は和気藹々と語り合うのだった。
あとがき
担当マスター：
風雅宿
ファンレターはマスターページから！
付喪神とのバトルはいかがでしたでしょうか。
バトル自体はもちろんのこと、襲いかかってくる付喪神を通じた掘り下げなどお楽しみ頂けたのでしたら幸いです。
それでは、またどこかで。
バトル自体はもちろんのこと、襲いかかってくる付喪神を通じた掘り下げなどお楽しみ頂けたのでしたら幸いです。
それでは、またどこかで。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2022年01月30日
- 参加申し込みの期限
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- 2022年02月06日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2022年02月06日 11時00分
