草木も眠る丑三つ時。
サキリ・デイジーカッターはふと胸騒ぎを覚え、九夜山の麓へとやってきていた。
辺りは虫の声一つ聞こえないほどに静まり返っていた。足元の草を踏むサキリ自身の足音が、ひどく大きく耳に響く。
しかし周囲に他の誰か、あるいは何かの気配は感じない。しばらく周囲をうかがった後、サキリはつめていた息を細く吐き出した。
「気のせいだったかな」
それはまったくの突然だった。
遥か遠くから空間を斬り裂いてその場に飛び出してきたかのように、背後に奇妙な気配が現れたのだ。
振り向きざま、サキリは懐からイツトリを――愛用の黒曜石の短刀を抜き放つ。
抜き放とうしたはずだった。
「イツトリが……ない?」
目を瞬かせ、イツトリが収まっているはずのナイフケースを見た。空っぽの口がサキリを見つめ返している。まるでイツトリが抜け落ちてしまったかのように。
瞬時に頭を切り替えて別の武器を構えようと、
「――呼んだか?」
気配の主が、そう言って笑うのが聞こえた。
そこに居たのは一人の少女だ。夜闇の中で輝くような美しい黒髪をなびかせたその少女は、しかし明らかに異様だった。
不思議な紋様が至るところに描かれた肌に、遥か古代の異郷の巫女を思わすような装束と装身具。しかもその身体は地面からふわりと浮いていた。
そして何より、先ほどの言葉だ。
「呼んだって? 僕が、君を?」
少女が頷く。どこからか黒曜石の刃が現れて、彼女の周囲を漂い始めた。金の瞳が抜身の刃のような輝きを放ち、その口元に鋭く不敵な笑みが浮かぶ。
サキリは直感した。
この少女はイツトリが人の形を取ったもの――付喪神だ。それも、サキリと戦うつもりらしい。
霊界から何らかの影響を受けたのだろうが、今はそれを探っている場合ではなさそうだ。
「君がその気なら、応じるまでだ」
付喪神との戦いが、今始まる。
サキリ・デイジーカッターさん、ダークイラストキャンペーンご当選おめでとうございます!
ご参加の際にはご自由にアクションをかけて頂ければ幸いです。
ということでハローワールド、風雅です。
今回はダークイラストキャンペーンのシナリオのお届けとなります。
シナリオ概要
霊界から何かしらの影響を受けたのか、参加者の方々にゆかりのある物品が付喪神へと変化しました。
これらの付喪神は凶暴化または好戦的な性格となっており、参加者の方々へ襲いかかってきます。
付喪神化した物品との戦いを楽しむのもよし、このシチュエーションを利用して物品についてのエピソードを掘り下げるもよしのシナリオとなっております。
付喪神との戦いについて
・元となる物品は自由に指定することができます。アイテムとして登録されていないものも指定可能です。
・失くしてしまったり壊してしまったものなど、設定上現存していないものでも構いません。
・付喪神化した後の容姿や性格、戦い方などは指定しても構いませんし、お任せとして頂いても問題ありません。
・元となる物品は付喪神との戦いが終わるまで使用することができません。例えば愛用の自転車が付喪神化した場合、戦いが終わるまでその自転車には乗れません。
・アクションで特別に言及しない限り、戦いによるダメージで元となる物品が壊れることはありません。
・戦って倒すアクションでなくとも、物品に向き合うことで決着をつけるアクションなどももちろん可能です。
・場所やシチュエーションは自由に決定できます。
※もし付喪神化した物品を今後改めて付喪神としてPC登録する場合、このシナリオによる影響の有無についてはプレイヤーさんが自由にできますのでご安心ください。
なお、今回のシナリオにおける付喪神との戦いは、GAを組んでいる場合を除いて原則一対一となりますのでご注意ください。
また付喪神化の原因については、「霊界から何かしらの影響を受けた」以上のものはありません。原因を探るアクションは空振りしてしまいますのでご了承ください。
それでは、ご参加お待ちしています。