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- 種族
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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
付喪神夜行絵巻
◆
姫之崎 ありあはいつもどおり持ち主の元を抜け出し、深夜の旧市街を散歩していた。
ぐるっと一周して参道商店街あたりまで来たところで、そろそろ帰ろうかと持ち主のアパートへ足を向ける。
その瞬間、どこからか放たれたビームがありあに襲いかかった。
「えっ？」
間一髪でかわしたありあの目の前で、ファンシーな色合いの光と軽やかな効果音が弾ける。
「一体何なのよ？」
辺りに向かって呼びかけた声に返答はなく、代わりに返ってくるのは同じビームだった。表に出しっぱなしの看板や町内会の掲示板、大きな石ころ、ポストの支柱なんかを壁にしてビームをかわしながら、アパートへと急ぐ。
しかし相手もしつこく、ビームが止む様子はない。このままじゃ埒が明かないし、万が一にもアパートの中まで追いかけてきたら一大事だ。
そこでありあは方向転換、大通りの方へと駆け出した。深夜の静まり返った通りには遮蔽物はなく、ビームからありあを守ってくれるものはない。
それと同じで、相手が身を隠す場所もない。
「そこね！」
暗闇から放たれたビーム、その発射位置を逃さず捉えたありあは近くの砂利――アリアたちのサイズからすれば充分すぎる大きさの石――を投げつける。そして怯ませたところへすかさず飛び込んだ。
「とりゃあ！」
流星のような見事な飛び蹴りが命中。敵を蹴って着地し、そのまま地面を蹴って接近。渾身の力で魔法少女パンチをお見舞いする。
「これでも格闘戦は得意なのよ、魔法少女らしくないけどね」
確かな手応えを感じながら敵の姿を見たありあは、赤い瞳を驚きに見開いた。
スティックだった。
ありあと同じくらいの大きさになってはいるが間違いない、『魔法少女ミスティックアリア』が持つ音符の形をあしらった魔法のスティックだ。ハッとなってパンチを繰り出したのとは反対の手を見ると、いつも握っているはずのスティックがない。
つまり目の前のスティックは、間違いなく彼女の魔法のスティックだった。
「――なんで？」
――あたしの相方みたいな存在が、なんであたしを襲撃するの？
そう訊きたいのに、戸惑いのあまり声がもつれて言葉にならない。そんなありあに、スティックは容赦なく魔法のビームを叩きつけた。直撃を受けて吹っ飛ばされた魔法少女を、さらなるビームが追撃する。
何故かはわからない。しかしスティックが敵意を持って襲いかかってきていることだけは確かだ。困惑しながらも追撃をかわしたありあは、やむを得ずスティックに飛びかかった。
「ねえってば！」
ビームをかいくぐったありあの手が、その指先がスティックにほとんど触れる距離まで迫る。スティックは全身を使って弾こうとし、しかし不自然に動きを止めた。その隙に確かに掴んだものの、全身からのビームに吹き飛ばされた。
音符とビームが追い打ちをかける。
「やば、」
小さな大爆発が起きた。二人も呑み込んでしまうほどのその爆発も、通り全体から見ればほんの隅っこで起きた微かな土ぼこり程度。それを夜風が吹き散らした時には、ありあは既にスティックの目の前までジャンプしていた。土ぼこりが目に入ったのか、赤い瞳は潤みを帯びている。
そのままスティックを押し倒し、マウントポジション。しかし握り拳の行方を迷った一瞬に、スティックはちょうどマウントを取られた人間がする頭突きのようなモーションをかけた。
ありあが反射的に身を引いた途端、スティックは手を弾きかけた時のようにピタリと動きを止めた。スティック全体が微かに震えている様子は、したくないはずのことをして我に返る人の様で。
それを見た途端、ストンと腑に落ちた。
「……そっか」
叩いたりぶつけたりなんてしたくないのだ。スティックは、本当は魔法のステッキだから。魔法をかけるための道具であって、殴ったりするための道具じゃないはずなのに。
だけどありあは――魔法少女のミスティはスティックが丈夫なのをいいことに、劇中で殴打用の武器として散々乱暴に扱ってきた。だからスティックはこう考えた。
そんな風に扱うありあは、自分のことを大事に思っていないのだと。
宙ぶらりんのままだったありあの拳が、だらりと力なく下ろされる。うつむきがちに首を横に振ると、ツインテールの毛先がスティックを撫でた。
「ごめんね」
スティックが魔法をチャージし始めるのも構わず、ありあはぎゅっとスティックを抱きしめた。
伝えたい思いは、言葉じゃきっと伝わらない気がした。相方みたいな存在だと思っていたことも、それ以外も、今までずっと言葉にしてこなかったから。
だから代わりに、こうすることで伝えたかった。
ぶるりと身を震わせると、スティックはやがて魔法のチャージを止めたのだった。
