【水泳大会】男が女で女が男で？！（あとカワウソとフツウ）｜リアクション

【水泳大会】男が女で女が男で？！（あとカワウソとフツウ）

　傍らでキューキューと愛らしくなくカワウソ達。そして、どうしようかと考える寝子島の住人。ちょっとメルヘンな光景である。
（休日ならのんびり混ざりたいが……水泳大会を長期離れるわけにはいかない）
　何とか元の場所に戻りたい所だけど……とどうにか解決方法は無いか探っていた夏夜。だが、足元にはかわいいカワウソたち。そして、宝石商はおっとりした声で
「この子たちと一緒に泳がないとでられないかもしれませんね」
　なんていう。
「それならば仕方ない。僕もレースに参加しよう」
　夏夜が腹をくくった瞬間だった。

（これなら、夏夜ちゃんと一緒に参加できるかも……！）
　夏朝は抱えたカワウソに目をキラキラさせる。
「という訳で…僕やカワウソさんと競争だよ、夏夜ちゃん！」
「そうだね、貴重な機会だし、競争してみるか！」
　夏朝の誘いもあり、自分に寄ってきたカワウソを抱えてそれぞれリボンを結ってもらう。カワウソにも同じものを結い、目印にするらしい。
　準備が整い２人で早速プールへ。よく見れば、既に何人もの仲間たちが準備をしていた。
「またしてもフツウが……。でも、これはこれで可愛いし癒される気もするわね」
　桜が白いリボンをつけた小さなカワウソになつかれながらスタートを待っている。その隣には彰尋もおり、プールサイドにいる宝石商に手を振っていた。タッグを組んだカワウソには緑色のリボンが……。
　夏朝と夏夜は案内されるがままに彰尋の隣へ。近くにはあおいと修、紫苑がいる。あおいとタッグを組んだカワウソは水色のリボンを結い、彼女の周りをぐるぐる泳いでいる。修とタッグを組んだカワウソはというと、オレンジのリボンをつけたまま彼にだっこされ眠っている。紫苑の肩にのったカワウソは、紫色のリボンをつけ、自慢げな顔をしていた。
「えっと、よろしくお願いいたします？」
　優しい笑みで紫苑がカワウソの頭を撫でると、カワウソは気持ちよさそうに瞳を細めた。
「ほら、そろそろレースだよ」
　修がやさしく起こしてやると、眠たそうに眼をぱちぱちさせてから漸く水の中へ。
「じゃあ、ルールの説明をするよー」
　宝石商がのんびりした声でルールを読み上げる。それを要約すると

ルール：カワウソさんとプールを一周し、１番早く一周した人の勝利（但し順位に関係なくカワウソさんと仲良し賞もあり）

という単純明快なレース。だがカワウソは気まぐれ。勝手に泳いでしまうから注意が必要なのだとか。
「じゃあ、はじめよう」
　いつの間にか小柄で溌溂とした女性が、ホイッスル片手にやってきた。性転換組と妙にムキッとした青年も傍らにいる。
「あおい、がんばろうな」
「うんっ」
　修の言葉に、あおいは笑顔で頷く。一方紫苑はカワウソがフライングしそうになったので慌てて捕まえていた。その様子を見ていた女性が、よく通る声を上げた。
「位置について、よーいっ！」

　――ぴーっ！！

　ホイッスルの合図で７人と７匹は一斉に泳ぎ始める。だが、すぐにカワウソ達はレースそっちのけで遊んだり餌探しを始めてしまった。
「待ってカワウソさん！？　あああ猫さんみたいに泳いで行っちゃう～！」
「カワウソさんは泳ぐのが上手ですね……あ、そっちじゃありませんよ～？」
　夏朝とタッグを組んでいた赤いリボンのカワウソが、何かを見つけふらふら泳いでいく。それをふわふわした様子でみていた紫苑だが、己とタッグを組んだカワウソもそれに釣られて別方向へ。
　夏夜は、カワウソを探している内にプールの中にザリガニやカエルなどがいることに気付き、何か閃く。
「ちょうどいい所に……。水底のザリガニやカエルを取ってきて与えてみよう」
「うんっ！」
　夏夜と夏朝は協力してザリガニを捕まえようとする。だが、夏夜が指を挟まれてしまうアクシデントも……。
（痛い痛い！　予想以上だな？！）
　しかしどうにか捕まえるとカワウソ達はよろこんでムシャムシャ。数匹ザリガニをあげると、カワウソは元気に泳いでくれた。
「やった！　食べてくれた！！」
　夏朝も苦労して捕まえたごはんを食べて貰えてちょっと安心する。
　紫苑もまた恐れることなくカエルやザリガニを捕まえる。
（カワウソさんの為にちょっと失礼しますね）
　自然な動きでひょいひょいと捕まえる紫苑。だが、もう少しとってカワウソにあげたいと考えた彼女は……己の胸を見た。
（う～ん、手だとちょっとしか持てません。カワウソさんもいっぱい食べたいでしょうし……ここに入るかしら？）

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【水泳大会】男が女で女が男で？！（あとカワウソとフツウ）

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