姫之崎 ありあはいつもどおり持ち主の元を抜け出し、深夜の旧市街を散歩していた。
ぐるっと一周して参道商店街あたりまで来たところで、そろそろ帰ろうかと持ち主のアパートへ足を向ける。
その瞬間、どこからか放たれたビームがありあに襲いかかった。
「えっ？」
間一髪でかわしたありあの目の前で、ファンシーな色合いの光と軽やかな効果音が弾ける。
「一体何なのよ？」
辺りに向かって呼びかけた声に返答はなく、代わりに返ってくるのは同じビームだった。表に出しっぱなしの看板や町内会の掲示板、大きな石ころ、ポストの支柱なんかを壁にしてビームをかわしながら、アパートへと急ぐ。
しかし相手もしつこく、ビームが止む様子はない。このままじゃ埒が明かないし、万が一にもアパートの中まで追いかけてきたら一大事だ。
そこでありあは方向転換、大通りの方へと駆け出した。深夜の静まり返った通りには遮蔽物はなく、ビームからありあを守ってくれるものはない。
それと同じで、相手が身を隠す場所もない。
「そこね！」
暗闇から放たれたビーム、その発射位置を逃さず捉えたありあは近くの砂利――アリアたちのサイズからすれば充分すぎる大きさの石――を投げつける。そして怯ませたところへすかさず飛び込んだ。
「とりゃあ！」
流星のような見事な飛び蹴りが命中。敵を蹴って着地し、そのまま地面を蹴って接近。渾身の力で魔法少女パンチをお見舞いする。
「これでも格闘戦は得意なのよ、魔法少女らしくないけどね」
確かな手応えを感じながら敵の姿を見たありあは、赤い瞳を驚きに見開いた。
スティックだった。
ありあと同じくらいの大きさになってはいるが間違いない、『魔法少女ミスティックアリア』が持つ音符の形をあしらった魔法のスティックだ。ハッとなってパンチを繰り出したのとは反対の手を見ると、いつも握っているはずのスティックがない。
つまり目の前のスティックは、間違いなく彼女の魔法のスティックだった。
「――なんで？」
――あたしの相方みたいな存在が、なんであたしを襲撃するの？
そう訊きたいのに、戸惑いのあまり声がもつれて言葉にならない。そんなありあに、スティックは容赦なく魔法のビームを叩きつけた。直撃を受けて吹っ飛ばされた魔法少女を、さらなるビームが追撃する。
何故かはわからない。しかしスティックが敵意を持って襲いかかってきていることだけは確かだ。困惑しながらも追撃をかわしたありあは、やむを得ずスティックに飛びかかった。
「ねえってば！」
ビームをかいくぐったありあの手が、その指先がスティックにほとんど触れる距離まで迫る。スティックは全身を使って弾こうとし、しかし不自然に動きを止めた。その隙に確かに掴んだものの、全身からのビームに吹き飛ばされた。
音符とビームが追い打ちをかける。
「やば、」
小さな大爆発が起きた。二人も呑み込んでしまうほどのその爆発も、通り全体から見ればほんの隅っこで起きた微かな土ぼこり程度。それを夜風が吹き散らした時には、ありあは既にスティックの目の前までジャンプしていた。土ぼこりが目に入ったのか、赤い瞳は潤みを帯びている。
そのままスティックを押し倒し、マウントポジション。しかし握り拳の行方を迷った一瞬に、スティックはちょうどマウントを取られた人間がする頭突きのようなモーションをかけた。
ありあが反射的に身を引いた途端、スティックは手を弾きかけた時のようにピタリと動きを止めた。スティック全体が微かに震えている様子は、したくないはずのことをして我に返る人の様で。
それを見た途端、ストンと腑に落ちた。
「……そっか」
叩いたりぶつけたりなんてしたくないのだ。スティックは、本当は魔法のステッキだから。魔法をかけるための道具であって、殴ったりするための道具じゃないはずなのに。
だけどありあは――魔法少女のミスティはスティックが丈夫なのをいいことに、劇中で殴打用の武器として散々乱暴に扱ってきた。だからスティックはこう考えた。
そんな風に扱うありあは、自分のことを大事に思っていないのだと。
宙ぶらりんのままだったありあの拳が、だらりと力なく下ろされる。うつむきがちに首を横に振ると、ツインテールの毛先がスティックを撫でた。
「ごめんね」
スティックが魔法をチャージし始めるのも構わず、ありあはぎゅっとスティックを抱きしめた。
伝えたい思いは、言葉じゃきっと伝わらない気がした。相方みたいな存在だと思っていたことも、それ以外も、今までずっと言葉にしてこなかったから。
だから代わりに、こうすることで伝えたかった。
ぶるりと身を震わせると、スティックはやがて魔法のチャージを止めたのだった。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2022年01月30日
- 参加申し込みの期限
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- 2022年02月06日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2022年02月06日 11時00分
